特例納税猶予とは
コロナによる資金繰り圧迫はあらゆる中小事業者に起きている。
昨年春の第1波から資金繰り圧迫はすぐに起きた。その状況を受けて、「特例納税猶予制度」が臨時特例法により措置された。
その特例は、2年2月以降の任意の期間(1か月以上)において、前年同期と比較して売上が20%以上減少していれば、無担保かつ延滞税なしで1年間納税を猶予し、その1年の間にお金ができたときにその額を納税すればよい、という制度である。
特例の対象は、令和2年2月1日から令和3年2月1日までに納期限が到来する国税である。
つまり、臨時的にものを除けば、法人税・消費税でいえば、令和2年11月末が事業年度(課税期間)となっている確定税額や、11月末に到来する中間申告分が最終の対象になるということである。源泉所得税なら、1月10日納期限、1月20日納期限までが対象になる。
第3波で事態はさらに悪化
国会も政治も、長期お休み
しかし、コロナの第3波は令和2年11月からはじまり、年末年始に急増した。そして1月7日に緊急事態宣言が発せられ、期間は1月8日~2月7日までとされた。
多くを述べるまでもなく、中小事業者の資金繰りが良くなる要素はないばかりか、悪化する一方である。
「特例納税猶予」が措置された状況より事態はさらに悪化しているのであるから、法律を改正するか新たな特例法により、特例対象の納期限を令和3年2月1日納期限からさらに1年間、あるいは半年でもいいから延長すべきである。
ところが自民党税調も政府もまったく動く様子がない。
何しろこの期間、国会議員の皆さんは長期冬休みを満喫しているのだから、何をかいわんやだ。
この間、国会はどうだったのか。
第203回臨時国会は、令和2年10月26日~令和2年12月5日で、野党の会期延長要求を無視して政権は12月5日で閉会し、第204回通常国会が開催される令和3年1月18日まで43日間も休会していた。
国会が開かれていないのであるから、法律が審議されようもない。
最も政府から納税に関する特例を延長するという話が聞こえない。実施庁である国税庁もだんまりである。麻生財務大臣はほとんど影が霞んでいるのだが、もう給付金は考えていないという話をしているようで、納税もできないようなゾンビ中小事業者は場外に去れということだろう。
政権がそんな姿勢なら、野党が議員立法を提出すればいいのだが、その動きも見えない。
期限の延長を早急に行え
日本経済や、地域の雇用は中小事業者が支えているのだ。ここを守らなくして経済の維持はできない。政治に理性と倫理を取り戻さないと国民は不幸になるばかりだ。
例年は1月末に税制改正法案が国会に提出されるが、いまは取り急ぎ、特例納税猶予の延長法案を成立させ、中小事業者を安心させるべきである。