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   消費税増税 ・ 消費不況に追い打ち

 10月の消費税増税によって経済指標が次々と悪化、消費税増税が追い打ちをかけている。
 先月公表された2019年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比年率換算0.1%増の低い伸びにとどまった。 この結果を見て専門家は、“かろうじてプラスになったものの、非常に弱々しく、日本経済は成長力を失った。”と分析している。
 10月からの消費税増税を前に、駆け込み個人消費が期待されたが、輸出の不振もありGDP全体では多くの民間予想を下回る結果となった。
 10~12月期は駆け込み需要の反動減や増税による個人所得減などの影響で、マイナス成長に陥るとの見方が強い。

 アベノミクス(トリクルダウン・経済が成長し大企業が儲かれば、そのお零れが国民にも滴り落ち、国民生活は豊かになる)は完全に失敗し、大企業からの儲けのお零れは全くない。その大企業が失速したら日本経済も国民生活も路頭に迷うことになる。

 いま、大企業を中心に過去最高の経常利益を更新し、内部留保は貯まりに貯まっている。アベノミクス(トリクルダウン)と言うなら、今こそこの内部留保を国民に還元し、日本経済を国民生活優先の安定的な成長軌道に乗せることが重要だ。

    非正規雇用・3年連続で2000万人超え

 非正規雇用(不安定)労働者は統計をとって以来一貫して増え続けている。 総務省「労働力調査」によると2002年に1,451万人だった数が2016年には2,000万人を突破、2018年には2,120万に達し3年連続で2000万人を超えた。
 男女別に見ても2002~2018年にかけて男性が431万人から669万人へと1.55倍に、女性は1,021万人から1,451万人へと1.42倍に共に増加している。男性が急激に増加している。
 安倍政権は2015年、労働者派遣法の改悪を強行し、派遣労働者を無期限で使い続けることができる「生涯派遣」の制度にしたことが原因だ。
 正規雇用が当たり前の社会をつくり、国民生活を安定させることが国民経済にとっても求められる。

    所得格差・貯蓄格差 家計に広がる

 所得格差だけでなく、貯蓄格差も家計に広がっている。
 政府統計の貯蓄には、預貯金だけでなく生命保険や有価証券が含まれている。
 総務省の家計調査年報によると、貯蓄の最も少ない層と多い層の比率がともに増大している。
 貯蓄が100万円未満の世帯(2人以上)が占める比率は、2002年は全世帯の8.3%だったが、2006年以降一貫して10%を超えている。
 200万円未満の世帯も2002年には14.0%であったが2018年には17.1%と増大した。
 一方、貯蓄2,000万円以上の世帯が占める比率は、2002年の26.5%から2018年28.0%と増大した。

 総務省が5年ごとに実施している全国消費実態調査の2014年調査で貯蓄の世帯分布をみると、平均貯蓄は1,565万円。 これを下回る世帯が6割以上を占め、300万円未満が20.7%と最も多い世定数となっている。150万円未満は11.7%だ。
 2014年から5年後、2019年はさらに拡大していることが予想されている。

 高額の預貯金を持つ層はどうか?  日銀の預金・貸出金関連統計が残高別の口座数を集計している。個人で3億円以上の預貯金は2011年度末で50口程度だったが安倍政権になって以降2018年度末には、107口と倍増した。

 富裕層はより富、貧困層はより貧しくなると言った安倍政権・アベノミクスの結果が表れている。

 貯蓄の格差は預貯金だけでは測れない。 富裕層ほど株式などの有価証券の保有が多い。 有価証券を加えると格差はさらに広がる。 富裕層の貯蓄の半分は投資商品だ。

 安倍政権は、老後の対策として「資産投資による運用」をしきりに言うが、運用できる金融資産を持っているのは高額所得者・富裕層に限られる。
 貧困層に対策など出来ないのが現実だ。

    低所得が 結婚の障害に

 総務省の就業構造基本調査から、貧困と格差が深刻になる中、働いても所得の低い男性に未婚者が多くいることが判明した。
 また、世帯所得の多くを男性が占める既婚家庭でも、女性がパートなど非正規の低賃金労働についていることが多くあることが明らかになった。
 40~44歳の年齢層では、年間所得500万円以上の未婚率は12.5%であるのに対し、年収250万円未満の層では軒並み50%を超えている。
 低所得者の多くが非正規雇用労働者である。 少子化、若者の雇用形態が社会問題化している中、希望しても家庭を築けない実態が浮き彫りにされている。

    非正規公務員 賃金は「人件費」でなく「物件費(消耗品費)」

 “いま、公務員職場はピンチ!” 全労連公務員部会・公務労働連絡会が公務員の職場で働く労働者の実態について『非正規公務員酷暑』を発表した。
目次は 1.公務・公共サービスの担い手の公務職員の非正規化は深刻
    2.非正規職員にも要求される専門性
    3.絶えず脅かされる雇用不安
    4.賃金および処遇(劣悪)の改善は急務
    5.なくならない非正規職員へのハラスメント
    ・                      とあり、詳細に報告している。

 非正規職員の賃金は、人件費ではなく、物件費(機材費・消耗品費)に分類されるという。
 国家公務員は26.5万人の正規職員に対し、7.8万人が非正規職員、27.7%に達する。
 地方公務員は64.3万人と10年余で41.1%も増加した。
 ある官庁では、全職員の60%以上が非正規の公務員であるという。
 特に深刻なのは、学校教育現場、正規教員でなく臨時教員が増加し、まともな公教育ができない現状を報告している。その他、自治体の窓口業務や保育所の非正規化が進み、住民本位の行政すらできない実態も報告されている。
 専門的な知識や熟練が必要な仕事にまで非正規化が進んでいる。
 破壊される公務・公共サービスの劣化は、いずれ国民・住民の権利侵害にまで及ぶことになる。