中国経済の減速 ― 世界をかけめぐる
日経平均株価は急落し、下げ幅は一時、前週末比937円03銭まで拡大。終値も895円15銭(4.6%)安の18,540円68銭と今年最大の下げ幅を記録した。
比較的安全資産とされる円は、一時1ドル=116円台と円高水準で買われた。
同日、中国・上海市場でも、市場全体の動きを示す上海総合指数が最大9%低下と大幅に下落。
アメリカ株の下げ幅は一時1000ドル(7%)を超えた。
市場では、中国の先行きを危ぶむ不安が広がり、中国政府の対応力への疑念が強まっている。
中国の景気減速でアメリカの利上げ時期が遅れるとの見方も強まり、世界経済全体への不透明感につながり、株式市場から大量の資金が引き上げられた。
世界の景気回復に期待していた株式市場を中国を巡る不透明感が覆い、パニック的な買いが加速した。人民元の切り下げは、世界の秩序を揺るがしかねない。との見方である。
GDP世界1、2、3、位のアメリカ、中国、日本。もはや一国経済主義では世界経済は成り立たない。ましてや仮想敵国として戦争相手国とするなど経済だけでなく、地球すら滅ぼしてしまう。
平和も経済も各国が連携・連帯してこそ安定が保てるものである。
株主‐資本主義
企業経営の理念として、株主利益の追求を最優先とする考え方。
利益追求のため人員削減や、市場での規制緩和の働きかけなどが肯定される。
公益資本主義と対比される。
株主資本主義の横行は、労働者を貧困にさせる
現在の企業経営者は、利益率(1株あたりの利益)を上げるのを最大目標にしている。株主からの強い要求である。成果を上げれば巨額の報酬が保障される。株主配当も5%、10%となり株主は満足する(これを上回る高金利な投資はない)。資金も調達できる。成果が出なければ株主は逃げていき、経営者も解雇される。
株主が利益率のみで経営を評価してきた結果、企業経営者は労働者を単なるコストと考え、大量の首切りや非正規社員を生み出し、利益のみを追求してきた。
この株主資本主義の横行で普通に働き暮らそうとしている労働者の職を奪い、過酷な労働条件と低賃金で働かせられている。労働者とその家族はますます貧困化していく。
その一方で、富める者の金融はさらなる株式へと循環し、富裕層の資産を膨らましていく。
株主資本主義とは、労働者から企業経営者へ、庶民から富裕層への富の移転であり、搾取である。
この富の移転、搾取の政策がインフレ政策であり、アベノミクスである。
経常利益29%増 上場企業4~6月決算
上場企業の2015年4~6月期決算発表から時事通信社が1143社を集計した結果、売上高は前年同期比4.3%増、経常利益は29.1%増の大幅な利益となった。
「この花火のように日本経済がどんどん上がっていくように、みなさんの収入が上がっていくように頑張っていきたい」(花火大会での安倍首相のあいさつ)
安倍首相は自らの経済政策(アベノミクス)を花火に例えたが、日本経済と国民生活は深刻な冷え込みとなっている。
大企業とその経営者(年間報酬1億円以上の大企業の経営者は411人)はアベノミクスで潤う反面、国民は増税と物価高(インフレ政策)で疲弊しきっている。
実質賃金3.0%減 大きく減少
厚生労働省が発表した6月の毎月勤労統計調査(確報)は、物価変動を加味した実質賃金指数で3.0%減となり大きく賃金が減少した。名目賃金である「現金給与総額」も減少した。実質GDPもマイナス成長である。
アベノミクスで大企業は利益を大きく増やしているが、賃金は逆に減少の一途をたどっている。
まさに、株主資本主義そのものである。
労働者使い捨て 労働者派遣法改悪
労働者派遣法改悪案の審議が参議院で行われている。
この法案は、「直接雇用の機会をなくす」「正社員を減らし、派遣労働者を増やす」「労働者でなく、使い捨てのコマにする」など、一生派遣社員を容認する大企業本位の法案である。
一生生活に困る国民を法律で作り上げる。大企業の意をくんだ株主資本主義の最たる政策・アベノミクスである。
それでも安倍政権は、「経済は前向きな状況が続いている」とはばからない。
安倍政権は国民生活に目を向けようとしていないから言える発言である。
アベノミクスは『貧困と格差』を拡大し、『国民の命と暮らしを破壊』する『亡国の経済政策』である。