あらゆる面で政府の無策ぶりが目に余り、政府に対する国民の不信は募るばかりだ。
例えば、消費税を5%に減税しろという野党の政策提言がある。
諸外国では消費税の減税が、コロナによる国民生活打撃への有効策としていち早く実行されている。しかし、日本政府はまったく見向こうともしていない。
それどころか、令和5年10月1日からの消費税の「インボイス制度」実施に向けては、既定方針通り作業を着々と進め、税収増を狙っている。
なぜ税収増になるのか
それはインボイス制度の実施に伴い、免税事業者として消費税の納税を免除されている業者のうち、かなりの業者が課税事業者を選択せざるを得ず、免税という宣撫策から離れるものが出るためである。
財務省はそれに伴う税収増を2,480億円とはじいている。
ただし、国民が増税になるわけではない。埋もれていた税金が表に出ると考えればよい。それが国民にとってプラスの財源になるのであればいいことだ。
しかし、免税業者にすれば単純に歓迎できる話でもない。
インボイス制度をどう捉えるのかは、なかなか微妙な問題である。
免税制度 政府の態度
免税制度とは、中小業者の事務負担に配慮して、本来国庫に納付されるべき消費税を納めなくていいよする制度であり、端的にいえば、消費者から受け取り国庫に納付すべき税金が免税事業者の懐に入ることを意味している。
現制度では、消費者は買い入れる相手が課税事業者であれ免税事業者であれ消費税を負担していることには変わりがない。
消費税という税金は消費者が負担し、業者は納税はするが負担はしない税金である。
国税庁は、消費税を「預り金的性格」と称しているが、まさにその通りであり、業者は国になり代わり徴税業務をこなしているに過ぎないから、業者向けに免税制度は本来いらないのである。
しかし、業者にしてみれば、なんで我々が自腹を切って国のために徴税業務をやらなければならないのだとなる。
これも至極もっともなことだ。
そもそも消費税の導入において、その怒りが高じて消費税が定着しないと大変なので、中小零細業者むけに免税制度を設けてきたわけだ。
インボイス制度に切り替わる令和5年は消費税導入から35年を経過した年にあたる。政府は消費税が定着したと押さえたのであろう。
免税制度という宣撫策にこだわらなくても、消費税は基幹税制として柱になると判断し、より取漏れのない制度に移行しても大丈夫だと舵を切ったのである。
適格請求書発行は登録業者だけ
登録申請受付をこの10月から
令和5年10月実施に向けた第一弾として、この10月1日から「適格請求書等発行事業者」の登録申請が開始される。
申請をすれば、国税庁から「登録番号」が通知される。
「インボイス制度」では、この「登録番号」を記載した請求書・領収書しか仕入税額控除ができなくなる仕組みになるので取引に影響するのは必至であり、すべての事業者が登録の是非について判断を求められることになる。
この11月から登録事業者を公表
即、取引に影響でることに
国税庁は、申請に基づいて登録をすると同時に、国税庁ホームページで今年の11月からどの事業者が登録したのかを公表していくとしている。
名称等で検索できるシステムなので、誰が登録事業者なのかすぐ判明する。
11月以降、世間的な話題になるであろう。
深く考えることもない。いとも簡単に検索できるのであるから、今日日、次々と登録され公表されていく中でいつまでも公表されないとなると、あの業者は免税業者なのかと勘繰られることになりかねない。
消費者にすれば、あの店は免税事業者かもしれないのに消費税を乗せているのはおかしい、あそこからは買わないという心理になるであろう。
インボイス制度が始まる前から、経済取引に何らかの影響が出ることになる。
消費税は根っからの悪税
消費税というのは、どうしようもなく悪税で、やはり廃止しかない。
野党も消費税減税などと言っておらず、廃止を正面に掲げたらいいと思うのだが……。