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  国民の願いはひとつ  対立から平和へ

 今年も終戦の日を迎える。 戦後74回目を数える。 日本国民は平和を誓い、核兵器のない世界を誓い、平和な社会を願う。 しかし、現在の社会は国民の願いに沿ってきているだろうか?
 筆者も古希(70歳)を過ぎた。 明治維新(明治元年.1868)から77年で終戦である。 終戦から74年。 同じ年月がたとうとしている。

 終戦後の10年間は、内外ともに苦難と激動と独立体制の基礎固めの時代であり、国民も政治家も多くのことを体験し、学んだ。 その貴重な体験と反省から日本に民主主義が確立し、平和な社会と飛躍的な経済発展、福祉国家が建設された。
 74年経った今、この崇高な理念が継承されているのか?

 7月17日、朝日新聞、参議院選挙にむけて -「階級社会」中間層襲う転落不安- と題する記事が掲載された。(以下、引用)
 「閉塞感と不安、変化と希望・・・」 私たちはどこにいるのだろうか? 「階級社会」中間層を襲う転落不安。 60歳と28歳。世代を歩む道も違う2人へのインタビュー。
 「新・日本の階級社会」・筆者、社会学者・早稲田大学教授・橋本健二

 閉塞感が漂う日本社会の現状を見るには階級という視点が不可欠、という警鐘だ。
 不安定な雇用で収入も低く、結婚や子育て、老後の蓄えといった営みもままならない新しい階級「アンダークラス(下層階級)」の出現に注目すべきだと・・・。
 所得や資産格差の拡大にとどまらず、日本に新しい貧困階級が生まれつつある、という論考だ。
「一億総中流社会」という社会意識から変質した日本に国民の多くが気付きはじめた。 非正規雇用の増加が象徴と言えるという。
 筆者のいう「アンダークラス」とは、パートの主婦を除く非正規労働者たちを指す。60歳未満の平均個人年収は185万円。 職を失う恐れと先行き不安にさいなまされる日々を送る。 こうした層は900万人以上。 若者から高齢者まで広がっている。
 社会保障制度など「安心」の仕組みの未来は心もとない。 自分や家族もいずれ「転落」してしまうのでは―――。 中間層が転落の不安を抱えつつ、格差拡大もやむを得ないという「自己責任論」に傾きつつある。
 「(自身は転落しないという前提で)広がる格差を認める中間層と、是正を求めるアンダークラス。潜在的な対立が深まっている」

 欧米では中間層の衰退が社会の分断をもたらしたと言われる。
 フリーター、就職氷河期第一世代はもうすぐ60代。 『年金2000万円不足』問題が議論されているが、アンダークラスは蓄えもなく、働きたくとも働けず生活保護を受けることになる。 そうゆう時代があと10年くらいでやってくる。 その数、数百万人単位。
 中間層が「転落への不安」を自分事と見ているなら、重要な政治課題になるはずだか政治への参加意識は低い。・・・(今般の参議院選挙の投票率48.80%、18.19歳の若者に至っては31.33%)

 中間層とアンダークラスを束ねられる政策が必要だ。累進課税(大企業・富裕層への課税)の強化など最低の生活保障を実現する所得再配分政策を進めていかないと、もはや社会が維持できない。という。

 公営住宅の入居条件となっている保証人 ― 入居できずホームレスにならざるを得なかった。という高齢者や障害者の声も普通だ。

 分断と差別、格差を解消する政治がほしい。

 「税の集め方、税の使い方」に行きつく。

  大企業の内部留保450兆円  1億円以上の役員報酬

 大企業の内部留保が450兆円に迫っている。
 大企業はこれだけの内部留保をなぜため込むのか? 行き過ぎである。 社会と国民のためにはき出すべきである。

 役員報酬も高額化している。 2019年3月期決算の上場企業で1億円以上の報酬を得た役員は276社、567人。 合計金額は1176億円と過去最大となっている。

 大企業優遇税制のもと大企業は内部留保をため込み、役員報酬を年々増やし、従業員の賃上げは渋っている。

  40年前の最高税率は 98% 

 筆者が税務調査官として勤務していた時代(約40年前)、 所得税の最高税率は93%<所得税75%、住民税18%>であった。
 今は、50%<所得税40%、住民税10%>。 43%の減税である。
 1億円(課税所得)の高額所得者の減税金額は、4,300万円の減税<平均的サラリーマンの年間給与10名分以上(正規雇用者の平均給与418万円、非正規雇用者の平均給与171万円)>である。 それも毎年である。

 法人税も同様である。同、約35年前、 法人税基本税率は43.3%であった。 今は、23.4%。19.9%の減税である。
 10億円(課税所得)の企業の減税額は、1億9900万円の減税である。

 大企業・富裕層への課税強化は、所得の再配分機能(税の基本目的)を果たす為、当然の理であり、庶民の願いである。

  金の切れ目が 命の切れ目

 「大企業・富裕層はもっと税負担を」 「戦争兵器の爆買やめて社会保障に」 「大型公共事業より、くらし、福祉の充実を」 「高すぎる国民健康保険料を引き下げよ」 「消費税10%やめよ」参議院選挙でのスローガン。・・・ その底にある生活実態は『金の切れ目が、命の切れ目』の悲痛な叫びだ。
・ 国保料払えなかったら、保険証取り上げられた。
・ お金がないから、病院には行けない。
・ 家賃払えなかったら公営住宅を追い出された。
・ 病気になって税金滞納したら、年金収入を差押えられた。
・ 老人ホームに入居するお金がなく、食事するお金もなく餓死した。
・ 親の在宅介護のため仕事を辞めた。親が死亡したが親の年金が止められるためそのまま放置。

   ・・・ 「○○ 長生きして悪かったな」と遺書を残して命を絶った。

 憲法30条
 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。
 ・・・国民は皆、納税の義務を果たしてきている。

 憲法25条
 すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 国は、全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び推進に努めなければならない。

 おかしい? 国民の義務は強行規定である。 国の義務は努力規定である。 ・・・ 国は努力しているだけで国民の命を守らなくてよいのか?
 納税の義務も努力規定にしてもらいたいものだ。

  「身を切る改革」というが

 参議院選、ある政党は「身を切る改革」と称し、国会議員の削減、議員歳費の削減を声高らかに訴えていたが、政党助成金の返上は一言も触れていない。 政党助成金は「政党による税金の山分け」でしかない。 ・・・ 使い残しても返還義務はない。
 そもそも政党助成金は、企業・団体寄付を禁止(企業・団体による政治支配を排除)することを条件に成立したものだ。
 しかし、この条件はいつか忘れ去られ、企業・団体寄付を温存したまま政党助成金まで国民の税金からかすめ取っている。
 また、本来禁止されているはずの補助金受給企業からの政治団体への献金の多くが、骨抜きにされ(対象外92.7%、恐れがある7.3%=100%=違法0%)、各府省庁の判断で制限対象外とされている。
 なんとも悲しい政党、政治家、役人である。

 国民は、納税の義務のみ押しつけられ、何の見返りもない。

 今年も8月がきた。 戦争は、分断と対立を煽り国家が引き起こすもの。 国民は戦争など望んでいない。 あらためて「平和」とは何か。 「幸福」とは何か。 考えてみる月だ。