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   年末調整 令和元年分の留意点

 2019年も残すところ1ヶ月。 事業者(社)にとって年末調整を行う時期となりました。
 年末調整は、給与の支払者が給与の支払いを受ける一人一人について、毎月の給与や賞与などの支払の際に源泉徴収した税額と、その年の給与の総額について、納めなければならない税額(年税額)とを比べて、過不足を精算する作業です。
 従業員にとっては「年末調整」は所得税・住民税の確定申告ともいえるものです。
1 復興特別所得税
  所得税の2.1%の復興特別所得税の上乗せは、令和19年分まで続いています。
2 住宅ローン控除特例創設
  住宅取得等の借入金控除に追加する特例として、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に消費税10%が適用された住宅を購入し、住み始めることを条件に、所得税・住民税の控除期間が10年から13年に3年間延長されました。
 ただし、初年度は確定申告で手続きをする必要があります。

◎ 令和2年分からの改正点
  令和2年分より、給与所得控除及び基礎控除の見直しや、控除申告書の電子的控除証明書を添付して提出が可能となるなどの改正が行われます。

   控除(申告)誤りは ・・・ 追徴金の対象に

⦿ 配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額
 ・ 「配偶者控除等申告書」の提出が必要です。
 <配偶者控除のポイント>
 ◆ 配偶者控除額
 納税者本人の所得金額と配偶者の所得金額により控除額が異なります。
 控除額は、(納税者本人の合計所得額)
    900万円以下           900万円超950万円以下         950万円超1000万円以下
 <給与収入1120万円以下>  <給与収入1120万円超1170万円以下>  <給与収入1170万円超1220万円以下>
       38万円                  26万円                      13万円
  本人の合計所得金額1220万円超は、配偶者控除額は0円となります。
 ◆ 配偶者特別控除額
 控除額については、配偶者の収入に応じて減額されます。
 配偶者特別控除は納税者本人の所得制限もあります。
  <表で示すと次のとおりです>

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    態様別 控除一覧表

 年末調整に当たり、特に注意しなければならない点は「扶養控除等(異動)申告書」です(扶養控除の対象となるか、「年齢」と「所得」に気を付けましょう。)
人的控除には各種の控除パターン(下表の組み合わせ)があり、しっかりと控除しないと過大な税金を負担することになります。

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    特に注意しなければならない点

* 扶養制限
  ・平成16年1月2日以降に生まれた親族(16歳未満)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 控除額   0円
  ・平成16年1月1日以前に生まれた親族(16歳以上)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 控除額 38万円
  ・平成 9年1月2日~平成13年1月1日の生まれの親族(18歳以上23歳未満)・・・ 控除額 63万円
  ・平成25年1月1日以前に生まれた同居の老年者の親・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 控除額 58万円
  ・平成25年1月1日以前に生まれで同居老親以外の親族・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 控除額 48万円
  扶養控除は控除額が大きい、しっかりと確認しましょう。
  ○「扶養親族」とは、6親等以内の血族と3親等以内の姻族が対象となります。

* 所得制限
  扶養控除の対象となるか否かには「所得制限(合計所得金額38万円以下)」があります。
  ・給与(パート・アルバイト)だけの場合は、年収103万円以下
  ・事業を行っている場合は、 収入金額-必要経費 = 38万円以下
   *毎年「控除扶養親族」に該当しないと税務署から通知を受け追徴金を課税される例が多発しています。控除対象親族の「所得」は正確に確認しましょう。
   *本年は、配偶者の所得についても注意してください。

* その他
  ・平成31年.令和元年中に「出生」「就職」「結婚」「離婚」「死亡」等の異動
  ・「寡婦控除」は「死別」「離婚」「生死不明」等の条件で控除金額が異なります。
   *「老年者控除」廃止に伴い1人寡婦者は寡婦控除に該当します。
  ・「家庭内介護」をしている親族は、「(特別)障害者」に該当する場合があります。

    保険料控除には 「証明書」 が必要です

  「生命保険料控除」は、一般の生命保険料・個人年金保険料および「介護医療保険料」の3種類に区分されています。それぞれ独立して控除の対象になります。
     ・2012年1月以降の新契約の生命保険の場合
       一般の生命保険料控除額・・・最高4万円
       個人年金保険料控除額・・・・最高4万円
       介護保険料控除額・・・・・・最高4万円
     ・2011年12月以前の旧契約の生命保険の場合
       一般の生命保険料控除額・・・最高5万円
       個人年金保険料控除額・・・・最高5万円
        *(一般)(個人年金)(介護医療)は、証明書に表示してあります。

    その他 ・・・ 知って得する控除 → 還付申告しよう!

 ・社会保険料は、給与天引きのほか、個人で支払っている国民健康保険料・介護保険料・国民年金等も該当します(扶養家族の分も該当します)。・・・証明書の添付を必要とします。
  親族の分を支払っている場合は、支払者で控除できます。<年末調整で>

 ・「医療費控除」は、家族全員の医療費を1人がまとめて申告できます。また、同居以外の親族の医療費も支払っている場合はまとめて申告できます。<確定申告で>
  領収書をしっかりと集めてください。

    復興特別所得税がプラスされます

  25年1月からの復興特別所得税(2.1%)が増税されています。・・・25年間
  地方税の復興特別住民税(年1,000円)は、25年6月から10年間です。