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  「昭和史発掘」流になぞれば 

 森友事件。「昭和史発掘」の著者で社会派推理小説家の松本清張なら、この事件を恐らく「国粋主義教育推進グループ疑獄」と名付けるのではないだろうか。
 あるいは「日本会議忖度疑獄」か。

 財務省が削除した部分をみれば、清張でなくとも推理は容易だが、清張ならきっと次のような展開で疑獄事件を暴くのではないだろうか。

 籠池氏は「日本会議」の元メンバーで、園児に「教育勅語」を暗唱させる教育を行っている。
 「教育勅語」は、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」(万一危急の大事が起ったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家の為につくせ)と国民を洗脳した。
 その教員機関の名誉職に安倍首相の妻が就任する予定であった。首相と妻とは人格が違うから妻が何をやろうと構わないが、公人の妻は一般国民の妻とはおのずと立場が違う。社会的な認知事項となるからだ。つまり、名誉職就任は夫である首相も了解してのことだろう。
 この教育機関が唱和させている「教育勅語」には「夫婦相和シ」としているのだから、まさかこれに反するような夫婦関係ではあるまい。
 つまり、安倍首相も夫人もこの教育機関がとても大事な存在となっていたことは疑いない。

 というのも、安倍首相は「美しい日本」「日本を取り戻す」と声高に叫び続けてきた。
 その中心的な中身は何か。
 「教育勅語」は誤ったものとして断罪された。そのうえで、「戦後民主教育」が構築された。この教育こそ安倍首相は「美しくないもの」、「押し付けられたもの」そのものであると受け止めていると考えてよい。
 安倍首相や麻生財務大臣は「日本会議」のメンバーであり、その「日本会議」が掲げているのが「わが国の歴史を悪しざまに断罪する自虐的な歴史教育の是正」であるからだ。

 森友事件は、事件として発覚しなければ、戦後民主教育を破壊し、皇国史観を植え付ける教育機関として、安倍首相が描く「美しい日本」「日本を取り戻す」具体例として、一部の筋に賞賛される教育機関となったのである。

 歴史を180度逆回転させかねない教育機関のために、一部の政治家やその妻や付き人や官僚たちが引き起こした国家財政を食い物にする疑獄事件こそが、森友事件の本質ではないだろうか。

  教育は国の基本
  ゆがめてはならない

 文書改竄も重大な事件だが、野党の追及や報道に接していて、いまひとつ本質が暴かれていない感がある。

 検察がどのような動きをするのか注目だが、松本清張に生き返っていただき、事件の真相を暴き出してほしいものだ。