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    無利子・無担保 ・・・ されど借金

 「コロナ融資」-新型コロナウィルス感染拡大の影響で売上高が急減した中小企業などに4,000万円を上限に無利子(3年間)・担保なしで貸し付けるという新型コロナウィルス対策として政府が新設した融資制度。

 当初は日本政策金融公庫が実施したが申し込みが殺到したため民間金融機関でも同様な仕組みで5月から開始した。

 信用保証協会の関与で貸し倒れリスクがなく、銀行が受け取る利息は自治体が補給する。

 公費で安定して稼げる「うまみ」に目を付けた一部金融機関は“ゆがんだ”融資競争に走り、金融機関の貸し出し(7月末の貸出金残高535兆2170億円)は過去最高の伸びを示している。

 融資が増える背景には貸し手側が得る「うまみ」も関係している。
 融資が焦げ付いても保証協会が事業者に肩代わり<保証協会は事業者に請求>するため金融機関は「ノーリスク」、利息は自治体が一定補填する。という金融機関の安定収益である。

 この“ゆがんだ”融資競争が“貸して終わり”となる危険性を秘めている。

   「リスクなし」は金融機関 事業者は「リスクあり」

 新型コロナウィルス対策“ゼロゼロ融資”というが、金融機関にとってリスクはない(利息は保証され、元金は信用保証協会付)、事業者にとってはあくまでも「借金」であり、支払が滞れば取り立ては厳しいことを忘れてはならない。
 ・・・ 過去にも“債権回収機構”による取り立ては競売処分も含め厳しかった。 倒産・自殺に追い込まれた事業者も少なくなかった。 ・・・

 将来がまったく見通せないコロナ禍で、事業者の資金繰りをつなぐスピード重視の「コロナ融資」。

 事業者はあくまでも借入(融資)であり<給付金ではなく、返済を迫られる。 - 返済の猶予期間は最大5年>、融資を糧に経営改善に取り組まなければならない。 

 金融機関も“貸して終わり”といった「ゆがんだ融資競争」に走るのではなく、事業者(借り手)の経営をいかに立て直すか! 地域経済・自治体と一体となった指導をする責任と真価が問われる融資である。

   大廃業時代 ~ 会社を看取る“おくりびと” ~

 NHKスペシャル「大廃業時代~会社を看取るおくりびと」(2019.10.6放送)を思い出した。
 新型コロナウィルス感染拡大による経済の後退が発生する以前の放送である。

 企業の廃業件数はこの5年で20万件、大廃業時代を迎えている。 経営者の8割以上が周囲の誰にも相談できず、孤立したまま廃業に追い込まれているため、「企業の孤立死」と呼び警笛を鳴らしている。 地域経済の生態系を崩壊しかねない「リスクある廃業」が広がっているという。

 弁護士や経営コンサルタントなどの専門職が廃業に寄り添う活動に乗り出し、通称「企業のおくりびと」として動き始めている。

 今、コロナ感染拡大による経済、経営の中、事業をどう継続できるのか必死の事業者が多くいる。

 大廃業時代の背景も、リーマンショック後、借入金の返済を猶予する政策やマイナス金利などで、利益がほとんどなくても融資を受け“生き延びる”企業が10万社にも上ったことがある。

 番組では、“おくりびと”がリスクの高い企業を無用に延命させるのではなく、取引先や従業員、地域経済にも大きなダメージを与えない『いい廃業』へと導く過程を密着ルポで描き出したドキュメンタリー番組であった。

 今般、コロナで“ゆがんだ融資” ・・・ 会社を何とか維持しようと無理をして借金をしたり、多角化で乗り切ろうと無理な投資をしたりして、取引先や金融機関にさらなる借金が残って自滅していくケースも少なくないと想像できる。 リーマンショック時の国の政策であったが、コロナ時代をどう生き抜くのか考えさせられる番組であった。

 日本の中小企業は200万社ともいわれ、いま30万社以上が消滅の危機にあるという。 高齢化と人口減少・後継者問題も重なり中小企業の事業継承は11年前のリーマンショック以上に今日のコロナショックで厳しい状況にある。

 今放置すれば2025年には650万人の雇用が失われ、22兆円のGDPが消滅するといわれる。
 ひん死の状態にある中小企業のために国は早急に中小企業支援策の法律を作るべきである。
 まさに政治問題である。

   GDP戦後最悪の下落 年率27.8%減

 コロナ危機が本格化した4~6月期、日本のGDP(国内総生産)は戦後最悪を記録した。 この低迷で企業の業績の悪化や雇用の悪化が広がり、世界的に長引く懸念が強まっている。 世界同時不況の様相となっている。

 リーマンショック「100年に一度の危機」と言われた ― 2009.1~3月期 ― 17.8%減
 戦後石油危機 ― 1974.1~3月期 ― 13.1%減
 消費税8%に増税期 消費税10%に増税期 東日本大震災期の数倍の落ち込みである。

 記録的な落ち込みの最大の要因は、GDPの半分以上を占める個人消費だ。

 政府はGo To トラベル・Go To イートと経済を回復するためにいろいろ施策を考えているが、最大の経済回復策は個人消費拡大のための消費税減税である。

 ヨーロッパをはじめ多くの国で実施しようとしている消費税減税こそ最大の経済回復策である。

 消費税増税は最大の愚策である。

 当面(2年間)消費税を5%にすることを提唱する。