東京税財政研究センターは、これも4月に公開講座を予定していたが、中止とした。
この研究センターには「税務行政・権利研究部会」があり、2カ月に一度部会を開き、いろいろなテーマについて研究を重ねていたが、これも春以降すべて中止としている。
若手もいるが、何しろメンバーの多くが高齢で既往症を持っている人が多く、コロナに感染すると命にかかわりかねないので、最善の選択は集まらないことに尽きる。中止はやむを得ない。
しかし、筆者一人なのかもしれないが、刺激がないと勉強意欲はわかない。
読むものといえば推理小説といった具合で、日本の財政と税を巡る諸問題が噴出している今、何たることだと思いつつ惰眠をむさぼる日々が続いていた。
やってみよう
その惰眠をさますオンライン研究会が9月26日に開催された。
青山学院・中村芳昭名誉教授から、イギリスの所得税における「ユニバーサルクレジット」について、その前段に措置されていた給付付き税額控除の仕組みを踏まえた報告を受け、12名のオンライン参加者によって質疑や見解等をやり取りした。
実際に参加してみた感想は、「使える」である。
会議室などに集まっての研究会と大差がないのだ。
そのあと、場所を変えて飲みに行き議論を深めることができないなどを除けば。
時代は変わったと、認識させられる。
国税もテレビ会議システムで
そういえば、改めて令和2年度の国税通則法改正を見ると、不服申し立てにおける口頭意見陳述等はテレビ会議システムで行うことができるよう改正されていた。
これまでは、担当審判官が指定する場所に原処分庁、審査請求人・代理人を招集して実施することになっていた。
私がかかわった事案は名古屋国税不服審判所であったため、名古屋の審判所に召集されて口頭意見陳述を行ったところである。
これが、最寄りの官署に出向き、そこでテレビ会議システムを使い口頭意見陳述ができることになったので、時間と交通費のロスはかなり解消されるであろう。
ただ、面と向き合うわけではないので、微妙なやりとりがうまくいくのか懸念もあったが、オンライン研究会を実際にやってみるとその懸念はほぼなくなった。
精度が高まれば、帳簿や原始記録をオンラインで検査することも可能で、そうなると税務のオンライン調査もありかと思えてしまう。
時代は確実に変化しているようだ。