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   反日と、牙をむいたが ‥‥

 「彼らは、日本でオリンピックが成功することに不快感を持っているのではないか。共産党に代表されるように、歴史認識などにおいても一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対しています」

 「Hanada」8月号に掲載された安倍前首相の発言である。

 こういう発言は、政治的意図丸出しという。反日に牙をむいたわけだ。

 多くの世論調査では約半数の人が開催を中止または延期すべきとした。国民の半数はそうした意識を持っているという推論に至るのが統計学上の結論になる。

 安倍さんにしてみればただ事ではない。国民の半数は「反日」と推認されることになる。五輪の政治利用を目論んできた安倍さんであれば、ここは一番、前面に立ってオリンピックを成功させ、「反日」をギャフンといわせなければならないところだろう。

   前面に出たかったろうに

 
 覚えておいでだろうが、2016年8月21日のリオ五輪閉会式で、日の丸の象徴を意図した「赤い玉」を抱いて土管から飛び出したのが安倍マリオである。

 第二次大戦後、国のトップがオリンピックにしゃしゃり出ることはなかった。北京五輪やソチ五輪でも、主席や大統領がショーに登場することはなかった。

 いうまでもなくオリンピックは「都市」が開催する祭典である。国は主役ではない。その禁を破ってまで入れ込んだのが安倍さんであり、党則を変えて総裁の3選もゴリ押しして自分が主役の国粋発揚オリンピックを描いたのは容易に想像できる。コロナが下火になれば、前面にでてきたであろうと思う。

   それにしても降板の速さよ


 しかし、コロナウイルスがその目論見をものの見事にひねりつぶした。日本の民主主義の底の浅さを世界に示し、「赤い玉」をもって土管から飛び出すことを狙っていたであろう安倍マリオは、震災復興もままならずコロナにも打ち勝てないとみて早々に降板してしまった。ピコピコ ヒューン

   意義を見出すとすれば

 開催自体が政治的であることは衆目の一致するところであろう。しかし、安倍さんが狙っていたと思われる政治利用が叶わなかったという意味では、平々凡々な開会式で幕を開けたこの時期の五輪開催は、決して皮肉ではなく、大いに歓迎していいのではないか。