山梨県知事の上告棄却、旅行費用の返還命令確定
山梨県議会の海外研修旅行を「研修に名を借りた私的旅行」と断じて、旅行費用の返還を命じた東京高裁判決(2013.9.19)を不服として山梨県知事が上告していた争いで20日、最高裁は上告を棄却した。
これにより、東京高裁が旅行費用の全額(約850万円)の返還を、研修に参加した11人の県議(すべて自民系会派・元職含む)に求めるよう知事に命じた東京高裁判決が確定した。
対象とされた研修旅行は、2009年7月~2010年4月までに実施された4件。「山梨県議会研修要綱」や『政務調査費』から費用が支出されたものだ。
ホワイトハウスやメトロポリタン美術館(アメリカ)、ピラミッド、海峡クルーズ(エジプト)など連日観光名所が並ぶ研修日程について「海外研修に名を借りた私的旅行」と東京高裁判決は断じた。
原告団からは、「県議会の海外視察が県民の税金を使った観光旅行だったと司法が完全に認めた意義は大きい」と喜びを語り、「観光旅行同然の海外視察が、あまりにひどい税金の無駄遣いと断罪された。この制度を廃止させ、引き続き議会改革を求める幅広い県民の声を結集していく」と訴えた。
県民にとって福祉や医療が一番大事なときに、増税のウラで議員が税金を私的に使うことは断じて許されないことは当然である。
神奈川県議会も同様だ。黒岩知事と県議会は財政が大変だと福祉、くらしの施策を削るなか、県議による海外旅行だけは削らずに実行している。
税法に規定されている『海外渡航費』
税法にも海外旅行費(渡航費)が会社の損金(経費)になるか否か規定されている。
法人税基本通達9-7-6は、 『法人がその役員または使用人の海外渡航に際して支給する旅費(支度金を含む。以下この款において同じ。)は、その海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のための通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経理を認める。したがって、法人の業務の遂行上必要と認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、法人の業務上必要と認められる海外渡航であってもその旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超えた部分の金額については、原則として、当該役員又は使用人に対する給与とする。』 と厳格に規定している。
税務上の原則は、 ① その海外渡航が法人の業務遂行上必要なものであること。 ② その支給する海外渡航費が通常必要と認められる金額の範囲内のものであること。 の2点とも満たさない限り損金(経費)とは認めない。ということである。
海外渡航費に関する関連通達は、同基本通達9-7-7~9-7-10にかけて規定されており、国税庁では、平成12年10月11日付課法2-15(課所4-24、査調4-29)「海外渡航費の取扱いについて(法令解釈通達)」まで発表している。
多くの都道府県、市町村で海外視察・管外視察と称し議員・職員の旅行が行われているが、最低限この税法の規定を参考にすべきであろう。
ゼネコンへの官僚OB天下りも
ゼネコンが自治体OBの天下りを受け入れているのも同じ構造だ。ゼネコンは営業手段のひとつで、仕事をもらったお礼にOB天下りを受け入れている。
天下りした自治体OBの主な仕事は、行政との仲立ちとか、公共事業発注の情報収集が主な役割だ。
それ以外にOB天下りの活躍できる仕事はない。
ドラマではよく目にするストーリーだが、いったん天下りルートができると止められない。自治体とゼネコンとの間に「面倒をみる」「面倒をみられる」というギブ・アンド・テイクの関係ができ上がる。これが天下りシステムと言われるものだ。
国民の税金を扱う自治体と、営利追求を目的として事業を行う民間企業との関係は、きちんとけじめをつけ筋を通すことが必要だ。
自治体が住民ではなく、営利企業の利益のために奉仕し、住民の税金を浪費するという歪んだ関係は断ち切ることが重要だ。
336の公益法人が幽霊.100億円の資産が行方不明
国や都道府県が所管し、税の優遇や税からの補助金を受け、天下り官僚の巣ともなっていた公益法人のうち、全国で336の法人が幽霊法人となっていたり、役員と連絡すら取れなくなっていたりし、100億円の資産が行方不明になっていることがNHKの取材で分かった。
この資産は、国や都道府県に移し、公益性の高い事業に使うことが法律で定められている。いわば公的資産であるにもかかわらず、行方不明となっている。
これらの公益法人は、税の優遇措置が適用され、行政から(税の)補助金が注ぎ込まれ、OB天下りの温床となっていた法人である。
結果、政治も役人も誰も責任を取らないだろう。
税金は国民のものであり、官僚・役人や議員のものではない。ましてやゼネコンの利益のものでもない。税金の使われ方について徹底した監視が必要だ。
今だにもらい続けている 「政党助成金」
消費税が増税された4月1日、今年(20年目)の各政党への「政党交付金(政党助成金)」の金額が発表された。
助成対象は9つの政党(日本共産党は拒否)、総額320億円だ。
国民はアベノミクスの恩恵にあずかれず、消費増税に直撃され、1円でも切り詰めようと生活に苦心しているさなかである。
政党助成金制度ができたのは、企業献金による政治の腐敗 ― 官僚OB天下りとゼネコン・政官民癒着システムと同様の構図 ― が目に余り、企業献金を廃止し、その代わりに政党財政を税金で支援することで成立した。しかし、企業・団体献金は続き、政党は企業献金と政党助成金の“二つの財布”をもっている。
さらに「個人的借入金」と称し、党首が数億円単位のお金を企業から受け入れている。
国会議員歳費(報酬)にいたっては、“国会議員が生活に困窮するから”と2割カットを打ち止めにする。そもそも国会議員歳費の2割カットは、東日本大震災の復興費用捻出と議員も身を切ることが目的であった。(国民に負わされた復興特別所得税は25年続く)
期限(2年)が切れた(4月30日)からと、さっさと満額に戻す。2割削減されていても歳費は月額103万5200円、満額では月額129万4000円だ。
月額100万円以上もらっていて、「生活に困窮するから・・・」(石破自民党幹事長)とは国民の感覚では理解できない。 ・・・ 事前選挙活動にバラまいているから生活が困窮するのでは ? と石破幹事長に聞きたいものである。
国民には25年間も身を切らし続ける。国会議員自ら「身を削る」というなら、税金の分捕りである「政党助成金」を直ちに廃止し、国会議員歳費20%カットを国民並みに25年間続けるべきである。