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  「源泉徴収票」の見方

 確定申告の受付が2月16日から始まっています。払い過ぎていた税金が戻ってくる還付申告はいつでもできます。過去5年分まで出来ます。

 「納税の義務」とは、法律の定めにより負担するもので、過大に負担を求めているものではありません。過大に負担した(払い過ぎた)税金を戻す(還付申告)のも国民の義務です。
 まずは、自分が税金をいくら払っているか確認しましょう。

 源泉徴収票を例に確認してみると、支払いを受ける者の住所欄の下に「支払金額」という欄があります。これが年間収入(総支給額)となります。その右側に「給与所得控除後の金額」が記載されています。これは給与総支給額から給与所得者の必要経費(給与所得控除)を控除した後の給与所得金額であり、法令規定により自動的に計算されます。
 その右側に「所得控除の額の合計額」が記載されています。これは社会保険料等の金額、生命保険料の控除額、地震保険料の控除額、扶養控除額、配偶者(特別)控除額、基礎控除額の合計額が記載されています。
 給与所得控除後の金額(所得金額)から上記所得控除の額の合計額(所得から差し引かれる金額)を差し引いた金額が課税所得金額(税金がかかる所得金額)となり、その金額に応じ税率5%~45%の所得税(復興特別所得税が加算)が計算されます。・・・これが最終的な所得税額になります。

  所得税が還付されるか ?

 では、どうゆう事由があれば所得税が還付されるか ? 考えてみます。・・・年末調整では計算に加味されない支出があった場合(年末調整ではすべての控除が計算されない)です。

医療費控除
 一般的(所得金額が200万円以上)には、支払った医療費が10万円を超える場合は、その超えた金額について「医療費控除」として所得から差し引かれます。
 「給与所得控除後の金額」(他に所得があればその合計所得金額)が200万円未満の者は、その5%の金額を超えた場合は「医療費控除」の対象となります。
 例〉合計所得金額100万円の場合、100万円×5%=5万円で、5万円を超えれば医療費控除の対象とまります。

 医療費の対象となる支払には、通院のための交通費も含まれます。
 夫婦で所得があり、それぞれに10万円の医療費がある場合、それぞれで医療費控除を申告すると10万円の壁に突き当たり、控除額はそれぞれ0円となりますが、生計を一にしている場合は家族の分をまとめて1人が控除することが出来ます。 上例では、1人が20万円の医療費として申告すると10万円の「医療費控除」を受けることが出来ます。
 保険金等で補填された金額は支払額から差し引く必要があります。

配偶者控除
 配偶者控除は、配偶者の合計所得が38万円以下の場合が対象(パートなどの給与収入の場合、俗に103万円の壁とも言われる)となります。
 公的年金等のみの場合は103万円ではありません。昭和27年1月2日以後の生まれの方の場合は年金収入108万円、それ以前の生まれの方は158万円以下の場合は該当します。
 所得の種類によって違いがありますので注意してみてください。
 また、70歳以上の方の場合は、38万円ではなく48万円の控除額となります。

 では、会社の都合でパート収入が103万円を超えてしまったらどうでしょう。緩和措置として配偶者特別控除が受けられます。パート収入が103万円超、141万円未満の場合は38万円~3万円までの段階的控除を受けることが出来ます。

扶養控除
 扶養控除は生計を一にしている扶養親族が対象です。・・・扶養控除の対象となる親族とは6親等内の血族又は3親等内の姻族(再従兄弟姉妹・妻方の甥姪)までです。
 また、同居していることが条件とはなりません。・・・仕送りしている田舎の親・祖父母でも経済的援助をしていれば生計を一にしていることになり、所得制限以下(上記配偶者控除の所得制限と同じ)であれば扶養控除を受けることが出来ます。

 勤務先に扶養控除の対象として届け出ていなければ、確定申告で還付を受けられます。

障害者控除
 障害者控除も勤務先に届出を忘れがちな項目です。
 障害という高度なプライバシーに関する事項ですので、勤務先に届出をしていない人が多くみられます。確定申告をすることで税金の還付を受けることが出来ます。

 人は、年齢とともに運動能力や判断力の低下は避けられません。障害者手帳の交付を受けているか否かだけでなく、障害者に該当するか否かを検討することも必要です。
 加齢による障害は年々悪化することが多く、昨年は適用されなかったが、今年は適用されるという場合もあります。

 障害者控除には、一般の障害者控除と特別の障害者控除の2つの区分があります。
 要介護認定の程度や生活能力の程度によって判定されます。
 所得税法上の障害者の判定基準と介護サービスの提供を受ける判断基準とは異なっています。正しく判断することで無用な税金は正しく還付を受けましょう。

寄附金控除
 所得金額から控除されるものに「寄付金控除」があります。近年「ふるさと納税」が人気を博していますが、そのほかに政党に対する寄付金や公益法人等に対する寄付金があります。年末調整では控除することが出来ませんので、確定申告で還付を受けることが必要です。

雑損控除
 災害や盗難などで資産に損害を受けた場合等は「雑損控除」を受けることが出来ます。
 雑損控除の対象となる資産は、事業上の資産や生活に通常必要でない資産は含まれません。事業上の資産は事業所得上の損失として計上し、生活に通常必要でない資産は所得税の減免対象にはなりません。

 その他、住宅借入金等特別控除等がありますが、詳しくは税理士か税務署へお尋ねください。

● 所得税の還付を受けられる人(主な例)
 ① 雑損控除、医療費控除、寄付金控除、配当控除、住宅ローン控除を受ける
   ・ 確定申告をしなければ所得税の還付は受けられません
 ② 会社で年末調整(控除の申告もれ等含む)を受けなかった
 ③ 年末調整制度がない公的年金収入

  マイナンバー ・ 記載なくても受理される !

 28年分の確定申告から、いわゆるマイナンバー法が運用されています。確定申告書にもマイナンバーの記載箇所があり、マイナンバーを記載した場合には ・マイナンバーカードの表裏(写真付)をコピーして添付をするか、マイナンバー通知書と本人確認のための身分証明書(写真付)等のコピーを添付するよう求められています。

 マイナンバーの記載がない「確定申告書」であっても国税庁は受理することを明らかにしていますので、安心して確定申告で還付を受けましょう。