住宅借入金等特別控除で改正あり
住宅エコポイント、グリーン家電エコポイントが国の政策として実施されています。民主党政権の右往左往で、付与される対象・期間やポイント数が動いていますが、エコポイントを得た場合の税務上の取扱いも変更があり、注意が必要です。 |
自分の住まい(非業務用)に関してエコポイントが付与された場合
(住宅・太陽光・省エネ改修などすべて同じ扱い)
まず、申告対象になるかどうかです。
エコポイントの所得区分は、一時所得となります。
エコポイントは1ポイント1円で換算します。
一時所得は50万円控除後の1/2が所得金額となりますので、50万円までは所得税の対象になりません。サラリーマン(1ヶ所の給与所得のみ)であれば給与所得以外の所得が20万円を超えなければ申告しなくてもよいので、エコポイントが900,000(=90万円)までは申告不要となります。
(900,000-500,000)×1/2=200,000 となるからです。
収入計上時期は、ポイントを①商品と交換したとき、または②追加工事の費用に充てたとき、です。
収入にあげる金額は、①商品と交換したときは商品の価額、②追加工事の費用に充てた金額、となります。したがって、その年で全部使わなければ、使った年ごとに収入としていきます。
注意してほしい点は、住宅借入金等特別控除を受ける場合です。
税制改正があり、23年6月30日以後の新築・増改築契約による住宅借入金等特別控除は、住宅等の取得価額から補助金等(エコポイントも対象となる)を控除して計算することになりました。
<改正前>23年6月29日以前の契約
住宅取得価額 20,000,000円 (追加工事含む契約額)
エコポイント 300,000 (全額追加費用充当=控除不要)
借入金 20,000,000円(年末残)
税額控除額 200,000円 (取得価額か借入金年末残高の少ない方の0.01%)
<改正後>23年6月30日以後の契約から
住宅取得価額 20,000,000円 (追加工事含む契約額)
エコポイント 300,000 (全額追加費用充当=控除必要)
補助金等控除後 19,700,000円……これが取得価額となります。
借入金 20,000,000円(年末残)
税額控除額 197,000円 (取得価額か借入金年末残高の少ない方の0.01%)
このように、エコポイントが税額控除額に跳ね返ります。これを控除して計算しないと追徴を受けることになります。
ところで、この家を売却することになった場合の取得原価ですが、これは20,000,000円となります。
その理由は、エコポイントは工事費用の支払い(決済)を現金に換えて行うだけで、値引ではないからです。
間違えて控除後の19,700,000円を原価にすると損しますから、ここも注意が必要です。
業務用のエコ住宅(店舗や貸家など)にエコポイントが付与された場合
(住宅・太陽光・省エネ改修などすべて同じ扱い)
エコポイントの所得区分は業務に係る所得(事業なら事業所得の雑収入、不動産貸付なら不動産所得の雑収入)になります。
収入計上時期や収入金額にあげる金額は、前述した自宅の場合と同じです。
ただし、2点注意が必要です。
①エコカー補助金は国庫補助金なので、総収入不算入を選択できますが、エコポイントは国庫補助金ではないため総収入不算入の選択はできません。
②事業用資産ですから減価償却資産となりますが、エコポイントは値引ではないので、取得価額から控除する必要はありません。
したがって減価償却費は、取得価額からエコポイントを控除しない額を取得価額として算出し必要経費とします。控除すると減価償却費が少なくなり、損します。
なお、エコポイントは、消費税は不課税です。