法人税・所得税の穴埋めに ・・・ 消費増税
消費増税が10月1日から と目前に迫ってきた。
安倍首相は参議院選挙後、消費税率引き上げについて「伸びていく社会保障費に対応していくため」「全世帯型社会保障を確保していくため」と言っているが、世界経済の不安定化・日本経済の先行き不透明・国民の生活不安は依然として根強く、過去2回の消費税増税延期時より経済情勢は悪く、『消費税増税反対』の国民の声は依然50%以上と大きい。
『社会保障のための消費税増税』との“悪魔の選択”の論理が蔓延っているが、果たして「消費税」が「社会保障」の財源に役立ってきたのか? 全く役立っていないのが事実である。
“悪魔の選択”は、“悪魔のささやき”であり、そこに正義も真実もない。
この間、消費税増税分が法人税や所得税の減税に置き換えられたに過ぎず、『社会保障のための消費税増税』はマヤカシノ論理・悪魔のささやきであることは明らかだ。 1989年度から2018年度までの消費税収は累計で372兆円。一方、同時期の法人税の減収分は累計で291兆円。消費税収の8割が法人税収の減税の穴埋めに使われている。
消費税導入時比較でみる消費税・法人税・所得税の税収推移<税収規模はほぼ同額>
消費税収 法人税収 所得税収 総額
1990年度 4.6兆円 28.0兆円 18.4兆円 49.0兆円
+13.0兆円↓ △6.1兆円↓ △6.1超円↓ 単年度税収増減
2018年度 17.6兆円 19.9兆円 12.3兆円 49.8兆円
消費税導入時との比較(上記)で、現在の税収構造は、消費税収が消費税導入時の所得税収に匹敵するまでに増えているにも関わらず、国の税収総額(三税)はまったく増えていない。
財務省は2018年度一般会計の決算概要を発表した際、「国の税収はバブル期を超えた最高」と発表しているが、上図でみれば、増えたのは消費税13.0兆円だけ、法人税と所得税はそれぞれ6.1兆円の減であり、消費税増税分が法人税・所得税の穴埋めにされただけである。
中小零細企業や国(庶)民はこれだけの法人税・所得税減税の恩恵を感じているだろうか? ほとんどが感じていない。
法人税と所得税の減税は、大企業と富裕層向けであり、中小零細企業や国(庶)民は減税の恩恵にあずかっていないからである。 消費税増税は中小零細企業や国(庶)民のみ税負担を強化しただけである。
仮に、法人税・所得税の減税が行われず、消費税が現行のように推移したとすれば、この間の税収は累計で372超円にも上る。 ・・・ 十分な社会保障財源である。
それでも社会保障削減 ・ 負担は増加
安倍内閣のこの7年間、社会保障費は4兆2720億円削減された。 この先も社会保障の給付削減、負担増が実施される。 75歳以上の医療費窓口負担の2割化、受診時定額負担、薬剤負担の見直し。 要介護1.2の生活援助の保険外しや利用料2割負担化。 さらに、年金受給もマクロ経済スライドの実施で減額される。 基礎年金給付は7兆円の削減を目指している。
社会保障を消費税に頼らず、大企業や富裕層に公平な税負担 <応能負担> を求めることが今こそ重要である。
「応能負担」と「所得の再配分」という税の基本に立ち返った論議こそ社会保障の安定財源を確保する道である。
消費税対策 ・ 社会しらずの官僚Q&A
政府は消費税増税に際し、住宅・自動車購入時の減税や中小小売でのチャッシュレス利用にポイント還元や商品券配布など増税分を超える「対策」を行なおうとしている。
この対策自体、前回(8%へ増税時)の二番煎じであり、対策自体が格差を広げる“愚策”である。
事業者には、区分記載請求書等の発行を求め(レジの買換を要する)、その区分記載に従って帳簿を記載させる。 その区分記載がなければ請求書も領収書も対応できない。 区分記載の帳簿がなければ消費税の計算も申告書の作成もできない、消費税仕入控除を認めない。という。
8%の軽減税率にいたっては、商店街でソフトクリームを買った。 商店街に設置してあるベンチで食べたら飲食だから10%。 歩きながら食べたら持ち帰りだから8%だと言う。 ・・・
商店主は、どこで判断したらよいのか? 間違ったら誰が責任(税負担)を負うのか? ・・・
事業主責任である。
国税庁はこれらのQ&Aを発表したが、社会を知らない机上の官僚問答であり、役に立たないものだらけだ!
役人は社会を知らない。社会を知らない役人は法律をつくるな! と声を大にして言いたい。
データ破棄、文書改ざん、国会答弁拒否、責任感の欠如、背任。 挙句に不起訴(嫌疑不十分)。役人、政治家は国民から遠く離れた人種だ。