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  サラリーマンは原則、源泉徴収と勤務先が行う「年末調整」で税金の納付手続きが完了してしまう。
 それでは、サラリーマンは確定申告とは無縁なのか ?
 そうではありません。確定申告をすることで払い過ぎた税金を取り戻すことができます。
 もっとも身近なものは、「医療費控除」と「住宅借入金等特別控除」でしょう。

<医療費控除>
 医療費控除は、生計を一にする家族全員で、一年間に支払った医療費が合計10万円(所得が200万円以下の場合は、所得の5%)を超えたら確定申告をすることで納めた税金の還付を受けることができる制度です。

(注)  
 
*  同一生計であれば、医療を受けた各人でこの制度を受けるより、所得の最も高い人にまとめて受けたほうが得になります。(各人で10万円の足切りを受けてしまう)
 対象となる医療費には、治療のためのマッサージ代やはり代、市販の薬代のほか通院のための交通費も含まれますので、領収書・家計簿等で立証しましょう。
 * 同一生計とは、同居しているか否かではなく、「同一家計」で生活しているかであります。よって、同居している共働き夫婦や社会人として自立している子供の分でも良く、また、仕送りなどで生活の面倒を見ている子供や田舎の親なども分も該当します。

<住宅借入金等特別控除>
 住宅借入金等特別控除、いわゆる「ローン控除」は、納税額から直接差し引くもので、金額的には大きな還付です。
 適用要件はいろいろありますが、床面積が50㎡以上でかりいれきんの返済期間が10年以上のものであることを覚えておきましょう。 
(注)  
 
*  住宅ローン控除は、新築家屋の場合だけでなく、中古家屋、増改築家屋の場合も外資牛増す。
 また、住宅耐震改修工事や住宅特定改修工事(バリアフリー改修工事)も該当します。
 本年分の税制改正で、「認定長期優良住宅新築」(平成21年6月4日以降入居)に対する控除が創設されました。・・・・・それぞれ適用条件には注意してください。
 * 住宅借入金等特別控除関係は、初年度のみ確定申告をしなければ還付を受けられません。2年度以降、税務署から発行される「証明書」で年末調整することができます。 

<そのほかの控除>
 そのほか、確定申告をしなければ受けられない控除(年末調整では控除を受けられない)には、下記のようなものがあります。
■ 確定申告をすることで得をするケース
  1 災害や盗難、横領で被害を受けた 一定額以上の金額を所得から控除できる。
  2 寄付や「ふるさと納税」を行った 5,000円を超える部分を所得から控除できる
  3 年の中途で退職した 過大な源泉徴収税額を還付させることができる。
  4 退職金を受領し、その後収入がない 引き切れなかった所得控除を退職所得から控除できる。
  5 居宅を売却し利益が出た 利益が最高3,000万円まで控除できる。
  6 居宅を売却し損失が出た 他の所得の税金から還付することができる(最高3年間)。
  7 保有株式を売却し損失が出た 翌年以降の売却益と相殺できる。
■ 株式配当金の配当控除申告は注意を
 確定申告をすることで、得をするケースと損をするケースが発生します。
 課税所得が330万円以下の場合は、配当控除を受けることで得をします。
 課税所得が330万円超の場合は、税率が上がるため損をします。
 また、扶養となっている配偶者や家族が配当所得の源泉聴取税額の還付を求めて確定申告をすると、場合によっては配偶者控除や扶養控除を否認されたり、配偶者手当や扶養手当をカットされたりするケースもありますので注意しましょう。

年末調整での申告もれがあった場合も、確定申告で還付できます      

 年末調整の際、代行する勤務先へ申告し忘れた所得控除があった場合も、確定申告をすることで還付を受けることができます。
 年末調整で受けることができる所得控除は、「社会保険料控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「障害者控除」「寡婦(夫)控除」「配偶者控除」「扶養控除」などの人的控除、および2年目以降の「住宅借入金等特別控除」の税額控除です。

   * 後になって保険料控除の証明書が出てきた。
   * 子供(20歳過ぎの学生など)の国民年金を支払っていたが控除できるとは思わなかった。
   *

 年金暮らししている田舎の親が、所得が少なく扶養控除に該当するが 会社に知られたくなかった。

   * 収入のない叔父さんが寝たきりになり、介護と生活の面倒を見ているが扶養控除(同居特別障害者)・障害者控除(特別)を受けられるとは知らなかった。
   * 65歳以上の年齢で夫と死別しているが、老年者控除が廃止されたので何の控除も受けられないと思って(寡婦控除に該当できるようになった)申告しなかった。
   * 2年目以降の住宅借入金等特別控除を勤務先に出し忘れた。
 などです。
 過去5年間の分までさかのぼって受けることができる場合もありますので、今からでも遅くありません。
 (注) * 扶養控除に該当する親族とは、6親等内の血族と3親等内の姻族です。
      生計を同じにしている場合は控除の対象となります。(下表参照) 

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 年金の所得で確定申告をする人も注意しましょう
 

(注)
 
 老年者控除が廃止された関係で、夫と死別した場合は何歳であろうとも寡婦控除の対象となります。年金の所得で確定申告する人は、控除もれのないよう申告しましょう。
 寝たきりの人を扶養している場合は、特別障害者控除、同居特別障害者扶養控除(ともに障害者控除、扶養控除の割増控除)に該当し、控除額は大きくなりますのでしっかり申告しましょう。