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    ~判例にみる租税解釈の混迷とあるべき解釈論の課題~

 全国税制懇話会春季研究集会が4月13、14日熱海温泉で開催された。
 研究集会には全国から89名の仲間が参加し、第26回全国税制懇話会総会に続き研究発表が行われた。
 今回のメインテーマは、「租税法における文理解釈の重要性」と題し、中央大学名誉教授 大淵博義 先生の講演が行われた。
 講演する 大淵博義  中央大学名誉教授
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 大淵先生は、東京国税局直税部訟務官室.同局法人税課審理係.国税庁直税部審理室訟務専門官.東京国税局調査第1部特別国税調査官.税務大学校教授等を歴任し、平成7年3月退官された国税のOBである。
 租税法における文理解釈の意義と重要性について「法規解釈」の重要性を強調された。

 講演を熱心に聴く参加者
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 1 文理解釈の意義と重要性について
   ・ 法規解釈 では、
    文理解釈・・・成文法たる法律の条文の意味内容に即して明らかにすること。条文の字句や
文章構成に基づいて解釈すること。
    論理解釈・・・趣旨・目的等を考慮して解釈すること。
    を具体的事例を通じて論じた。
 2 文理解釈と論理解釈(目的論的解釈)の関連について
   ・ 文理解釈が主であり、論理解釈は従たる関係にある。 とし、
    租税法の解釈は、文理解釈によって得られた結論が社会通念上も妥当である場合には、納税者の予測可能性という租税法律主義の視座からも、その結果が納税者の租税負担の減少をもたらすものであるとしても、文理解釈が重視されるべきである。 と説いた。
    また、条文は一旦制定されると独り歩きするものである。 論理解釈は、目的論的に詰めていけば、 “いかなる解釈も可能だ” という考え方はいきすぎであって、論理解釈は、正しい文理解釈と併用されるべきである。 とした。
 3 租税法律主義と税法解釈について
   ・ 租税法律主義と論理解釈
    憲法84条における租税法律主義が基本とされる租税法の解釈にあたっては、他の一般私法と異なり、税法条文の文理解釈がより重要であり、条文の文理から離れた拡張解釈、縮小解釈等の論理解釈を展開することは慎重でなければならない。納税者の予測可能性が否定され、法的生活の安定性が阻害される。 と租税法における文理解釈の重要性を主張した。

 その他、「私法上の事実認定と税法の解釈適用の構造」「租税負担軽減行為と租税上の否認法理の関係」「税法の文理解釈を巡る最新判決の疑問点とその解明」 について事例を基に講演された。

  「集団的自衛権」(解釈改憲)は、文理解釈に反する

 事務所は、“● 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 ● 前項の目的を達するために、陸海空軍その他の戦力は、これを放棄する。 国の交戦権は、これを認めない。” という色紙を掲示している。
 憲法の制定権者は、国民にある。
 安倍政権は、この憲法9条を、真に文理解釈できるのだろうか ?  政治的な論理解釈で、日本国民のモノである憲法ですら勝手解釈し、再び戦争をする国へと進んでいる気がする。
 税務行政においても、租税法を税務署の都合よく論理解釈したり、国税通則法で納税者の予見可能性、調査の透明性が手続的に規定されたにもかかわらず、勝手解釈、強権調査・処分が後をたたない。
 政治家・役人とは「そんなもの・・・ 」と見過ごしてはいけない。
 あらためて『文理解釈』の重要性を感じた。

  宮澤副理事長・小田川事務局長  再任

 春季研究集会はそのほか
・ 税務行政の現状について・・・現場からの報告        鈴鹿 登氏
・ 大阪国税局資料調査課による違法な税務調査について
                            近畿ブロック   志形 明秀
・ 「質疑応答記録書」「事業概況等のお尋ね」への対応
                            関信ブロック   小田川豊作
・ 改正国税通則法下における「税務調査実態調査」報告と意見・討論
                            関信ブロック   宮澤 義雄
                            東京ブロック   岡田 俊明
の講演、報告、討論が行われ、無事閉会した。
 事務所から、宮澤義雄が副理事長・小田川豊作が事務局長に再任され、全国税制懇話会の事務局として(税)宮澤税務会計事務所が引き続き対応することが確認された。


* 「2014春季研究集会・講演報告集」  「同 関係資料集」 ― 予備を若干保存してありますので、事務所までお申し込みください。    定価2000円(送料別)