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  強い意思で男女不平等をしている結果だ 

 世界経済フォーラムが、昨年12月17日に発表した、2019年の男女格差(ジェンダーギャップ)の報告書によると、調査した153か国中日本は、過去最低の121位という驚きの順位であった。
 政治・経済・教育・健康と4つ分野があるが、最も遅れているのは政治分野で144位に沈んでいる。女性の政治への参画が遅れていることが、こういう順位になった。
 教育分野では、前年の65位から91位に後退。
 経済分野では男女の賃金格差の拡大が指摘されている。

 男女平等度で世界ランク1位を続けるアイスランドでは、議会の議員数が男女ほぼ同数になった2009年からの10年で、議会ではジェンダー平等を進める法整備がすすめられてきたという。
 次いで、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンと北欧諸国が続いている。
 アメリカは53位、中国106位、韓国108位となっている。
 同志社大学教授の岡野八代氏は、「揺るぎなく、強い意思で男女不平等を維持しているのが日本だ」と指摘しているが、納得できる指摘だ。

  社会変革の方向は明確 

 この結果は、国民に示唆を与えるのではないか。
 女性が政治分野をしっかり担う国は、国民が生活しやすい国として社会が安定し、国民は豊かな生活を送れている。政策の選択が国民生活重視になっているということだ。
 日本で格差が拡大し、大多数の国民が生活しずらく、将来不安を抱えながら生活している状況は、政治分野における女性排除が大きな要因といえるのではないか。
 国民もそのことを理解し、議会に女性を多数送り出す選択をすれば日本の政治は良くなるという認識に頭を切り替えなくてはならない。

 日本は、女性差別撤廃条約を批准して34年になるが、国際的な立ち遅れはとても深刻だ。
 安倍自民党政権のもとで、女性の低賃金(これは将来の年金にも影響する)、社会保障の改悪、家庭の責任とされる子育てや介護負担が女性に押し付けられ、女性ゆえの生きづらさを押し付けられている。
 自民党議員による「子どもは3人以上、産め!」、「生産性がない」などの度重なる暴言やセクハラ発言があった。
 「女性活躍社会」「女性が輝く社会」をかかげながら、まともに対応できない安倍政権の底が見えている。

 ジェンダーの視点に立って政治や経済、職場や地域、家庭など、あらゆる社会の中で、女性が意思決定の過程に参加して、性別による差別をなくすことが、人権をまもる平等な社会をつくっていく力になる。
 当面、政策上の重点を実現すれば、社会変革の動きが鮮明になるであろう。
 その内容だが、1つめは、選択的夫婦別姓の導入である。
 2つめは、女性差別撤廃条約をさらに高めるために作られた「女性差別撤廃条約選択議定書」のすみやかな批准である。
 3つめは、日本政府が解決済みと主張する日本軍慰安婦問題の真の解決である。
 4つめは、自営業の家族の働いた分に対する報酬を認めないという所得税法56条の廃止である。
 それぞれが具体的にジェンダー平等をすすめる力になるであろう。

  安倍政権は何もできない

 どうだろうか、安倍政権ではこの重点すら解決できない。

 女性たちの運動により、大手コンビニから成人誌撤去が実現した。
 性被害を受けた人が果敢にたたかう状況も生まれている。
 女性たちが政治を語り、投票行動を起こし、女性を政治の中心に押し出せば日本は変わる。
 世界経済フォーラムの報告を社会変革の起爆剤にしよう。