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 消費税増税の地ならし ・減税効果は誰のもの
                 ・増税負担は誰のもの

 与党(自民・公明)は、2013年度税制改正大綱を決定した。デフレ脱却と景気浮揚を税制面から後押しするためと、企業の設備投資や雇用拡大などを促す減税制度に重点を置いたという。
 しかし、雇用(労働者賃金)をコストとして考えている企業が雇用を拡大するとは思えず、14年間で総額34.8兆円もの労働者賃金を削減してきた大企業に期待することはできない。
 また、14年4月の消費税率8%への引き上げに備え、影響が大きい住宅や自動車には購入者負担を軽減する措置も実施というが、住宅ローン減税で40万円(総額400万円)の最高控除額を受けられる人(一般的納税者は20万円にも達しない・現行の住宅ローン減税は最高20万円)など庶民には1人もいない。
 減税効果は、国税・地方税あわせて2700億円と意気込んでいるが、大企業・金持に2700億円減税し、庶民へは10兆円の増税(37倍)となる。(消費税増税は1%約2兆円、5→8%段階で6兆円、8→10%段階で4兆円、合計10兆円)
 孫への教育資金贈与1500万円非課税にいたっては、1500万円もの教育資金を贈与できる祖父母など庶民の中には存在しない。

   企業も減税効果に ? マーク

 企業からも「今回の減税措置で雇用拡大は難しい」との声が早くも出ている。
 麻生副総理、財務・金融相ですら「・・・どう影響が出てくるか? いまひとつ読めない」と認めている。
 自民・公明・民主3党合意で強行した14年4月からの消費税8%への引き上げに向けた地ならし的な業界・金持減税でしかない。
 消費税増税への低所得者の反発を和らげる方策として盛り込んだ消費税10%への引き上げの際に軽減税率を目指すとの明記も、公明党の同意を得るためだけの玉虫色の表現、目指すとの方針のみで何の確約もない。

あなたは、どれに該当しますか?
2013年度税制改正大綱のポイント
➹ 増税
 減税
該当に
○を
      家       計
所得税増税
課税所得4,000万円超
最高税率45%
 
相続税増税
相続財産6億円超
最高税率55%
 
住宅ローン減税
年40万円以上の納税額と
4,000万円以上の借入額
 
住宅省エネ改修減税
省エネ改修工事
工事費の10%
 
自動車取得税
2014年4月縮小(消費税8%に)
2015年10月廃止(消費税10%に)
 
孫への教育資金贈与
1,500万円上限
非課税
 
少額投資非課税制度
年100万円まで
株式・株式投信
 
     企      業
研究開発
試験研究費の支出
法人税額から税額の3割まで控除
 
投資促進
設備投資を前年比10%超増
前倒し償却か税額控除
 
給与引上げ
平均給与の増額
増加給与額の1割分を減税
 
中小企業交際費
年800万円
全額損金算入
 
事業承継
親族以外の後継者へ事業承継
相続税・贈与税猶予
 
グリーン投資
熱電併給設備投資
即時償却
 
2つの増税項目に該当の〇がつきましたか? 11の減税項目に〇がつきましたか?
普通に暮らしているサラリーマンには、ほぼ無縁の改正で、消費税増税だけがのしかかってきます。
中小企業の恩恵は、ほぼ交際費のみ。赤字なら恩恵なし。

  
   ツケは消費税増税 ― 庶民負担

 与党(自民・公明)の2013年度税制改正大綱は、わずかばかりの超高額所得者増税で消費税増税と大企業・金持減税の批判をかわそうとするものである。
 生活費非課税・応能負担の原則はまったく議論されず、生活保護費の引き下げ・社会保障費切り捨て、労働者賃金と下請単価引き上げは無視されている。
 借金頼みの緊急経済対策は「強い者」への経済テコ入れであり、将来国民負担(消費税増税)でツケを払わせようとする「弱い者」いじめである。
 国民の税金で賄われている国家の財政の役割は、『過度の所得格差が生じた場合』 → 『政府がそれを是正していく』という所得再配分の機能を高めることが義務(弱い者の味方)である。それが税制であり、社会保障の制度である。
 今の政治はまったくの逆さまである。

   収入<増>の大企業 ― 納税額は<減>

 イギリスに本社を置く大企業「100社グループ」の納税状況に関する年次報告が発表された。それによると大企業の昨年の納税総額は、増収にもかかわらず前年比18%の減少であったことが明らかとなった。
 企業納税額の減少は租税回避によるものではなく税制上の課税低下によるものと説明している。日本も同様であるが大企業優遇税制が大企業の納税額を不当に減少させている。
 イギリスでは大企業の納税額が国民的批判を受け、世論の怒りを受け国会でも問題となっている。

   2013年度予算案・閣議決定 92兆6115億円
    貧困の連鎖 ・・・ 貧困者はさらに貧困に

 安倍内閣は2013年度政府予算案を閣議決定した。一般会計の総額は92兆6115億円とこれまでで最大の規模となった。
 大型公共事業へはバラマキ(12年度対比7119億円増の5兆2853億円)、軍事費は増額(12年度対比400億円増の4兆9600億円)。一方、社会保障関係費は抑制、生活保護費は670億円の削減。地方交付税も公務員の賃金を減らせと12年度対比3921億円減額している。
 安倍自民・公明の経済政策・予算案がこのまま執行され続ければ、“貧困の連鎖”・・・貧困者はさらに貧困となることは必至である。

   (高齢者は)さっさと死ねるようにしてもらいたい

 麻生副総理は社会保障制度改革国民会議で、高齢者の終末期医療費を問題視し、「政府のお金で(高齢者医療を)やってもらっていると思うと、ますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらうなど、いろいろ考えないと解決しない」「・・・死なせてもらわないと困っちゃうんですよね、ああゆうのは」と暴言を吐いた。
 戦後の日本社会を・日本経済を支え、日本の成長に貢献してきた先人(今は高齢者だが)、働き盛りにはしっかりと税金を納め、社会保険負担をしてきた人に、税金納付も、社会保険負担も終了した途端、生きていることすら邪魔者扱いする、“ああゆうのは”と蔑視する。(最後は国家が面倒見なくて何のための税金納付・社会保険納付だったのか ・・・ そんな政治・国家だから税金や社会保険など支払う気になれないのだ)
 人間の生存権すら“コスト”扱いして切り捨てる。そんな政治家のもとで国民生活の改善、豊かな老後を求めるのは無理ということか。