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   確定申告に見る 社会保険料(税)負担

 確定申告期間も無事終了し、税理士事務所はホットしている時期である。束の間、連休を利用して温泉旅行をしてきた。

 しかし、帰ってきて新聞に目を通すと、「貧困世帯20年で2.5倍」「貧困・格差の拡大」「子供へ貧困の連鎖」「景気が後退」「中小景況、低迷つづく」「GDP改定値年1.1%減」「政治資金の私物化」「政治資金、収入の4割が使途不明金」「軍事費過去最高、5兆円超」「マイナス金利、日銀二分」・・・の記事が躍る。

 本年受任した確定申告の実態を思い浮かべたので例示したくなった。
 申告者は、75歳超の実母と中学生の実子(母子家庭)、それに障害を持っている実姉を養う自営業者である。申告所得税額は2,641,822円(サラリーマン対比=年収398万円程度)、所得税は0円、住民税は均等割のみ5,000円である。

  滞納者を医療難民に
  追い込んでいいのか
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 家計経済は、年間医療費970,520円、国民健康保険料は393,300円、国民年金は373,440円の支払額となっている。
 医療費自己負担と社会保険料等負担は合わせて1,737,260円(所得額の65.76%)に上る。
 若干の生命保険料、火災保険料、住民税を差し引くと可処分所得額は816,829円(月額68,069円)である。
 一家4人家族、生活保護以下であるが、一切の社会保障補助はない。

 これが日本の実態である。

   国民「皆保険」機能不全

 自営業や無職の人が加入する「国民健康保険」、75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」の保険料を払えない人たちの問題が深刻化している。
 厚生労働省の最新調査(昨年6月)では、国民健康保険で約336万世帯(世帯課税)、後期高齢者医療保険で約24万人が滞納となっている。
 滞納を理由に「保険証」を取り上げられたのは、国民健康保険で125万世帯(滞納者の37%強)、後期高齢者医療保険で2万6千人にのぼっている。
 保険証がなくて医療機関への受診をためらい、手遅れで命を落とす悲劇も後を絶たない。

 国民の命と財産を守るといって自公政権は“戦争法案”を強行可決した。このような生活の基盤のところで国民の命を見殺しにして、何をかいわんや だ。

 「滞納」の背景にあるのは、負担能力をはるかに超える高い国民健康保険料(税)にある。年間所得250万円程度の自営業者4人が支払う保険料(税)が40~50万円(所得額の20%弱)に達する。これだけの負担額はあまりにも過酷だ。低所得の世帯では払いきれる額ではない。

 国民健康保険料も税である。税は“応能負担”が憲法でも保障されている。まさに、憲法違反の国民健康保険料(税)の負担制度である。

   人を殺しかねない 乱暴な徴収・差押 やめよ!

 国民健康保険料の滞納を理由に、昨年、市町村による乱暴な徴収・差押(約28万件)が過去最高となった。滞納分を分納しているのに銀行口座までいきなり差押えし、生活の糧である年金や子供手当(児童手当)まで巻き上げていく。
 滞納者の事情を全く考慮せず、生活をさらに困窮させ、自殺にまで追い込む市町村の行政執行。いかなる理由が行政当局にあろうとも許されるものではない。

 国税には国税通則法、国税徴収法があり、納税の猶予・徴収の猶予の規定があるが、市町村には猶予法はない。無いからといって、何でもできるものではない。

 国民健康保険料(税)に滞納が多く発生するのは、負担に耐えられない(特に低所得者)国民健康保険料の算出制度・仕組みにある。このことを認識し、改正すべきである。

 市町村長・職員様・・・市民の代表として職務に専念するということは、市民の暮らしと命を守ることではないか。