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  改正年金機能強化法(納付期間短縮法)成立

 年金の受給に必要な保険料の納付期間を25年から10年に短縮する法律(改正年金機能強化法)が11月16日の参議院本会議で全会一致可決・成立した。
 年金受給資格は2012年改正で10年に短縮することを決めていたが、消費税10%への増税時とリンクされていたため、2度の増税延期に伴い先送りされていた。
 改正年金機能強化法の成立で最大約64万の無年金者が新たに年金を受給出来ることとなった。
 当然と言えば当然の遅すぎた成立である。

  転ばぬ先の杖? どころか
    老人を突き飛ばす自公政権
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    一方 ・・・ 年金削減は 際限なし

 一方、衆議院厚生労働委員会では、公的年金の改定ルール改悪を盛り込んだ「年金カット法案」(国民年金等改定案)が審議され、際限のない年金削減を押し付けようとしている。
 同法案は、  ① 物価が上がっても賃金が下がれば賃金に合わせて年金も削減。  ② 物価変動が小さくて年金抑制の「マクロ経済スライド」の調整率が完全実施できなかった場合、翌年度以降に「キャリーオーバー制度」を導入する。  という内容だ。
 いずれにしても、賃金が上がっても、物価が上がっても“年金は引き上げない”とう法案だ。

    2072年 ・ 経済回復しても2043年まで年金上がらず

 厚生労働省の鈴木俊彦年金局長は、経済再生の場合でも2043年まで、経済が低成長の場合なら2072年まで年金の抑制が続くと明らかにした。

   「年金・100年安心」 と見栄をきった 自公政権では

 「年金100年安心」と大見栄をきったのは10年余前の2004年の自公政権ではなかったか。
 毎年2%以上の物価・賃金増を描いた年金法改正を行った。
 賃金減少は想定していなかった。 と厚生労働大臣が認めても、100年安心の年金制度がわずか12年で破綻するほど見通しがきかないのか。
 政府は、“転ばぬ先のつえ” だと言い訳をしているが、「年金カット法案」が発動される可能性は極めて高い。 まさに、アベノミクスの破綻を見越した改悪だ。
 年金生活者の生活を守るため、年金水準を引き上げるためには、 年金支給額を物価変動にスライドさせ、 賃金の引き上げ、正規雇用化、賃金格差解消こそ必要だ。

 「年金100年安心」と見栄をきった2004年の厚生労働相案骨子や社会保障審議年金部会の意見・・・「親の生活の安定を通じ、現役世代も安心して能力を発揮できる・・・」はどこに消えたのか?
 親の生活も不安定 ・ 現役世代の能力発揮も不安定 ・ 次世代子供たちの格差と貧困で将来も見えない。  そんな社会に逆戻りする気がする。

   消費税増税で  ダブルパンチ

 消費税10%への増税が2019年10月へ再延期されたが、10%に引上げられた場合、物価は1%程度上昇するとみられる。
 本来なら、2021年度に年金も1%上げるところが、「マクロ経済スライド」によって物価上昇分は年金に反映されずカットされ、結果、年金受給は実質1%削減される。
 物価上昇によって2022年~2024年の実質賃金変動率が3年間で1%程度マイナスとなる。 これまで賃金がマイナスとなっても、物価がマイナスにならない限り年金改定はゼロにとどまっていたが、今改悪案ではマイナス改定が行えるため3年間で名目1%がカットされる。

消費税増税で物価が1%上昇するにもかかわらず、年金受給は1%カットされ、実質2%の抑制・削減となる。

 安倍首相は、「我々は賃金が上がる状況をつくっていく」と公言しているが、安倍首相誕生・アベノミクス政策以来、私たちの賃金は上昇どころか減少している。
 現役世代の賃金が下がったとき、物価が上昇しても年金支給も下げる。負のスパイラル・悪の循環である。
 先進諸外国に比し、貧しい日本の年金の最低補償機能はますます低下する。 ・・・ まさに、自公与党が考えている “自助”・“共助” お上の助けを求めず、自分で、家族で助け合え ・・・ という社会保障政策だ。

   米軍「駐留費」で  国公立大学の学費無償化できる

 九条科学者の会が「激動する世界と日本の改憲問題」をテーマに講演会を開催した。
 元外務省国際情報局長の孫崎亨氏は、在日米軍駐留関係費(民有地借料、思いやり予算、米軍再編費用など)7612億円(「読売」報道)を紹介 ・・・ 「これだけあれば国公立大学の学費を無償化できる。軍事費を払うとどこかにしわ寄せがいく」と指摘した。

 税の使い方について、考えなければならない指摘だ。

    税の強権的徴収は拡大

 さいたま市社会保障推進協議会は、市債権回収化と懇談し、税などの滞納者に対する強権的な取り立てを止めるよう求めた。
 これは、市民2人が、市からの強権的な税の取り立てをされるなか、自殺したことを受けて行ったものだ。
 「毎月分納していたにもかかわらず、強硬に一括納付を迫られた」 「自営業者に『売上金を差し押さえる』という同意書を書かせ、自己破産の手続きをしているので弁護士に話を聞いてほしいと訴えても、聞き入れてもらえなかった」のが自殺の原因だ。

 市は、親族や弁護士を含む助言者の同席を禁止する文書を出している。
 滞納者と市職員と1対1の場でやりとりする中での自殺である。
 助言者が同席していれば防げたものだ。

 思い込みと、推測で捜査すると、冤罪がおこる・・・と言われるが、 税務調査でも調査官の思い込み・推測で課税されることがしばしばある。 滞納に対しても「滞納者は悪者だ」・「懲らしめてどこが悪い」という行政が横行している証左だ。

    「滞納相談センター」 ご一報ください

 国税・地方税・社会保険料を問わず滞納が増加している。滞納の原因は多様だが、景況の悪化や消費税の増税、資金面で対応できない小規模・零細法人に対する社会保険の強制加入など、自助努力では解決できない滞納が多く見受けられる。
 こうした滞納者に対する徴収行政は、個々の滞納者の実情を顧みないで売掛金・給与・預貯金など事業の継続や生活の維持に大打撃となる財産に狙いを定めて差押えたり、「差押禁止財産」である入金された児童手当まで差し押さえ、取立てる事態まで発生している。
 また、「差押執行中」と大きく書かれた公用車を滞納者の門前に横付けするといった『人権蹂躙』の事態さえ発生している。

 先ず、差押ありき ・・・ の強権的な滞納処分の嵐は全国で吹き荒れている。

 このような現状の中、納税者の生活権・営業権を護るため税理士など専門家の出番が求められている。 ・・・ 『滞納相談センター』は、こうした求めに応じ、設立された。

 事務所の税理士も参加する“東京税財政研究センター”は、このような徴収行政に対し、滞納問題への対処法を納税者の視点に立って記した書籍『差押え』を出版し、あるべき徴収行政を世に問うとともに、徴収行政の実態に警鐘を鳴らしてきた。

 ■ 税理士ら「滞納相談所」を設立 (朝日新聞2015.9.16記事より)
 首都圏の税理士ら有志が、税や社会保険料の「滞納相談センター」を設立した。東京都港区虎ノ門に拠点を置き、メンバーの税理士、弁護士、社会保険労務士が面接や電話(03・6268・8091)で、滞納者の相談に応じている。(原則無料)

 常に税理士40人以上が当番制で相談に当っている。

 事務所の税理士2名も相談員として活動している。

 滞納問題でお悩みの納税者 ・ 1人で悩まずご相談ください。
 上記相談センター(03・6268・8091)、事務所でも一次的な相談に応じます。