罰則強化 ・ 強権調査 ・ 差押横行
国税通則法126条 納税義務者がすべき国税の課税標準の申告(その修正を含む。以下この条に おいて「申告」という。)をしないこと、虚偽の申告をすること又は国税の徴収若しくは納 付をしないことを扇動した者は、3年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。 2 納税者がすべき申告をさせないため、虚偽の申告をさせるため、又は国税の徴収若しく は納付をさせないために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。 |
2017年度税制改正は、国税犯則取締法を改編し、国税通則法の中に(犯則事件の調査及び処分)を設けて、その中に(扇動犯)、(罰則)を潜り込ませた。(上記規定)
国家(租税)に刃向かう者は“反逆罪”である。それを煽り・そそのかす者も同罪である。
これが今回導入された条文の内容である。 国税犯則取締法に規定されていたものを一般法である国税通則法に編入してきた。 テロの防止として国民の内面まで処罰しようとしている「共謀罪」と同質の内容である。
本来、犯罪は、刑事訴訟法の手続によって捜査機関による検査と裁判所による審理が行なわれるのが原則である。
税務官吏による捜査(警察権)と審理(裁判権)が一体として行われる。究極の悪法となった。
法は、国民に対して敵対的・強制的権力を行使するとき、その国家権力を抑えるために必要となる。
国税通則法には、納税者の権利(憲章)を規定しなければならないが、先進国の中で唯一日本だけが定めていない。 定めていないどころか、国民は常に脱税する。 罰則を強化しないと、見せしめにならない。 との規定ばかりが目立つ。
税務署は、国民の基本的人権に対して侵害行為をしがちである。納税者の人権を侵害しないよう、税務職員が納税者から税金をとる場合には、このルールに従いなさいと命じているのが税法である。
また、納税者の人権を侵害しないよう税務行政手続きには最大限の配慮がなされなければならないと規定しているのが国税庁の「税務運営方針」である。
「扇動罪」については当月の「税金ウォッチ」でも取り上げている。合わせて読んでいただきたい。
「適正な調査をするよう 税務署を指導する」
店舗・自宅と取引先に、事前通知なしに税務職員6人が押しかけてきた。 日を改めるよう求めたが、予告なしの調査は法で認められていると強行。 目の前で書類やパソコン内を無断で捜索、金庫や夫人のバッグの中身まで検査した。 経営者には、女がいるだろう? いくら貢いでいるのか? と人権を侵害するような言辞を平然と発する。
取引先には、○○は脱税している。 このまま取引を続けると、あなたも脱税していると思われるよ! 正直に白状した方が良い。
このような事例は、日常から見聞きする。
2月22日の衆院財務金融委員会で、日本共産党の宮本議員の各地で犯罪まがいの税務調査が行われていることを告発し、是正を求めたのに対し、飯塚国税庁次長は「適正な調査をするよう税務署を指導する」約束した。
国税庁次長が国会の場で約束しなければならないほど税務署の実態は“強権的調査”が横行しているのだ。
「住民に信頼される税務行政に」
経済的困窮から地方税を滞納する住民に対し、生存権を踏みにじるような“差押”が横行している徴税行政に、自殺事例や、生活費まで差押える実態告発(同党、梅村議員)・・・国税庁の「税務運営方針」(納税者に親切に接し、苦情あるいは不満は積極的に解決するよう努めなければならない)・・・は地方税の徴税業務にも当てはまるか? の質問に対し、総務省の林﨑自治税務局長は、「当てはまる」と答えた。
高市総務大臣も滞納処遇に対し、「個別の事情を十分に把握し、適切に行うべきだ」と応じた。
税務調査・徴税業務 ・ 現場の横暴に歯止めを!
今回の国税通則法改正は、税務調査の適正手続きを骨抜きにするものであり、税務行政・徴税行政の横暴を歯止めるものにつながりかねない。
強権的・非人道的実態を告発し、現場の横暴を阻止し、真に民主的な税務行政を求めなければならない。