山本守之税理士は昨年(2020年)11月28日に心筋梗塞で亡くなりました。
巨星落つ。租税関係者にとって、大きな財産を失いました。
先生は「体系法人税法」など不朽の名著を数多く世に出され、筆者もその恩恵にあずかった一人です。
また、筆者が理事長を担っている全国税制懇話会の常任講師として、先生には長年にわたり講演を引き受けていただきました。先生の講演から多くの「気付き」を得たことが、税理士の一人として大きな財産になっています。
よく感謝の言葉もありませんといいますが、先生に対してそのような思いを抱いている租税関係者がたくさんいらっしゃるのではないかと思います。まさに私もその一人です。
いってみれば、先生からは常に叱咤激励、尻を叩かれていたようなものでしたから、怠惰な人間にすればツッカエ棒を失ったような気持ちになっておりました。
そんな折、なんと天国からガツンと「守之節」が届きました。
長年にわたり先生のそばで支え続けておられた長女・野口結花さんから一言添えて本が送られてきました。
中央経済社から山本守之先生の著書が出版されたのです。
本の帯に「日本一愛された税理士、最期の書」とあります。
「日本一愛された税理士」……よくぞこの称号を与えたものだと出版社の炯眼に感服します。
結花さんのお許しを得ましたので、本に添えられた文章を全文ご紹介します。
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ごあいさつ
父、山本守之の最後の書籍『守之節 税理士のワビ、サビ、洒落、そして作法』を謹呈させていただきます。
本書は当初の予定から約半年遅れでの出版となりました。出版の遅れを気にする父の隣で母が「結花に任せましょう」と言っていたのではないかと想像しております。
「おわりに」でも触れさせていただきましたが、当初父は第3部をメインとして入稿しました。しかし土生健人氏(編集者)と会話を重ねていくうちに構成を大きく変更することにしました。なぜ人間の感性を基に税をみつめ続けたのか、その土台となったものを書き記した本となりました 。
「最後の書籍になるかもしれない」と言いながらも、令和3年度版『法人税の理論と実務』の原稿案を話していた父の姿を思い出します。ご一読いただきご感想などいただけましたら有難く存じます。
『体系法人税法』(税務経理協会)がKindle版(電子書籍)にもなりました。ご利用いただけましたら幸いでございます。
57年に亘り皆様に支えていただきました山本守之税理士事務所を閉じ、父と母は上野寛永寺で静かな時を過ごしています。
お墓にはよくお花があがっております。皆様の温かいお気持ちに感謝申し上げます。
2021年10月 野口結花(長女)
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この本、租税関係者に限らず万人の方に読んでほしいと思います。
誰もがそれぞれの仕事や活動に精を出し、その仕事や活動こそ自分が生きている現在地。
その現在地をないがしろにしてはならず、真剣に向き合えという山本守之税理士の「生きざま論」は胸にズンと響き、きっとあなたに何かをもたらすはずです。
「日本一愛された税理士」山本守之先生、ありがとう。
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