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  破綻は破綻  認めない安倍政権・日銀総裁

  安倍晋三政権は5月の月例経済報告で「景気は、このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」という判断を変えなかった。
 景気の現状は消費の低迷が長引いているのに加え、賃上げの改善が不十分で、冷え込みが一層深刻になっている。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」・「トリクルダウン」の破綻は明らかであり、貧困と格差が限界まで達しているのに、その破綻・失政を認めようとしない。
 先行き「緩やかな回復に向かう」と楽観的な見通しを振りまき、国民生活の実態を無視することは無責任極まりない。
   雨のしずくは落ちるが
   大企業のもうけは落ちない
   アベノミクスでは青空望めず
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 景気を左右するのは日本経済の約6割を占める個人消費だ。
 月例報告は個人消費について「消費者マインドに足踏みがみられるなか、おおむね横ばい」と判断しているが、庶民の実感からは絵空事である。
 消費の低迷は「マインド(心理)」の問題ではない。 実感の問題である。

  個人消費 2年連続の減

 内閣府が5月18日発表した2015年度の実質国内総生産(GDP・季節調整済)は前年度比0.8%増(政府見通しは1.2%増)であったが、個人消費は0.3%減となり、比較可能な1994年以降で2014年度2.9%減につづき初の2年連続マイナスだ。
 同時に発表した1016年1~3月のGDP速報値は、物価変動を差し引いた実質で0.4%増だったが極めて低い水準にとどまった。個人消費は実質で0.5%増となったものの物価の影響を反映し、生活実感に近い名目では0.1%の減であった。

 総務省の家計調査でも家計支出は2年連続マイナスで、直近の3月分でも勤労者世帯の消費支出は前年同月比で実質5.3%の大幅減少だ。

 大企業の儲けを増やせば、回りまわって消費も投資も増えるという「アベノミクス」・「トリクルダウン(滴り落ちる)」の筋書きも、日銀のゼロ金利政策も完全に破綻し、消費の長期低迷は否定しがたいものとなっている。

  実質賃金 5年連続の減  2010年対比94.8

 厚生労働省が発表した毎月勤労統計の確報によると、2015年度の実質賃金指数(2010年暦年平均=100とした指数)は94.8で5年連続マイナス悪化だ。
 トリクルダウンで賃金に滴り落ちてはこない、アベノミクスの失政だ。

   トヨタ純利益2兆円超  上場企業の経常利益0.8%増

 トヨタ自動車が5月11日発表した2016年3月期連結決算(米国会計基準)は、純利益が前期比6.4%増の2兆3126億円と2年連続2兆円台を突破した。 本業の儲けを示す営業利益は3.8%増の2兆8539億円と営業利益・純利益とも3年連続で過去最高を更新した。
 記者会見した豊田章男社長は、「今年に入って大きく潮目は変わった」とトリクルダウンには応じる姿勢を示さない。

 上場企業の3月決算発表がほぼ出そろった。時事通信社が集計したところ今期の連結経常利益は前期比0.8%増と横ばいの見込み、アベノミクスで増益を続けてきたが大企業以外は減速が鮮明になってきた。

 消費の足踏み、低迷を長期にわたってつづけている一番の原因は、一昨年4月の消費税増税にあることはあきらかだ。アベノミクス・トリクルダウンといった経済政策の破綻にあることはあきらかだ。

 国民の家計と暮らしを回復するため、失政、増税不況を認め。来年4月からの消費税増税は直ちに中止し、国民本位の経済政策に抜本的に転換することだ。
 そのためには「税の集め方」・「税の使い方」の根本的転換が必要だ。