
悲願の公約
高市首相が悲願だという食料品の消費税「ゼロ」。
国の政治を司る最高位者が打ち出した公約で、それも含めてこの前の選挙では自民党が圧勝したのだから、すぐに実現するのが国民に対する信義というものだ。
ただし、高市さんの公約は2年に限ってと条件付き。恒久的な措置ではない。
ところが、もたもたしている。
これでは、急激な物価高に苦しんでいる国民に寄り添った政治とはいえない。
地方自治体では、住民に一率の「現金給付」を行うなど手早く政策を実行しており、少額といえども国民は一息ついて政治とはかくなるものと評価している。
ま、政治家の公約がそのまま実行されることはないことを国民は経験値として積み上げているので、またかと冷めた目で見ているのが現状だろう。
あらためて消費税とは
そこで、消費税というものを少し基本から見ておこうと思う。
税の分類でいえば、間接税。
事業者が納税義務者になっており、取引に応じて納税額を算出して納付するのだから、事業者に対する直接税だ、とのたまう識者もいるが、これはとんでもない間違い。
消費税は原則として事業者は一切負担しない。
誰が負担しているのか。それは最終消費者である一人一人の生きている人間である国民。
負担者と納税義務者が違うから間接税。
納税義務者は、負担者から消費税を預かって納付するだけ。自分は消費税そのものは負担しない。
間接税でもこちらは
間接税でもその課税のやり方で、個別間接税と一般間接税の違いがある。
個別間接税は、例えば高級時計の売値に対して30%の物品税を賦課するとすれば、100万円の腕時計を売る事業者は130万円を買主から頂戴し、30万円を物品税として税務署に納税する。
高級時計を買わない人は勿論、時計を販売した事業者も物品税は負担せず、時計を買った人が税金を負担するのが個別間接税。
これに対して、消費税は一般間接税。
原則すべての物やサービスを購入した場合に一律の税率の物品税をかけるというもの。
これが消費税の基本的仕組みなので、個別消費税に対して一般消費税として区分される。
100円のパン
すべての物だから、食べ物も課税対象。100円のパンを食べるのに、消費税が10%なら110円を国民は支払わないと食べられないわけだ。
100円のパンを食べるたびに10円の税金を国に納付している。
お金に余裕のある人はいいかもしれないが、手元に1,000円しかないAさんは、それまで10個のパンが食べられたところ、9個しかパンを食べられないことになる。
110円×9個=990円(1,000円-990円=10円)
税金で飢え死に追い込まれるとまではいわないが、栄養状態が悪くなるのは避けられない。
一般消費税というのは、実に恐ろしい税金なのだ。
これはどうなのよ、という声が起きる。
そこで、食料品は非課税、ゼロ税率、低税率という動きになる。国民が基盤の国の政治としては当然の話だ。
***** 本来、消費税はやってはならない税金なのだけれど *****
日本も食料品を8%の軽減税率とした。しかし、これでもAさんは9個しか買えない。
108円×9個=972円(1,000円-972円=28円)
何んとも過酷な税金である。
もしゼロなら、もうひとつパンを食べることができる。
だから、食料品ゼロの公約が「悲願」だとすれば、政治家として歓迎してよい。
即決・速攻なぜやらない
ならば、急に話をそらしたり、長い検討時間をかけたりせず、数の力で即決・速攻でなぜやらないのか。
そういう風に動かないのは、彼女の政治理念が実はそこにないからといわざるを得ない。
思うに、政治家として、どのような日本社会を目指しているのかという理念の問題に行着くのだが、高市さんの動きをみていると、新自由主義の申し子として、企業利益中心主義の政治をアメリカと一体的関係の中で推し進めるという政治理念で動いていると分析できる。
このような理念を持つ政治家主導で、日本国民は、あるいは近隣諸国の人々や、あるいは世界の人々は平穏な生活が送れるようになるのだろうか。
逆行しているのが現在で、ただただふらふら一人歩きしている「食料品の消費税ゼロ」はその象徴として我々に「危険信号」を送ってくれているのではないか。
ちなみに、食料に対する非課税、ゼロ税率、軽減税率の各国の状況(恒久的取扱い)は下図のとおり。(クリックで拡大)
この図は財務省提供だが、標準税率の順番を51国中上から42番目、下から6番目と、いかにも低い税率であるかの説明文をのせている。
完全なる印象操作のひとつだ。
食料品に対する税率となると、51国中上から21番目、下から31番目となり、なんと中位以上の高率の国である。
ちなみに、51国の食料品に対する平均税率は7.18%であり、日本は平均以上の8%という税率を食料品に課している。
国民に対して、やさしい国ではないのだ。騙されてはいけない。

