地雷原を行かされる安倍首相
25年10月1日は安倍首相にとって凶に転じる結節点になる公算が大きい。
別の見方をすれば、地雷が敷設された道に踏み出す日となる。意気込んで行進すれば地雷を踏み爆発。慎重に進んでうまく通り抜けたとしても、その先にまたまた地雷原が待っている。その時は、進む先には大量に敷設された地雷原、戻ろうとすればなんとかすり抜けてきた地雷道をまた通らなければならず、行くに行けず、戻るに戻れない状態となる公算が大きい。
民主党が自民党の自爆を目論んで消費税率引き上げという地雷を仕込んだとしたら、なかなかの戦略だ。
安倍さんがそんな民主党の必殺仕置き人的工作にあえなく引っかかったとしたら、まあそこまでのことか。
世の中は、経過措置で動く
世の中では、26年4月1日からの税率引上げを前提として、消費税の経過措置が取引上では決定事項として動いている。仮に来年4月1日からの引上げが見送られるとなると、経過措置で対応したものは混乱をきたすことになる。
本法の確定がされていないときに、その未確定本法を前提として経過措置を発動させることが許されるのか、という問題がある。
大手の建設会社や、マンション販売会社などは、経過措置を利用して、あるいは煽って、消費税引上げ前の駆け込み受注を大量に確保して、ウハウハの状態だという。
組織的に対応できない中小零細の建築業者は、事実上経過措置利用の受注競争から弾かれ、大手の下請けに道を求めるしかないとも言われており、その後の反動買い控えを睨むと背筋が寒くなる状況にある。
租税法律主義 無きに等しい増税と経過措置
租税法律主義は、課税は法律によるという原則だが、税法に規定されることによってその関連者が課税について予測可能性を得るということでもある。つまり、課税について予測がつかないような税法条文は欠陥である。
武富士事件で最高裁が条文を基に課税できないとしたのは、税法条文からは課税を予測できないことに課税庁が課税したからだ。
翻って、今回の消費税増税と経過措置の適用関係をみれば、仮に消費税の引上げが凍結されれば25年9月30日までの請負契約という条件もずらすことになろう。そうすると、無理な資金繰りで契約した人はとんでもない経済行為を強いられたことになる。
逆に、決まるかどうかわからないのだから、商行為として不確定な条件を理由とする請負契約など結べないと、倫理的対応を行った良心的な業者は、引上げが決まった時にはすでに経過措置を適用するすべがなく、経済行為を阻害されることになる。
課税の予測性に直接関係がないと言って容認できる話ではない。
本体が未定の経過措置で取引きを動かす税法が許されるのか、税法学者の理論的発言をぜひ聞きたいものだ。