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 借りられるのは年収の1/3まで  上限金利は20%

 消費者金融などから借り過ぎて「多重債務」になる人を減らすために改正貸金業法が6月18日完全施行された。
 消費者金融会社からお金を借りる「ローン」、クレジットカードで現金を借りる「キャッシング」が対象で、貸金業者以外の銀行から借りる場合は対象とはならない。
 貸し過ぎや借り過ぎを防ぐことが狙いで、個人が借りられる「総額」を規制。年収の3分の1までを限度とする総量規正法である。

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 年収360万円の個人なら借りられる総額は3分の1の120万円までで、住宅や自動車ローン、銀行のカードローンは除かれるが、収入のない専業主婦(夫)は借りることは難しくなる。
 
 借金をしていること38%が配偶者に内緒
   デフレ経済下 ・・・ やり繰り上手の主婦(夫)に打撃

* 夫の年収は360万円、7年前に妻は体調不良がもとで正社員をリストラされた。現在パートで働いているが収入は僅かであり、子どもは小学生と中学生の2人である。体調を崩したときの臨時出費(医療費と子どものクラブ合宿費用)のためにクレジットカードのキャッシングで20万円を借り始めた。
  その後、経済不況の煽りを受けて夫の年収(賞与はほとんど支給されない)は上らない反面、マンションのローン払い(賞与払い)、妻の医療費、子どもの学費、日々の生活費にとカード会社の借金は200万円に膨れ上がった。
  月々の返済額はマンションのローンが9万円、クレジット返済が7万円(夫の月収は税金、社会保険料等の天引き後24万円程度)と遅延することなく返済してきたが、改正貸金業法の規制上限である年収の3分の1をすでに超えており、やり繰りは不可能である。
  妻は夫に内緒で消費者金融より借金をしていたとして離婚され、夫は消費者金融返済は不可能と破産を申し立てるに至った。 *
これはごく普通の家庭の出来事である。
 法律上は、専業主婦(夫)であっても配偶者の同意があれば借り入れることができるが、日本貸金業協会の調査では主婦(夫)の38%が借金をしていることを配偶者には内緒にしている。特に日本の社会では“夫が社会に出て働いてくる。家計のやり繰りは妻の務めである。お金(家計)のことを夫に言うものではない。”・・・連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」・・・という風習が強い。
 子育て費用もバカにならない。授業料だけなら良いが、クラブ活動や合宿費用、修学旅行費用、塾や高校・大学の受験費用など多額の出費を強いられる。医療費の自己負担も高く、少々の熱では医者にもかけられない家計状況である。
必至に働いているのに給料は上がらず、賞与は大幅にカットされる。それでも毎日毎日勤めに出かける夫に「借金しなくては生活できない。」なんて言える主婦は少ない。
 事例では、クレジットカードの借金がこの7年間で20万円から200万円に膨れ上がったとはいえ、年収は7年間でわずかしか上がっていない。賞与は不景気という事で大幅にカットされたが貰えるだけましである。一方、介護・医療・年金等社会保障の自己負担は大きく増え続け、可処分所得(自分で使えるお金)は逆に低下してきた。
 “マンションローンなどしなければ”“自己責任だ”という人もいるが、夫婦子ども2人でアパートを借りようとしても9万円程度はする。賃金上昇や賞与を見込んで銀行もローンを組んだはずだ。
 改正貸金業法は「借り過ぎ」をなくし「多重債務」者を減らすことを目的としている。
 しかし、デフレ不況下、生活費を賄うのに恒常的に借金に頼らざるを得ない家族はどうすればよいのか? 住宅ローンの返済計画や子どもの教育費を見直してほしいと言うが、銀行が住宅ローンの返済変更に応じてくれるのか? 教育費のどこを削れというのか? いくら家計診断しても応じてくれるところがないのが現状である。
 家計にはセフティーネットがないのか。政治は庶民の味方にはならないのか。である。
 ただ規制を強化するだけで、いままで返済遅延もせず、コツコツ努力してきた家庭を法律一つで一方的に崩壊させて良いものだろうか?  何か弱者が切り捨てられているような気がする。
 経済は回復基調に入ったというが、こうした家庭を切り捨てて大企業のみが景気回復しても本当の景気回復とはいえないだろう。