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  自由でなくなった 戦争想定の 経済(安全保障)法案

 「経済安全保障法案」って何? 日米安全保障に関わりあるの? 戦争に関係あるの?
 ロシアのウクライナ侵略の報道を連日、目にし、耳にしているなか、何やらキナ臭い法案が国会で審議されている。

 「経済安全保障」とは何か?
 国家安全保障局長をつとめ、内閣府の有識者会議メンバーとして「経済安保」の政策協議に関わっている北村滋氏は「経済安全保障とは何か」、次の3点をあげている。
1.「経済を安全保障政策の『力の資源』として利用する」
  「言わば経済的措置を武器代わりに使うこと」
2.「我が国や企業が保有する機敏な情報、先端技術をいかに守るか」
3.「自由で開かれた国際経済システムの維持」
  「特に同志国・同盟国との連携が重要」

 これは、政府の「経済安全保障」と同じ・・・と考え方を示した。
 なにやら、経済的措置を武器代わりに使う第2の軍事安保なのか? ・・・ と思われる。

 すでに「重要土地規制法」によって、米軍基地・防衛省施設の周辺での土地取引が監視できる仕組みがつくられ、外国からの研究資金・研究に参加する外国人留学生ついても規制措置が取られ、外為法で輸出に対する新たな規制措置も取られてきた。

 岸田首相は、「何から何を守るのか?」の質問に「定義はない」「基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化を目指す」と述べるだけで具体的回答はしない。

 何やら経済安保法案が、国家間の争いに対する「力」「圧力」として武器に代わる戦争手段として使われないか?と“キナ臭さ”を感じる。

  自由で開かれたインド太平洋地域(FOIP)は ?

 日本政府は、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の実現に向けて各国と協力しつつ、様々な施策を展開している。経済産業省では、FOIPの実現に向け、インド太平洋地域における民間企業の事業活動への支援や、国内外の政府機関との連携に取り組んでいる。
 <FOIPの三本柱>
1.法の支配、航行の自由、自由貿易の普及・定着
2.経済的繁栄の追及(連結性、FPA/FTAや投資協定を含む経済連携の強化)
3.平和と安全の確保(海上法執行能力の構築、人道支援、災害救助)

 と岸田首相は平和と安全を重視した主張を展開しているが、このスローガンも「同盟国・同志国との連携が前提なのか?

  軍事転用可能な研究開発 と 「天下り」の受け皿

 岸田政権は、経済安全保障問題を重要課題と位置づけ、軍事転用可能な民生技術の研究開発を推進している。
 一方アメリカは、軍事に転用可能な最先端技術の発掘を求めている。
 経団連は、軍民両用の技術開発を進めるため、アメリカの国防総省の研究機関を参考に機関を設けることを提起している。
 戦争に協力する科学者を多方面から受け入れる方向がちらほら見えてくる。

  経済安保企業 役人「天下り」の受け皿

 大企業は「経済安保」の大プロジェクトに呼応する部署を相次いで設立している。
 各社は、経済産業省OBを担当役員や理事に起用。経済安保の専門部が「天下り」の受け皿と化している。(経済安保は日本の将来を左右する国家プロジェクトであり、相応の人材確保は絶対に必要である・・・と)
 もはや自由で開かれた経済は存在しなくなった。経済も軍事も安全保障という大名目のもと一体となって政治が動いている。
 安全保障は軍事に限らず、経済から生活まであらゆるところに顔を出す。
 企業も人も選別と監視が強化される。
 経済安保の推進で政官業の癒着は闇に閉ざされる。
 巨額の軍事研究開発費に経済は翻弄される。国民経済政策はどこかへ吹き飛ぶ。

 この先に待っているのは、「国家機密保護法」の強化である。
 個人の身辺調査制度(個人の「適正評価制度」)の導入が検討されている。
 民間事業者を対象に(機密取扱いの資格導入制度)が急がれている。

 機密保護法制の際限のない拡大で「プライバシー・学問の自由、企業と人に対する深刻な人権侵害」が生じかねない。

 これも、ロシアのウクライナ侵略に起因しているのか? あらたな東西冷戦を想定しているのか? 人間はどこまで愚かで、負の歴史を繰り返すのか?