― 「自公政権」以上の社会保障改悪 ―
“社会保障に充てるため、消費税増税に理解を”と国民に説明してきた政府民主党。 2015年までに消費税率を10%にし、将来は社会保障費の全てを消費税で賄うとしていた。 しかし、これでは将来消費税率は20%以上に膨れ上がることが明らかになり、 ―「これで本当に国民を説得できるのか。 “社会保障のため”は、完全に破綻した。 そこで、「社会保障の削減か」「消費税の増税か」の過酷な二者択一を国民に迫るようになった。 |
消費税以外の税収は社会保障には一切回さず、消費税で足りない分は社会保障を切り捨てる。という政策である。
社会保障の財源から所得再配分効果のある所得税や法人税を外して、逆進性の強い消費税を充てることは、社会保障制度そのものを破壊する暴挙だ。
「社会保障のため」だったのではないのか
政権(民主党)執行部は、『社会保障費に手をつけないまま消費税増税に進むのでは、有権者の理解は得られない』 ―消費税増税への理解を得るためには、社会保障費を削る必要がある― と、有権者(国民)には理解に苦しむ奇論・珍論を論議している。
有権者(国民)が一定限消費税増税に理解を示したのは、社会保障を維持するためなら・・・とのギリギリの選択であった。それが何故、『消費税も増税・社会保障は削る』という論理になるのか、「それが有権者(国民)の理解を得られる方策だ」となるのか理解に苦しむ。
社会保障削減は、格差と貧困の社会へ
自公政権は社会保障費を毎年毎年2000億円削り続け、「介護難民」「医療崩壊」をもたらした。
この政策を強く非難し、『社会保障費削減はしません』を政権公約に明記し、政権奪取した民主党。私たちもそれに期待したが・・・
今や「社会保障という大きな割合を占める予算に対して正面から切り込んでいかなきゃいけない」と変節し、小泉劇場「構造改革」を再演している。
小泉首相(当時)は、「そのくらいの公約破ったからと、たいしたことではない」と自らの政策が公約違反を承知していたが、民主党政権は公約違反を認知していないとすればさらに断ちが悪い。
非正規雇用率・若年層で46、5% 完全失業率10、1%
非正規雇用者、失業者は、将来の社会保障(最後のセフティーネット)を受給できない恐れがある。
総務省が発表した労働力調査によると、非正規労働者の割合は35、3%、1,729万人に達し、
とりわけ若年層(15~24歳)の非正規雇用割合は46、5%、完全失業率は10、1%と過去最悪となった。
また、就職は希望しているが、求職活動をしていない「潜在失業者」は469万人で完全失業者277万人とあわせ746万人(11、1%・9人に1人)が仕事に就けない状態だ。
非正規雇用でみると大企業ほど非正規雇用を拡大し、2002年に比し2010年は中小企業(従業員1~29人)ではほぼ横ばい、大企業(従業員500人以上)では2008年1、6倍、2010年1、5倍を超えています。
こうした大企業を中心とした非正規雇用、失業者の増大は、社会的な不安定と格差・貧困を生み出す温床となり、将来の社会保障に重大な影響を及ぼすことになる。
庶民には増税・社会保障切捨て
政党には税金山分け・蓄財
国民の税金である政党助成金(年・320億円)を受け取っている民主・自民・公明・・・(共産党は拒絶)の政党が、余っても国庫に返納せず「政党基金」として溜め込んでいる。
国民には消費税・所得税(復興増税含む)の増税、社会保障給付切捨てと負担増を押し付けながら、政党自らはみんな揃って国民の血税を山分けし、蓄財しているのだ。
“赤信号、揃って渡れば怖くない”ではないが、財政危機・復興財源と声高に叫ぶが、自らは何の痛みを負わず、声も出さないダンマリ戦術。地に落ちた政党である。
年末へ改悪めじろ押し
年金受給は逃げ水のように遠ざかり、医療患者は負担増、介護と生活保護はサービス打ち切り・・・。一方、消費税・所得税は増税、社会保険料(国民健康保険、国民年金、協会けんぽ、厚生年金・・・)は負担増。
年金・医療・介護・・・連続の改悪メニュー
年金 | 支給額の削減 支給年齢先延ばし | 3年程度で2、5%削減 その後マクロ経済スライドで毎年0、9%削減 現行の60歳→65歳への引き上げを前倒し その後68歳~70歳に引き上げ |
医療 | 患者の負担増 病院追い出し強化 | 外来受診のたびに定額負担を上乗せ 70歳~74歳の医療費負担を1割→2割に倍増 長期入院患者の診療報酬引き下げ、結果病院追い出し |
介護 | サービス取り上げ 施設建設の抑制 | 「重点化」の名で給付を削減 サービスの薄い「高齢者住宅」に重点移行 |
生活保護 | 改悪を示唆 | 医療費自己負担 ボランティア・職業訓練義務づけ 保護水準引き下げなど |
保育 | 公的責任の放棄 | 国や自治体の保育実施義務をなくす 市場化・営利化の推進 |
消費税増税の今後日程
11月末 首相が「社会保障と税の一体改革」大綱策定を指示
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12月上旬 民主党税調が来年度税制改正大綱を決定
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24日ごろ 12年度予算案と関連法案を決定
* 年金債(仮称)発行法案、赤字国債発行法案・・・など
年末 消費税引き上げを明記した一体改革大綱を決定
2012年 通常国会召集、予算案と関連法案を提出
1月 ⇓ 予算審議 ⇓ 消費税増税の与野党協議(民・自・公密室?)
3月末まで 消費税増税準備法案を決定、提出
4月=新年度 予算関連法案と消費税増税準備法案の与野党折衝