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   効果はまったくない

 岸田政権が賃金アップを経済政策の一つとしている。それ自体は歓迎したい。
 ただ、中身が伴っていない。結局安倍政権と同じ結果になることが目に見えている。
 その典型といえるのが、所得促進税制だ。
 安倍政権の、肝いりアベノミクスの一つの政策として、あるいは賃金上昇の目玉政策として導入された政策税制であるが、この効果はまったくなかった。
 現在も続いているので、効果のない政策税制が継続している。
 現在のところ岸田政権はこの政策税制を見直すとしているが、廃止ではなく継続してより実効性のあるものにしようということらしい。与党税調がどのような見直し案を出すのか注目したいが、ズバリ言おう。効果は上がらないから、やめよう。

   なぜか

 大企業が継続して雇用する社員は、日本全体の賃金労働者のごく一部である。
 多くは中小業者が雇用しているのであり、その中小業者は黒字で税金を納付しているのが3割であり、7割は赤字で税金を納付していない。
 所得促進税制は、納税額があって初めて機能する政策税制である。納税額がなければ、全く無関係。つまり、この税制は黒字で納税額のある大企業が恩恵を受け、中小業者の大半は何の恩恵も受けないのだから、この税制により日本全体の賃上げが促進されることはない。
 小学生でもわかる話だ。
 今度の税制改正では、継続雇用者ではなく個々の労働者の引き上げを対象にしようと、その適用範囲を広げようということらしいが、税額控除方式を転換しない限りは納税額のある3割の事業者しか効果がないことには変わりがない。だから、税額控除方式を継続する限りは効果は上がらず、失敗することは目に見えている。

   どうすればいいのだろうか

 私ならこの政策税制は即時に廃止する。
 そして、今後20年間はわたり全労働者に毎年2%の賃上げを行うよう補助金を個人あてに直接支給する。
 雇用形態は問わない。とにかく、働いて賃金を得ているものにはその年の受取額の2%を翌年に補助金として支給する。つまり、個々の労働者にすれば、賃金を得ればその翌年はさらに2%の賃上げが保障されるのと同じ効果を享受でき、それが20年間続くことにする。
 働かないものにはこの補助金はないから、労働に就く誘導策になる。また、年功序列賃金体系と似た効果をもたらすから、労働者は安心して住宅ローンなども組めるし、少子化対策にも効果を発揮する。

 ある意味でベーシックインカム的な、あるいはユニバーサルな社会保障といえるが、くだらない政策税制や誤った税金の使い方を大胆に変えるもので、経済の安定的な発展に跳ね返り、税収確保も安定的に確保され、日本社会を安定的に変えることになると確信する。 

 岸田政権は、新しい資本主義を標榜しているが、効果のない所得促進税制はやめて、やる気になれでできるこの政策を是非実行してもらいたい。