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   国民に「個人識別番号」付与法案を閣議決定

 政府は2月14日、税と社会保障などを制度ごと管理する個人情報を一つにまとめる共通番号(「マイナンバー」)制を導入するための法案を閣議決定した。
 2015年1月から利用が開始される。

国民すべてに 背番号

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   個人一人ひとり、企業一つひとつを個別番号で管理

 共通番号 = 個人識別番号 = マイナンバーは、国民一人ひとり、企業一つひとつに識別番号をつけ、2014年6月に識別番号を交付、2015年1月の利用開始を目指している。
 政府は、識別番号により「きめ細かな社会保障」が可能。消費税引き上げ時の逆進性対策(収入が一定以下の世帯に消費税の一部を還付する「給付付税額控除」)の実施に必要だとしている。
 識別番号には「マイナンバー」という名前をつけ、国民に受け入れやすくしているが、内閣府が実施した世論調査では83、3%の人が「知らない」と答えている。また、85、7%の人が個人情報の漏洩に不安を抱いている。

  ― 狙いは増税・徴税強化と社会保障給付削減 ―

 政府は個人情報保護に向け、第三者機関の設置や、情報漏えいに対する罰則を盛り込んでいるが、政府が設置する第三者機関ほど国民に信頼されないものはない。
 政府は、税と社会保障の一体改革に関連し、消費税に伴う低所得者対策(給付付税額控除)につなげたいとしているが、「子ども手当」を支給するから「年少扶養控除」は廃止するとした税制改正に、国民との公約を破り、「子ども手当」のみ廃止し、「年少扶養控除」を復活しないサギ的政権に信頼はない。

  国民総背番号制と同じ  究極のプライバシー侵害

 共通番号法案は、税・社会保険料の徴税強化や社会保障給付の抑制・プライバシーの侵害につながるとことが危惧される。
 「給付付税額控除」は、国民生活と日本経済を破壊する消費税大増税と引き換えであるうえ、開始時期も対象範囲も財源も決まっていない。
 「きめ細かな社会保障」というなら、年金制度の根本的改革や後期高齢者医療保険負担、国民健康保険負担、医療費窓口個人負担などの諸々の引き上げ計画を取りやめ、最低保障と負担軽減に踏み出せば済むことである。
共通番号制の狙いは、「税の執行をより強化していくための法案」(民主党関係役員)、「不要あるいは過度な社会保障の給付を回避する」(同政策集)、「社会保障の給付を減らすため」(経団連会長)と徴税強化と社会保障給付削減が目的であることは明らかだ。
共通番号制が導入されればプライバシーの侵害も問題になる。政府自身「深刻な被害が発生する危険性」を認めています。
 ドサクサにまぎれ、国民を監視する。総背番号制と徴兵制復活に道をひらく危険な共通番号制度を導入することに断固反対します。

  税と保険料の一括徴収 ・ 歳入庁構想

 税と社会保険料を一括徴収する歳入庁構想も共通番号制度と同時に進められている。
 2月17日閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」では、 ― 「歳入庁の創設による、税と社会保険料を徴収する体制の構築について直ちに本格的な作業に着手する。」 ― とされ、民主党の社会保障と税の一体改革調査会では、「歳入庁」創設のための作業部会が設置され、具体化に向け検討が開始されている。
 本年1月、厚生年金保険法・国民年金法の一部が改正され、保険料の滞納者に対する強制徴収について、厚生労働大臣が財務大臣に権限を委任することができるとされた。
 財務大臣が委任を受けた強制徴収の権限は、財務大臣から国税庁長官、国税局長、税務署長へと委任できる仕組みとなっている。
 各国税局の徴収部では「特別整理部門」(徴収の査察とも言われる)が担当する予定である。
 すでに、厚生労働大臣が財務大臣に委任された事案もある。

 社会保障は、日本国憲法で保障された国民生活の向上を目的に厚生労働省の所轄の下、「労働社会保険諸法令」等に基づき国家の義務として行われるものである。
 国家の義務である労働社会保険(年金、健康保険、介護保険、労災保険、雇用保険)はすでに番号は付番されている。
 税(所得税、法人税、消費税)についてもすでに納税者番号は付番され一元管理されている。
 まったく性質の異なるものである。
 ただただ徴収することのみを目的に歳入庁構想が検討されるのか ?  国民を収奪する対象としか発想しない権力の横暴である。
 事務所は、歳入庁構想にも断固反対します。