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   現下のインフレ

 インフレ増税とは何かをお伝えする前に、現在のインフレの現況を確認しておきたい。
 物価値上がりがすさまじいが、資源に乏しく、輸入に頼る日本は、円安が解消されない限り値上がりが続く。円安インフレである。
 その円安を招いたのは、アベノミクスである。
 経済学者の浜矩子さんは「アホノミクス」と揶揄し、アベノミクスは「愚かで間違った経済政策で、必ず失敗するであろう。」と言い切った。
 まさにその通りの事態になっている。最大の被害者は国民である。
 現下のインフレは、「アホノミクスインフレ」だということを我々はしっかりとらえる必要がある。

 議会占有率を背景とする「安部一強」の下で間違い政策を推し進めた自公政権が瓦解寸前まで行き、日本は良い方向に向かうかと期待したが、今度は「サナエ一強」が選挙でもたらされた。
 とたんに「アホノミクス」を引き継ぐとして「サナエノミクス」である。経済成長のために軍事貿易増強政策まで持ち込んでおり、貿易立国日本の立場をすでに怪しくしている。アホノミクスよりタチが悪い政策といえる。浜氏流に言えば、「サエナイミクス」は「必ず失敗する。」。レアアースひとつをとっても先は暗い。

   危ない食料

 だが深刻なのは国民の生命維持に関してである。
 日本の食料自給率はカロリーベースで38%。昭和40年(1965年)は73%であったから、60年間で半減してしまった。アメリカの圧力とそれに屈した日本の農業政策が招いている現実である。
 昨年の「コメ騒動」は記憶に新しい。
 小学生でもわかることだが、日本国民は食料品の輸入が途絶えると飢えに陥るということ。
 これが、アホノミクスから連綿と続いている円安インフレの現実である。

   高市首相の肝いり政策

 さすがに国民の不満はたまってきている。それを自分の支持に転換させようと、「食料品の消費税を2年間ゼロ税率にする」を高市さんは看板政策に掲げた。多くの国民が目先の甘言に乗ってしまった。
 この看板政策は即座に実行できないことは、税に係るものや、食料品販売業者はよく知っていた。
 食料品に8%の軽減税率を導入するときに大変な苦労をしたからだ。実証済みであり、政策策定当事者も知っているはずなのに、「いい加減な政策で国民を欺く政治はやってはダメだ」と諫める者がいなかった。誤りを指摘すらできない、なんとも情けない政権構造が露わになったともいえる。
 その後、今もオタオタしている「国民会議」が食料品1%で動いているが、それとて、最速で来年4月からできるかどうかという。
 食料品のほぼすべての品目が値上がりして苦しんでいるいま、何とものんきな政府の動きである。

   インフレ増税 世界の常識

 さて、ここからが本番。
 インフレは実は自動的にみなさんが負担する所得税と消費税の増税に直結しており、みなさんはすでに増税されている。
 政府の立場でいえば、国の税収はインフレで自動的に税収増加になり、財政再建に貢献するので歓迎というわけ。

  東洋経済オンライン

 税収の増加:インフレが進行すると、物価が上昇し、名目GDPも増加します。これにより、税収も増加する傾向があります。例えば、物価が2倍になると、税収も2倍になる可能性があります。これは、政府が過去の債務を相対的に軽くする効果を持つことを意味します。

  朝日新聞デジタル

 インフレ税の概念:インフレは「見えない増税」とも言われ、実質的に家計の負担を増加させることがあります。物価が上昇することで、実質的な所得が減少し、結果として税収が増加する一方で、家計の金融資産が減少する可能性があります。

  朝日新聞デジタル

 家計への影響:インフレが進行する中で、家計から企業、企業から政府へと所得が移転することがあり、これが税収に影響を与える要因となります。

  オルインWeb

 税収弾性値の変化:最近のデータによると、税収の弾性値が政策当局の想定よりも高くなっていることが指摘されています。物価や株価の上昇、累進課税制度の影響により、税収が予想以上に増加する可能性があります。

 紹介すればきりがないほどインフレ増税は世間の常識。当然、世界でも常識。
 財務省が公表している税収の推移をみていただきたい。ここ数年の円安インフレが急速・急激な税収増加をもたらしていることが分かるはずだ。一人一人の国民が負担する所得税と消費税の伸びも見てほしい。コロナの影響で所得税が減少した時期はあるが、基調は増税が進んでいることを示している。(クリックで拡大)

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 そこで、国民がインフレ増税で反乱を起こさないように、政府はインフレ増税を解消する手を打たざるを得ない。
 高市政権が打ち出したのが、食料品の消費税率引き下げであるが、即効性はない。
 所得税については給付付き税額控除を取り上げているが、まだ制度設計もおぼつかず、これまた即効性はない。

   アメリカのやり方

 こうした日本のやり方とアメリカの対応は違っている。
 新自由主義を推し進めたアメリカのメルトン・フリードマンは、「インフレは税である。しかも代表なければ課税なしのルールとぶつかる税である。」と批判し、「物価スライド税制」を導入するよう求めた。
 新自由主義者のフリードマンの「物価スライド税制」は、富裕層ほどインフレ税解消効果が大きく及ぶ仕組みとなっており、いかにもフリードマンであるが、インフレ税は解消すべきという基本は妥当である。
 そして、アメリカは「物価スライド税制」を各州で取り入れた税制をすでに実行している。

   私(筆者)の提案

 この物価スライドという視点にたって、租税法律主義に反するインフレ増税を解消する方法として、筆者は次の提案をしたい。

 所得税については、物価統計に基づいた物価上昇率と同率を少なくとも四半期ごとに所得税率に反映させる。要は、インフレ下であれば、四半期ごとに税率を引き下げるのである。
 国民の大半は労働所得である給与で生活しているわけで、一般的に毎月の給与から「源泉徴収税額表」で示している税率によって所得税が差し引かれている。その源泉所得税を引かれた後の金額で現金を受け取り、生活しているわけだから、税率が変わらなければ、手取り額も変わらない。しかし、物価は上がっているから、前月より今月の生活水準は落ちるか、それまでに貯めた貯金(資産)を持ち出して生活水準を維持するかになる。
 この事態に対して、前月よりも今月差し引かれる源泉所得税が減少すれば、手取額が前月より増え、物価上昇があっても前月と同じ水準の生活が維持されることになる。
 物価スライドで累進税率構造を一律に引き下げると、富裕層の減税効果が大きくなるので、その辺は工夫が必要であるが、「物価スライド税制」として確立し、税率改正を自動化すれば、極めて即効性のあるインフレ増税解消となる。

 消費税についても「物価スライド税制」を導入し、税率を自動的に連動させればいいのだが、これはレジの税率変更作業など、事業者の負担が大きい。
 そこで消費税のインフレ増税を解消する方法で、筆者が提案するやり方は「値引方式」である。
 物価上昇率を解消するに相当する率を政府が毎月算定したうえで公表し、販売業者に通知する。販売業者は販売価額からその通知された率の値引きを行った上で、現行の標準税率なり、軽減税率を消費税として加算し、消費者から代金を受け取る。
 現在のレジを改修する必要はない。しかも、値引額は毎月自動的に集計可能であるから、その月の値引額を把握するのは一手間いるが比較的容易である。資金繰りに忙しい業者もいるであろうから、業者はその月の値引額を税務署に通知し、税務署から還付金(補助金)を受取る。これで業者の営業は守られる。税務署の作業は増えるが、国民は大いに信頼を寄せるであろう。

   財源は?

 この財源は手当てする必要はない。インフレ自動増税分をチャラにするだけなので、政府はプラマイゼロ。持ち出しはないからだ。

   まとめとして

 アメリカで行っている「物価スライド税制」は必要な税制である。
 筆者が提案したことからも分かっていただけると思うが、直接税は極めて簡潔にしかも有効に機能する税制を構築することができる。
 一方、消費税は税率をいじることは簡単だが、対象物の選択、「価格」は自由であることに伴う解消の不確実さ、前段階控除方式という仕組みから業者の処理が複雑に連動すること、担税者である国民にとっては増税解消を受け止めずらく、方や業者の処理負担は大きいという構造上の欠陥がある。このため、担税者である国民がインフレ増税を解消しているという実感が持つことができ、業者の負担が少ない方法は限られてくる。

 残念ながら、今の政府や「国民会議」は知恵がなくて場当たりすぎる。
 国民はもっともっと怒りを政府にぶつけないと駄目なようだ。