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  おすすめの口上

 コロナのおかげで本に手を伸ばす時間がふえた。
 いつもは推理小説だが、ある新聞に書評がのり、少し興味がわいたので購入したのが講談社学術文庫の「憲法と国家の理論」という定価1,410円の文庫本である。
 憲法学者の清宮四郎さんの論文を、樋口陽一さんが選集したもので、清宮さんが論じたことの精粋に触れることができる本になっている。

 久しぶりに硬派の本にトライしたのは、安倍・菅政権が憲法を逸脱する政治・国家運営をやってきたのではないかという事態をつき続けられたことからだ。 こうも憲法逸脱の政治が続くのはなぜかとの思いを巡らすと、自分自身が憲法と国家について深く理解して整理することができていないことに気が付く。
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 多くのみなさんは私のような体たらくではないと思うが、だが、だが、安倍・菅政権が長期にわたって続いてきた事実は、国民が憲法と国家について厳格にみていないため、それを許すことになったからではないかと考えてしまう。

 長年、現憲法下で生活していながら、ごくたまにしか憲法を引き出さない生活をしてきた自分を恥じるばかりだが、安倍さん、菅さんのおかげで、憲法をもう一度理解しなおそうという気になったのだから、皮肉なものだ。
 そこで手にしたこの本、実に多くの気づきを与えてくれる。

 年寄りも読んだら得ることが多いと思うが、なによりもこれから社会を担っていく若い人たちに読んでほしいと、心から思った次第だ。
 内容について私があれこれ紹介するつもりはない。そんなことは百害あって一利なし。

 とにかく若い人に読んでいただき、憲法と国家について考える材料にしてほしいと願う。
 私はある意味、感動すら覚えた。いくつになっても勉強だ。再読、再再読もしてみたい。