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   “受診控え”  菅首相「聞いていなかった」

 菅内閣は2月5日の閣議で、75歳以上の高齢者が支払う『医療費窓口負担』が現行1割から2割に倍増する「医療制度改定一括法案」を決定し、本国会に提出している。
 この法案をめぐり、4月23日の衆議院厚生労働委員会で、2割負担対象者を決める際に、厚労省から“受診控えの影響額は聞いていなかった”と認め、受診控えによる健康悪化影響に身を背け「負担ありき」で強行しようとしている姿勢が鮮明になった。<またも、役人の「隠ぺい」?)

 コロナ感染を恐れ、受診控えが顕著になっている高齢者の実態などには目を向けず、ひたすら国民の負担増(推計1,050億円の削減)を強行している菅首相。・・・“受診控えは直ちに健康には影響しない”と、ここでも科学を無視した独善的な無責任さが露呈した。

 コロナ感染症対策も同様だが、医療は発見・早期治療が絶対だ。
 コロナ感染対策でも、すべての国民に・いつでも、どこでもPCR検査をし、無症状感染者をいかに早く発見し・隔離するか。 病床も、国立病院・感染症専門病院を中心に重症患者を入院させ、民間病院は中等症以下の入院を・・・ 1年も前から言われていることが、いまだに出来ていない。

 2001年(20年余前)に窓口1割負担が導入された際、糖尿病や高血圧症の受診率が下がったという研究結果がある。
 高齢者医療費・自己負担2割(倍額)は、医療の基本である「早期発見・早期治療が困難」になり、健康への悪影響は明らかだ。

   医療費2割負担 370万人の高齢者

 年収200万円以上の人は「負担能力がある」との政府の言い分であるが、その殆どが年金生活者である。 年収200万円でも税金や保険料を差引くと実質175万円程度だ。
 現在、現役並みの所得がある人は3割負担している。
 改正案は、1割負担の人のうち単身で200万円以上(夫婦で320万円以上)の約370万人が2割負担の対象だ。

 この4月から、“減る年金・増える介護保険料・障害福祉サービス料・・・”と言われるように、税も含め『応能負担』が根底から崩れ始めている。

   高齢者  「命を削る」 生活

 対象となる人からは、不安の声が聞こえる。
 「団塊の世代」が2022年から75歳になって医療費が膨らむため現役世代の負担を軽減するというが(筆者も団塊世代)、戦後高度経済成長期、家庭も健康も顧みず働いて(24時間働けますか・・)来た世代に対する仕打ちである。

 「病気が多く治療が長引く人ほど負担が増える」 「病院に行くのと、食費を減らさないと生活できない。自分で自分の命を削ることになる」・・・ と対象となる人からは不安の声が漏れる。
 高齢期運動連絡会のアンケートでは、“医療費負担が2倍になれば受診を控える”と答えた人が3割にも上る。 命にかかわる問題だ。

 世代間をあおり、対立させるのではなく、「大企業や富裕層に応分の負担を求める」 「予算を適正化し、公費負担、国庫投入を増やす」ことこそ国家の政策である。

 団塊世代を、戦後<2度目>の人柱にする菅政権の政策、断じて認めるわけにはいかない。

 菅首相
 ミャンマーの専制的軍事政権なのか?  いまは亡き志村ケンの演じた“変なおじさん”なのか?
 国民にとっては不幸な政権、おじさんである。