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  国税庁の破滅的権力体質

 大相撲の賭博問題が世間をにぎわせた。NHKは、日本相撲協会の取り組み(反省)が不十分ということで名古屋場所の中継放送を中止した。中継放送をすれば、受信料を支払っている視聴者の理解が得られないとの判断である。
 日本相撲協会は、「厳粛に受け止める。新生した姿で全員一丸となって総力を上げて取り組む。」とのコメントを発表した。

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 角界の不祥事は、野球賭博問題だけでなく、相撲協会のコンプライアンス(法令遵守)を確立できないことが大きい。単に一部の力士や親方が責任を取ったからといって協会が変わらない「協会の常識は、社会の非常識」ということにあるだろう。
 一方、生命保険金の「二重課税」(違法性を指摘した最高裁判決)に対する国税庁の反省はどうだろう。・・・租税において二重課税は絶対にあってはならないこと。
最高裁判決は、「相続税の対象となった生命保険金の年金部分に、さらに所得税も課すのは“二重課税で違法”とするものである。」
 ごくごく当たり前の判決である。この当たり前のことがなぜ今までまかり通っていたのか? 「税務署(お上)の言うことは正しい。」「税務署(お上)に逆らうととんでもないことになる。」・・・など、泣く子と地頭には逆らわないほうがよいということで争ってこなかったからである。

  主権者は、納税者・国民である

 しかし、国税庁の関係者は、“いったん確定した税金を戻す(還付)には、「更正」の手続が必要となる。今回の判決に伴って、国税庁が課税実務の変更を公表した後、納税者は2ヶ月以内に「更正の請求」をする。「更正に請求」が提出されれば税務当局が内容を審査した上で来年3月中旬までに更正処分手続をして税金を還付する。”との方向を示した。
 消えた年金・消された年金・・・受給者の申し出に基づいて、証拠が確認できれば復活するといって未だに進展しない厚生労働省と何か似ている。
 ここには自らの違法性の反省は微塵も無く、主権者である納税者の不信感を払拭する態度は見られない。
 日本相撲協会に対するNHKや世論の対応と格段の差である。
 もっともっと納税者は怒るべきではないだろうか。
 今までにも国税当局の違法性を指摘し、課税処分を取り消した判決は数多く出されているが、主権者である納税者・国民に謝罪し、真摯に対応した国税庁の姿勢を見たことがない。
 スウェーデンにこんな言葉がある、「国家は偉大なる父親である。」  信用できる偉大なる父親(国家)になってもらいたいものである。

  何だったのか ?
   特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度

 平成18年度税制改正で唐突に導入された法人税第35条(特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度)
 この制度は、平成22年税制改正で廃止が実現したが、そもそも国税庁の納税者悪者(納税者は皆脱税している。)論にその根があった。
 中小企業(家族構成の同族会社)は、税金回避のために法人設立(所得税課税→法人税課税)し役員給与の支給を受けている。その役員給与も一般のサラリーマンの控除(給与所得控除)をして、税金を不当に逃れている。との発想である。
 大企業とは違い優遇税制の恩恵にはほとんど与れず、元請企業の締め付けと単価切り下げにも耐えて必死になって日本の経済を支えてきた中小企業。消費税導入後は、個人では取引から排除され、消費税の転嫁もできず身銭を切って税金を支払ってきたのが中小企業である。
 国税庁の道理のない法人税第35条改正に対抗し、法人の株主構成を変更したり、役員更正を変更したりしてきたが、あの混乱は何であったのか。国税庁は何も反省していない。
 申告納税制度は、国民主権の納税制度への具現である。「租税を課すには必ず国民の同意を得なければならない。」という憲法が定める租税法律主義に担保されてこそ、国民が安心して納税できるものであり、公正な税制こそが重要である。