実体経済と乖離する過剰流動性相場
株価は、一体どうなっている ?
コロナ禍、世界経済は戦後最悪が予想され、家計消費は大幅に減少している。
なのに、日米の株価は新型コロナウィルスの感染拡大前の水準に上昇している。
日経平均株価は22,512円(6/26現在終値)と高値を付け、謎の株高に沸いている。
株価と実態経済のギャップが大きく、現在の相場を『コロナバブル』と呼ぶ声が増え始めた。株価は半年後、1年後を織り込むと言われるが、それだけでは説明がつかないほど両者の乖離が大きくなっている。今の株高の原動力は金融緩和や財政支出などの経済政策からきているともいわれ、今後、株価の上昇が続くとしても、それは過剰流通性相場とみる関係者が多い。
日本経済をゆがめたアベノミクス
2012年12月、復帰した安倍自公政権は、好景気を装うため株価に執着した。日銀に異次元の金融緩和を推進させ、円安を加速させ、株高(円安・株高)を演出した。さらに法人実効税率を引き下げ(その減税分は庶民増税・消費税引き上げ)、大企業が負担する税金を大幅に減らした。
一方、国民に対しては高額所得者の所得税率を大幅に引き下げ、社会保障に対しては負担増と給付減を繰り返し、「株高」演出と「貧困」と「格差」の拡大をもたらした。
アベノミクスは日本経済をゆがませ、消費経済をさらに深刻にさせ、貧困と格差の拡大に直面している日本経済を襲ったのが「コロナ禍」・「コロナバブル」である。
大企業・富裕層の利益優先・成長力優先で弱い立場の人に苦しみを強いてきたアベノミクス。
国民の生存権に関わる福祉・医療関係の拡充、補償と生活弱者に対する生活補償、社会保障の拡充に経済を転換させなければならない。
政策・財源は、『応能負担』と『所得の再配分』という税制の基本に帰れば捻出される。
大企業の“内部留保” 488兆円
2020年1~3月期の資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保は487、6兆円と過去最高にとなったと財務省が発表した。大企業は労働者の賃金を抑制し、大企業優遇税制の恩恵で史上最高の内部留保をため込んでいる。
大企業の内部留保は一貫して増え続け、2012年12月の安倍内閣発足後1.5倍に膨れ上がっている。安倍内閣・アベノミクスの大企業経済優先・優遇税制、株高誘導の恩恵である。
安倍内閣・アベノミクスの大企業経済優先・優遇税制、株高誘導で恩恵を受けた内部留保の増加分(安倍内閣時代の増加分)162.5兆円をコロナ禍で苦しむ国民の生活のために還元するのが大企業の社会的責務ではないだろうか?
それが『応能負担』と『所得の再配分』という税制の基本に立つことだ。
今こそ、「内部留保・487、6兆円」の出番である。
世界経済「第2波」?7.6%減 ・ 日本は7.3%減
経済協力開発機構(OECD)は先月10日、2,020年の世界経済が前年比6.0%減、第2波が起きた場合は7.6%減に落ち込むとの一段と厳しい予想を発表した。
日本経済に対しては、2,020年が前年比6.0%減、第2波が起きた場合は7.3%減に落ち込むと予想している。しかし、2021年の経済見通しでは、先進国の中で日本のみが0.5%減の予想となっている。
OECDは「経済的打撃は世界中で悲惨な状況だ。新型コロナ危機の影響は長引くだろう」と声明を発表した。
4月の家計消費11%減 ・ 最大の落ち込み
緊急事態宣言は解除され、東京アラートも廃止された。解除・廃止後、感染者は再び急速に拡大している。
消費は大きなダメージが残り、経済は元に戻る見通しは立たない。
総務省が先月5日発表した4月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は26万7922円と物価変動の影響を除いた実質で11%減少した。過去最大の落ち込みだ。
外出自粛から乗り物代、旅行代、施設入場料等は9割超の減少。背広服、外食・飲酒代、鉄道運賃も90%近くの減少だった。一方、「巣ごもり消費」の影響か、光熱・水道7.4%、パスタ70%、即席麺40%、マスク等保健用消耗品は220%の増加であった。
『消費税減税』 88%が希望・・・コロナ危機対策
消費税をなくす全国の会は、全国アンケート結果を発表した。それによると、消費税10%による生活影響について、「負担が増えた」が84.6%を占め、88.1%が消費税減税を希望し、『コロナの経済危機を考えれば、ただちに5%にすべきだ』との声だ、としている。
ドイツ政府は、消費税の減税で経済回復を狙う政策をまとめた。
ドイツ政府がまとめた経済対策は約16兆円規模、日本の消費税率(ドイツは付加価値税率)の引き下げが柱となっている。
新型コロナウィルスの影響で深刻な打撃を受けている経済の回復を目指すねらいだ。