「白旗の少女」 青い鳥文庫 著者:比嘉富子

わたしの命を救ってくれたもの。

       白旗の少女。
        その写真には、
         誰も知らない
          「真実の物語」がありました。

テレビ東京開局45周年記念ドラマスペシャルでした。

「白旗の少女」は、偶然書店で、白旗を掲げた自分の写真と巡りあった比嘉富子さんが、封印していた記憶を元に書いた実体験の物語です。

今から65年前、1945年8月-。
7歳の少女が白旗を掲げ、アメリカ軍のカメラマンの写真に写りました。
少女は、ずり落ちるモンペを気にしながら、笑い顔で手を振っています。
少女は手を振っていますが、少女には恐ろしくも悲しい意味がありました。
アメリカ兵が自分に向けているのは、写真機に似ているが、ひょっとすると自分の知らない武器かも...。
だとすると、自分はここで『殺される』と少女は思うのです。
「アメリカ兵は残忍で女・子供を平気で八つ裂きにする。」とデマをよく聞かされているからです。
少女はこのとき、父のことばを思い出します。
「もし、敵と向かい合うようなことがあっても、泣きっ面を見せるな。最期は笑って死ね。」
少女は、ここでカメラの方に向かって歩きながら笑って、手を振ったのです。 白旗をいっそう高く持ち上げて...。
洞窟(がま)でいっとき共に生きた抜いた老夫婦、その老夫婦につくってもらった褌の白旗。
白旗を掲げ、最後まで生き抜くことを諭された少女。...老夫婦の分まで...。
「おじいさん、おばあさん白旗をありがとう。でも駄目だったみたい。 わたし、撃たれる...。」
しかし、通り過ぎると、何も起きませんでした。
おじいさんの言ったことは本当だった! 白旗は世界中で約束した安全の印だったのだ。
わたしは、生きている!(「白旗の少女」より)

戦争は、最悪の犯罪である!