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   税務署は手間なし

 国税の納付先は、日本銀行とその代理店(銀行や郵便局)か、税務署の収納担当官と法律で規定されている。
 これ以外はなかったのだが、税務当局の収納事務効率化のため、コンビニ納付、クレジットカ―ド納付、スマホアプリ納付が2019年(平成19年)に導入された。
 税務当局のふれこみは、「納税者はいつでもどこでも納付できますから、便利になりますよ。」である。
 昭和22年に廃止されたが、当時は町内会も納税団体に組み込まれ、徴税の補助的役割を担わせた歴史がある。民間人である私人が税金の納付窓口になっていたわけだ。
 有体にいえば、コンビニ納付も同じで、私人が国税の納付窓口になったわけだ。
 税務署にすれば、納税者が税務署に来て税金を納付するとすれば、徴収職員が対応しなければならない。当たり前の業務なのだが手間がとられる。
 それをコンビニ業者がやってくれれば、税務職員の手間は軽減となり、万々歳だ。

   落とし穴

 コンビニ納付ができるようになったので、あなたが30万円の所得税をコンビニで納付したとする。
 現金を渡し、納付書の控えにコンビニの店員が収受のスタンプ印を押したので、これで所得税を完納したと、普通は思うはず。
 チッ、チッ、チー。
 この時点では、あなたはコンビニにお金を預けただけ。まだ、納付したことになりません。
 コンビニ業者があなたの税金分だとして30万円を国に納付し、その納付を国が確認したときにはじめて、あなたの所得税は納付されたとなる。
 法律的にいえば、あなたの国税債権は、コンビニ業者から収納され国がそれを確認したときにはじめてに消滅することになっている。
 ここが落とし穴。

   税務署は損なし

 というのは、国はとりはぐれがないシステムになっているからだ。
 コンビニは、大手大企業の直営店だけではなく、例えば個人事業者がフランチャイズでやっている場合などがたくさんある。
 その個人事業者が、あなたが納付したと思っている30万円をギャンブルに使ってすってしまった。店の資金も全部つぎ込んでスッカラカン。破産状態になった。
 国はあなたの所得税30万円がコンビニ業者から納付されないので、あなたに未納だぞと催告する。あなたはコンビニの収受印を押した納付書の控えをみせて、納付済みだという。
 国は改めてそのコンビニ業者からの収納をチェックするとまったく入っていないことが分かった。そこで国は、まずはコンビニ業者に対して納付を求める。ところがその業者はスッカラカンで何もない。破産状態だということが分かった。
 これで国があきらめるほど、税金というのは甘くない。
 コンビニ業者から取れないとなると、国はあなたに30万円を納税しろと滞納処分をかけてくる。国は、損をしない仕組みになっている。
 あなたがすでに支払ったといっても受け付けてくれない。支払わないと延滞税が膨らんでいくが、さすがにそれはあくどいということから、延滞税は対象になっていない。
 でも本税の30万円はガッツリ持っていかれる。

   民事訴訟しかない

 ということで、あなたは30万円を2度支払ことになる。計60万円。
 コンビニ業者に支払った証拠があるから、業者に対してお前がネコババしたのだから30万円返せとせまる。業者は金なんかないから返せないとなる。
 こうなると、民事訴訟を起こして取り返すしかない。訴訟費用はかかるし、それで30万円を回収できるとは限らない。大抵の場合、回収は無理だ。
 いやはや、国民として納税義務を果たしたのに、税金を二重に負担するのと同じことになる。
 これがコンビニ納付が持つ問題点なのだが、このことを知っている国民は何人いるのだろうか。ほぼ知らないと思う。
 少なくとも、コンビニには告知義務を課すべきだと思う。
 コンビニで30万円を納付するとき、店員から「30万円預りましたけど、うちが納付できないときは、これはなかったものとして税務署があなたから30万円を徴収する場合がありますから、告知しておきます。」と。
 こんな告知をされたら、コンビニでは納付しないだろう。「便利になりますよ」と宣伝する国は、国民をだましているに等しい。国民に負担を強いる制度でいいのか。

 こちらが国に告知したくなる。国民に制度の仕組みをきちんと説明しろ。国民を丁寧に扱えと。