ji30.jpg 

  お手盛手当“文書通信交通滞在費”月額100万円

  所得税・消費税の確定申告も終わり、事務所もほっと一息である。4月からはすぐさま「税務調査」が本格化する。
 税務調査では「帳簿記載が不十分だ・・・」 「領収書の保存がない・・・」 「この飲食代のレシート(割勘の1名分)では接待費に該当しない・・・」 等々、重箱のスミにも該当しないことを理由に追徴税額を迫ってくる。
 国会議員には一人ひとりに支給される「文書通信交通滞在費」というものがある。歳費とは別だ。
 政党助成金=320億円は政党への税金の山分けである。(このホームページでも主張)

    ヤミにうかぶ・・・
       ヤミにまみれる・・・
          国会議事堂

a0002_003037.jpg

 文書通信交通滞在費=1人・1200万円は国会議員への税金の山分け「ヤミ手当」である。

   税金の取立は厳しく  税金の山分けは甘く

 国家公務員給与を削減、労働者賃金・下請単価の切り下げ・労働者派遣法の改悪、年金支給額の引き下げ、高齢者医療保険料・国民健康保険料・介護保険料の大幅な引き上げなど国民負担の激増は目白押し、国民に厳しく痛みを押し付けている。
 日本の最高機関である国会議員は何の痛みを受けているのだろうか ?

 国会法第38条の規定により、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律が定められている。
 歳費・旅費法 第9条第1項
  各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し、及び公の性質を有する通信をなす等の為、文書通信交通滞在費として月額百万円を受ける。
  同  第9条第2項
 前項の文書通信交通滞在費については、その支給を受ける全額を標準として、租税その他の公課を課すことはできない。

 税制改正では今般、無申告罪・不正還付未遂罪が創設され、26年1月からは全事業者(生命保険外務員から貸家貸付者まで全ての納税者)に記帳が義務付けられた。証拠としての領収書等の保存義務は当然である。

  非課税、記帳義務・領収書等保存義務なしの「ヤミ手当」 

 文書通信交通滞在費は、税金のかからない・記帳義務も領収書の保存義務も報告もいらない「ヤミ手当」である。
 この“文書通信交通滞在費”はお手盛で制定され、お手盛で増額されてきた経緯がある。
 20年前も“滞在費”の名目を新たに付け加え、月額25万円も増額された。
  昭和22年.月額       125円(通信費の名目で開始)
  昭和23年.月額     1,000円に
  昭和27年.月額    10,000円に
  昭和37年.月額   100,000円に(通信交通費と名称変更)
  昭和41年.月額   150,000円に
  昭和51年.月額   350,000円に(文書通信交通費と名称変更)
  昭和53年.月額   650,000円に
  昭和63年.月額   750,000円に
  平成 5年.月額 1,000,000円に(文書通信交通費滞在費と名称変更)
 なんと8,000倍である。
 国会議員は毎月137万5千円の歳費とは別に、100万円もの「文書通信交通滞在費」が定額で支給されている。
 税金もかからず、使途を記帳する必要もなく、領収書等の証拠書類の保存も報告も何一ついらない国会議員特権の「機密費」のような“ヤミ手当”である。

 月額100万円の支給金額の根拠もあいまいである。
 文書代・通信代・交通費・滞在費の4項目を対象にしているだけで、個別にいくらかかるかまったく計算していない。財務省も検証せず、4点セットで100万円である。
 交通費にいたっては公用車(税金で運営)使用である。実態は議員が自由に使える「機密費」同然である。
 こんな国会議員の「機密費」“ヤミ手当”に86億円もの税金が平然と使われている。
 国民は到底納得しない。

  税務調査では、役員認定賞与・給与加算・経費否認  

 民間、税務調査ではどうだろう ?
 営業系の仕事をしていた知人に聞いた。
 電車のチケット代は当然ながら、切手代まで領収書、使途の報告は当たり前である。
 税務調査でもパスモやスイカのチャージ料の領収書では否認、チャージの際の履歴表までチェックされ、履歴に合うような勤務実態があるか調査される。
 ましてや社員一人当たり渡しきりの100万円(使途不明金)、いかに文書通信交通費滞在費と主張しようが記録も証拠も報告もない。会社の経費(損金)は否認され、役員に対しては認定賞与、社員に対しては給与加算。重加算税である。
 それどころか株主からは返還訴訟が起こされる。会社は倒産する。
 国会議員は文書通信交通費滞在費の名目で月に100万円も支給され、しかも報告義務もない。そんな会社があったら勤めたいよ! である。

  政治家の特権 = 腐った政治 

 政党・政治家のみに次々とヤミで特権をつくり、国民に疑いの目で見られるようになったことこそ、政治が腐ってしまったことの証拠である。
 江戸時代屈指の名君といわれた米沢藩の上杉鷹山が、藩政改革はまず自らと、それまで1500両であった藩主の江戸仕切料を209両余りに減額し、奥女中を50人から9人に減らすなどの倹約を行った歴史が残っている。
 平成20年1月、当時の鈴木宗男衆議員議員も質問主意書“国会議員に渡される文書通信交通滞在費のあり方”のなかで、「渡しきりで使途の報告も義務付けられていない文書通信交通滞在費は、国民の視点からすれば国会議員の特権と映ると考えるが、政府・内閣はどう考えるか? と質している。
 共産党の穀田恵二国対委員長も2月7日、国会議員歳費の問題は、手当などを含め国会議員の処遇全体の見直しの問題として検討すべきだ。文書通信交通滞在費は理屈がたたないものが含まれている。と削減を主張しました。

 小選挙区定数0増5減(憲法違反だから)だ。比例定数80減だ。と小手先の政争を繰り返しているが、選挙制度は国民の意思が正確に国会に反映されるかである。
 国民の意思が正確に国会に反映されていないからこんな“ヤミ手当”のような法案が国民の目の見えないところで平然と生存している。
 政党助成金320億円削れ! 文書通信交通滞在費86億円削れ! は政争の具ではない。特権を持ち続けるか、特権を廃止するか、国会議員のモラルの問題である。
 直ちに政党助成金320億円、文書通信交通滞在費86億円は廃止すべきである。