年金基金から届いた文書にビックリ
昨年暮にちょっと驚いたことがあった。
Aさんがペーパーを示して、「これ読んでくれ。こんなことができるなら、マイナンバーをいちいち提供してくれなんてことはまったくいらないじゃないか。行政機関でもないところが個人番号を勝手に取得できるのか?なんか恐ろしくないか。」と憤慨した様子。
Aさんが受給しているとある企業年金基金から届いた文書がそれで、そこに書いてあったことは次のとおり。
「ご案内のとおり、企業年金連合会に収集業務を委託したうえで、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から皆様のマイナンバー収集作業を、4月から10月にかけて実施いたしました。(作業内容は裏面をご参照ください。)
その結果、貴方様のマイナンバーを取得することができましたのでご報告申し上げます。(従って、貴方様から当基金へマイナンバーをお届けいただく必要はございません。)」
取得作業の流れを示した図が掲載された裏面をそのまま掲示するので見ていただきたい。クリックで拡大。
Aさんは個人番号の提出をせず
昨年の夏ごろ、Aさんに企業年金基金から個人番号を提供してくださいという封書が届いたがそのまま放っておいたそうだ。形式的には個人番号の提出を拒否したことになる。
いうまでもないが、その行為自体に何の問題もない。
提出を拒否された基金は、個人番号を記入しない支払調書を税務署等に提出すれば済むことだ。
そうすると・・・・
ところが、基金は提出拒否者の番号を記載するために、本人の承諾もなく個人番号を取得し、支払調書に番号を記入して提出するという。
その作業の流れを記述したのが上記の「マイナンバーの収集作業について」である。
何のことはない、Aさんの基本4情報(氏名・生年月日・性別・住所)さえ摑んでいれば、いとも簡単に個人番号が勝手に取得できるのだ。
際限なく広げて国民監視か?
法的には厚生労働大臣の委任があればOKということだろうが、行政の民間委託は広がっている。そうするとマイナンバー法の別表に取扱業務を付き加えれば、こうした取扱者は際限なく広がり、それらのものは本人の承諾もなく勝手に個人番号を取得できることになる。
Aさんの話とペーパーを見てこんなことができるのかと驚いたが、大半の国民は知らないに違いない。
確定申告書に記載する必要ないではないか
こんなことができるのであれば、確定申告書で個人番号を記入させる必要はない。
申告書に個人の基本4情報を書かせるのだから、それをもとに税務署は簡単に納税者の個人番号を取得できるではないか。
特別徴収の事業者への通知でも、市町村はそこの従業員全員の個人番号を記載した通知書を業者に発送することになっている。まさに勝手に個人番号を取得しない限りできない行為であるが、逆に言えば、課税当局は勝手に取れるということだ。
国民総背番号であるマイナンバーの恐ろしさが次第に明らかになっている。
改めて国民的議論が必要であろう。