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   露骨な 論功行賞

 「もう、税金ははらわないよ!」・・・。7月5日付で国税庁長官に就いた佐川宣寿前財務省理財局長に対し、国税庁や全国の税務署に苦情が殺到しているという。

 佐川氏は、大阪の学校法人「森友学園」に国有地を異常な格安(8億円の値引)価額で売却した問題をめぐる国会答弁で野党側の追及を・・・「適正な価格で売却した」・・・とノラリクラリはぐらかし、事実確認や記録の提出を一切拒否してきた人物だ。

  国会で答弁する佐川理財局長(当時)
       (ネット配信ニュースから転載)
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   「適正・公平」を何よりも求められる課税庁のトップとして最もふさわしくない人物。 露骨な論功行賞人事(ウソをつき、資料を隠蔽し、破棄し、安倍首相のポチに徹した業績)であり、安倍政権の官僚を意のままに操縦する権力の私物化である。

 現場の真面目な税務職員はたまったものではない。OBも同様だ。
 この苦情について国税庁は、「日々、納税者の方々から様々なご意見をいただくなかで、長官就任に関するご意見があることは承知しております。」(広報)としている。・・・ 何を承知しているのか? またもや国民のご意見を握りつぶすのか?

 佐川長官は今のところ、メディアの取材には一切応じていない。 だんまり戦術である。
 私も現職(税務職員)のころ、“親しまれる税務署”とのスローガンのもと、窓口の対応や調査の際の言葉づかい、服装、 外部への税法解釈・納税申告の手続やサービス広報活動まで納税者の信頼を得るため真剣に行動してきた。税務署挙げて行動してきた。 それが公務員(公僕)の姿勢だと思ってきた。 いつからお上の犬と化してしまったのか? 嘆かわしい限りだ。

  「文句言えばクビになる」 官邸主導のゆがみ

 「おれは分かって言ってるんだ。ちゃんとやれ」(菅義偉官房長官) 「総理からは言えないから、私から言う」(和泉総理補佐官) ・・・ 「総理のご意向」は様々な表現で官僚に伝えられる。

 税制改正をめぐる論議でも山場を迎えると常に出てくる“ご意向”だ。
 『文句を言いたければ、言え』と官邸はいうが、「本当に言ったらやつはクビになる」と官僚は首をすくめる。
 「カジノ解禁法案」「憲法改正論議」・・・「口を開けば唇寒し」表だって反対しない。
 多様な視点に立ち、政権にとって不都合であっても必要な政策は前に進めるという民主的な行政のあり方が歪められている。

 これが一党独裁(自公)の実態だ。 国民のための政策など望むすべもない。

   なぜ 検察は手を付けない

 安倍首相を守って国家・国民に損害を与えることの片棒を担いだ佐川現国税庁長官。森友事件に関して「財務省の官僚7名」が告発され、東京地検は受理している。
 森友学園は告発に対して強制調査が行われたが、財務省の官僚には調査が行われていない。なぜ?
総理のご意向が働いているのか?

 告発人が告発状の公開をしている。<告発状の一部を以下抜粋>

 告発状>
 平成29年5月15日
 東京地方検察庁 御中
 告発人  別紙告発人目録記載のとおり
 被告発人 田中一穂(元支出負担行為担当官財務省理財局長)
      迫田英典(前財務省理財局長)       ・・・前.国税庁長官(筆者.加筆)
      佐川宣寿(支出負担行為担当官財務省理財局長)・・・現.国税庁長官(筆者.加筆)
      以下、略
 ■告発の趣旨
 被告発人らの下記行為は、それぞれ公用文書等毀棄罪(刑法258条)を構成すると思われるので、刑事上の処罰を求める。

 ■告発の事実
 被告発人竹内良樹は前近畿財務局長として、及び同池田靖は近畿財務局管財部統括国有財産管理官として、近畿財務局において、同局の管轄にある国有財産の処理及び管理、並びにそれらに関連する業務に従事していたものであり、同田中一穂は元支出負担行為担当官財務省理財局長として、同佐川宣寿は支出負担行為担当官財務省理財局長として、同迫田英典は前財務省理財局長として、同中尾睦は財務省理財局次長として、及び田村嘉啓は理財局国有財産業務課国有財産審理室長として、同財務省理財局において、同様に、国有財産の処理及び管理を統括する業務に従事していたものであるが、共謀のうえ、あるいは同局局員に指示するなどして、平成28年6月20頃から平成29年2月23日頃の間において、近畿財務局が、学校法人森友学園との間に売買契約を締結した豊中市野田町1501番宅地8,770.43平方メートルの国有地(以下「本件土地という)の売買契約に至るまでの交渉経緯等に関する、近畿財務局の管理に係る公用文書である一連の書類(以下「本件公用文書」という)を、不法に破棄・隠匿するなどし、もって公用文書を毀棄した。

   それでも 税務調査本格化

新国税庁長官に任命された佐川宣寿氏のことでネットの世界は炎上している。
 民族大移動と言われる税務職員の人事異動が7月10日行われた。
 異動とともに調査通知が一斉に行われている。 税務職員にとっては、今後の8ヶ月から1年が、来年7月の人事異動と来年4月の人事考課に影響する重要な年度の始まりである。
 税務職員は何としても成績を上げなければ? 人事に響く 将来の自分の居場所がなくなる。 左遷されたら、家族の生活と子供の学校にも影響する。
 行き着く先は、権力的な税務調査である。 自分の成績を上げるために?

 ほとんどの税務職員にとって、佐川新国税庁長官など雲の上の人であり、会うこともない肩書の人である。
 炎上していることで、職務的には火の粉を被ってくるが、公務員である以上「指示命令違反」は命取りになる。従順に従い、淡々と職務に専念するしかない。

 問題は、人事権を巧みに利用し、公務員を私物化し、犬のごとく使い捨てる官邸にある。
 一線の税務職員は、権力者に利用されず、法令遵守をもって、公務員=公僕らしく職務を遂行してもらいたいものである。