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--消費税は増税、社会保障は改悪-- 

 *消費税増税スケジュール                          ~25年

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  菅直人内閣(当時)がまとめた「社会保障・税一体改革」成案は、“社会保障給付に要する公費負担の費用は、消費税を主要な財源として確保する。”と明記し、2010年代半ばまでに段階的に消費税を10%まで引き上げ、社会保障の安定財源を確保するとしている。
 野田佳彦首相は所信表明演説で、“消費税増税法案を次期(2012年)通常国会へ提出する。”と表明した。
 繰り返し狙ってきた消費税率引き上げ。そのたびに国民の世論と運動、選挙の審判が増税の動きを阻んできた。
 震災復興財源として所得税・法人税(引下げの据え置き)を中心として庶民増税と一体とした消費税増税の作業は、国民の感情(震災復興のためなら ?・・・)を逆手にとって本格化している。
 自民・公明政権以来一貫して掲げてきた消費税・所得税増税の戦略である。
 「社会保障・税一体改革」は、「一体改革」といいながら、社会保障については「医療費の窓口負担(3割負担に)上乗せ」、「年金の支給開始年齢の引き上げ(68才~70才も)」、「生活保護の改悪」、「介護保険制度の改悪、病院のベッド数や特養ホームなどの介護保険施設の抑制」、「公的保育制度の改悪」、さらには、悪名高い「後期高齢者医療制度廃止」に至っては公約の影も形もなくなった。
 “消費税を10%に引き上げて、社会保障を悪くする。” ― これが「一体改革の」の正体である。
 “生活第一・子ども手当26,000円支給” ― だから、年少扶養控除は廃止する。と子ども手当が導入された。
 一度として26,000円支給されることなく“子ども手当”は廃止された。年少扶養控除の廃止はそのまま ・・・ 似ている詐欺的構図である。

   ゆがんだ税制 ― やらず、ぶったくり

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 基幹税とされていた法人税・所得税は89 年度対比223兆円(減収累計額)の減収である。一方、消費税は同対比237兆円(増収累計額)の増収である。
 増税の痛みをごまかすために減税を組み合わせた(所得税最高税率の引き下げ、定率減税など)が、減税効果は大企業法人税と金持ち所得税だけが残っている。結局、消費税導入・増税の痛みは庶民だけに押し付けられた。
 自民・公明政権は、社会保障費を毎年2,200億円削ってきた。その結果、国民の怒りで政権を転落した。「生活が第一」と公約した民主党政権が誕生した。
 しかし、民主党政権は自民・公明路線を引き継ぎ、自民・公明政権では果たしえなかった制度改悪へ、さらに一歩踏み込もうとしている。
 社会保障改悪と消費税増税の強行は、民主と自民・公明の談合で一致し、ますます庶民増税と負担増の悪循環が繰り返される。
 いつの時代も庶民のみが苦しめられる構図である。

   高くない ― 日本の大企業の税・社会保険料負担

 「日本の法人税は高いから産業が海外移転する。」「日本の人件費は高いから生産拠点を海外へ移す。」「円高では国際競争力に勝てないから海外へ進出する。」 ・・・ 日本の大企業は何かといえば海外、海外と日本を蔑ろにする。政府もこうした大企業の脅かしに屈し、大企業を優遇する。
 本来、企業の社会的負担は法人税だけではない。法人税と社会保険料企業負担(労働者へ還元)のセットである。
 ヨーロッパの社会保険料企業負担は日本よりかなり重い。日本の大企業の税と社会保険料企業負担(セット)は、ドイツの7割、イギリスの9割程度である。世界最高の法人税率だというならば、世界最低の社会保険料企業負担であるともいえる。
 復興、経済対策も同様である。
 民主・自民・公明は政争に明け暮れ、歳出の見直し・公務員賃金の引き下げをと声をそろえて打出しているが、毎年320億円もの大金を懐に入れている「政党助成金」には一言も触れない。
 250兆円にも膨れ上がった大企業の内部留保の活用にも一切触れず、ただただ庶民を対象に増税と社会保障給付の削減・負担増を求めている。
 “死んだ街”“放射能をつけたぞ”と放言し、就任数日で辞めた大臣。「任命責任だ」と政争しているが、そんな国会議員を選んだ国民の『選任責任』も考えさせるものがある。