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  公共<復興>事業で、裏金つくり

 朝日新聞の取材によると、東日本大震災の復興事業を請け負った大手ゼネコン(幹部・・)に提供する目的などで、下請け企業が不正経理による裏金づくりを行っていたことが判明した。
 税務調査内容などによると、裏金は少なくとも1億6000万円に上るという。
 こうした裏金の原資は、復興増税などを主な財源とする国民の税金・国費だったという。
 歪んだ復興マネーである。

 朝日新聞の取材で確認できたのは、清水建設、安藤ハザマ、鹿島、大成建設といった大手建設会社。いずれもバックマージンの提供を目的とした下請け企業の裏金づくりだ。
 津波災害によるがれき処理工事や原発事故災害の復興・再生事業など、巨額の国費(税金)が投入された事業の現場で行われた裏金作り。
 裏金作りは、事業費の水増しによって作られ、ゼネコンに還流されている。

 この資金は、政治資金に流れたり、ゼネコン幹部の過剰な接待費(キャバクラ)、海外旅行費に充てられている。
 その額は、数千万円から数億円に上るという。

 税務調査で摘発された上記ゼネコンは稀である。 我々税理士が関与している中小零細企業(大小ゼネコンの3次下請け、4次下請け)では、日常茶飯事の事例であり、税務調査で主張しても殆んど元請けまで波及せず、全て下請けの中小零細企業にのみが責任を取らされる。
 それも消費税・法人税・事業税・法人住民税などのすべてに加算される。

  下請け中小零細企業の税務調査上の現実

 税理士の立場から こうした相談は日常茶飯事に発生する。

 ・ クライアントの相談 ➡ 『請負金額を(仮装)割増しで請求してくれ』 但し 『割増金額
  の80%を会社に還流してくれ』 『還流しないと、仕事を出さないぞ言われている』 『手元
  に残った20%では税金が支払えない』 ・・・ どう対応したらよいですか?

* 当職の説明<いわゆるバックマージン>(税務調査での事務所の主張と、当局回答)
  ・ 税務署はバックマージンを損金(経費)として認めてくれない ‼
  ・ 下請金額は実態としての下請け金額ではなく割増金額(バックマージンの資金捻出の受贈益)
   である、事業の実態から生じる事業収入ではないので下請は消費税法上の非課税取引である!
   (税務署/法人税事業取引・消費税事業課税取引と主張)
  ・ バックマージンの資金捻出(割増受領)を事業収入として法人税法・消費税法上課税するの
   であればバックマージンの支払も事業支出として損金(経費)として認めよ!(税務署/事業
   支出としての損金(経費)として認められない)
  ・ では、元請は事業取引の支払ではなくバックマージンの還流を目的とした金銭のみの贈与で
   ある。法人税法上受贈益を課税する。バックマージンの支払を損金(経費)否認する。元請業
   者はダブルの経済的損失を被る。(税務署/貴社の税務調査であり、元請の税務調査ではない)
  ・ ならば、元請も調査せよ。元請は金銭的贈与(バックマージン資金の捻出のため)であり、
   損金(経費)には該当しない。同時に、事業取引でない以上、元請の消費税法上の支払消費税
   も否認すべきである。(税務署/元請は割増も事業取引であり、法人税法上の損金(経費)に
   該当する。消費税法上も事業取引であり支払消費税に該当する)
  ・ バックマージン資金捻出のための仮装取引であり、事業の実態から生じる事業収入でないこ
   とは明らかだ。下請が法人税、消費税まで負担することは取引実態からの課税の公平性・整合
   性に欠落する。元請の便宜供与を装った裏金作り。下請業者に全ての付けを回す税法判断。
   弱者に税負担を求め、強者は政治とつながり、公金を還流するこの悪しき商習慣にも税務調査
   上メスを入れよ。(税務署/所轄の一調査官に判断できません)

  国税局調査も 結果、トカゲの尻尾キリ

 東京国税局の税務調で査発覚した調査結果について、同国税局は、裏金分は本来会社側の所得として申告する必要があったとし、追徴課税処分をしたというが、問題発覚後、清水建設と安藤ハザマの現場所長らは退職した。
 朝日新聞の取材に対し、安藤ハザマの元現場所長は「退職した事実以外応えられない」、鹿島の現場幹部は「応じられない」としている。
 清水建設は、支店幹部が受けた過剰な接待を認め、会社が本来計上できる利益が損なわれたため、「該当従業員は責任を取って債務を弁済、退職した」 ・大成建設は「(会社幹部への裏金提供計画は)回答しようがない」「下請の詳細取引に元請は関与しない」 ・鹿島は「回答を差し控える」としている。

 裏金の総額は一幹部が返済できるような金額ではない。ゼネコン企業にしても「下請の詳細取引に元請は関与しない」といったずさんな生産管理はしていない。
 ・・・ “臭いものには蓋”、“トカゲの尻尾切り” の結末だ。

  関西電力炎上! 原子マネー還流

 関西経済界を代表する関西電力。 高浜原子力発電所の立地を巡り3.2億円の裏金金品授受が発覚した。 これも“原発マネー” “電気料金”という公金の還流“キックバック”だ。
 これは明らかに「戦後最大の経済犯罪」 「会社役員収賄罪」 「特別背任罪」だが、関西電力の社内報告書は「不適切だが違法性はない」との結論だ。

 世界有数の金融機関が、犯罪行為による資金の出どころを隠すため送金するマネーロンダリング(資金洗浄)を利用されている可能性が浮かび上がった。
 マネーロンダリングは麻薬犯罪や汚職などに絡む資金洗浄だ。 と 国際調査報道ジャーナリスト連合が報じた。

 政治家も同様だ。 昨年夏の参議院選挙の際の河井克行前法務大臣、妻の安里参院議員の“なりふり構わぬ現金配布”事件。自民党が提供した1億5千万円も公金の政治資金(政党助成金)だ。

 さらには、秋元司衆院議員のカジノ汚職。
 ・・・ 限りなく、次々と社会・経済面を賑わし、止まることがない。

 闇のお金をつくり、「逆流」させるシステムは日本を代表する企業、大手・中小ゼネコンまで日本中の企業・政治家に蔓延している。“時代劇のような”多額の現金提供だ。

 受領の理由と使途を徹底して解明しない限り、権力とお金に社会が牛耳られる歪な社会となる。