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   「休眠口座」って ? 

 「休眠口座」とは、長い間抽き出しや預け入れなどの取引がされていない“眠っている”預金口座のことをいいます。
 最後にお金を出し入れした日や定期預金の最後の満期日から、銀行では10年、ゆうちょ銀行では5年以上たったもののうち、預金者本人と連絡がつかないもの(残高が1万円以上の場合は、金融機関から預金者へ通知が来ます)をいいます。

 会計上は金融機関の利益になってしまいます。

     ひきだしの奥に
  しまいこんだままの通帳は?

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 銀行・信用金庫だけでも毎年880億円が利益となっています。

 日本には12億人分の預金口座(1人10口座以上)があると言われています。・・・イギリスでは1.5億口座・韓国では1.7億口座。

 該当すると考えられるのは、子供のころの口座や結婚前に使っていた口座・サラリーマンや学生などで地方いた時の口座。また、亡くなった人の口座などです。

 基本的には、預金者の権利が失われるものではありません。預金通帳や印鑑を持って窓口に行けば、いつでも払い戻しは受けられます。

 事務所の相談でも次のような事例がありました。
 お父さんが5年前まで事業を行っていた。
 事業を行っていた当時、従業員のためと給与天引きで預金をしてあげていた。その後、事業を廃業し従業員は退職した。
 お父さんは5年にわたる闘病生活の後死亡した。
 相続人である娘さんはお父さんの預金通帳を整理していくなか、元従業員名義の通帳3通と印鑑を発見した。
 名義人は、元従業員で、従業員のためと思い、会社の住所・従業員名義で口座を開設したものであった。
 その従業員は現在も健在である。
 銀行との交渉では、「通帳口座の存在は確認できる。」「残高は3口座で300万円強である。」「印鑑も登録のものである。」・・・しかし、従業員の確認について「事業所での住民票の登録が確認できない。」よって、「本人確認ができないので払い戻し・解約はできない。」と言うことであった。
 当時、銀行員の勧めで口座開設をしたのにもかかわらずであった。

 仮名口座ではなく、本命口座です。銀行員の勧めで開設した口座です。給与天引き・振替で預け入れていたものです。それでも本人確認はできない。よって、払い戻し・解約はできなかったということでした。

 日本の預貯金は、預入は簡単で、引き出し・解約は厳しいと言えます。

    預金の時効消滅

 日本では、銀行の預金は商法上の時効消滅が適用されます。5年間権利行使がなかった場合には時効消滅(商法第522条)します。また、信用金庫での預金は民法上の10年で時効消滅(民法第167条)とされます。
 しかし、金融機関は預金者に対して時効消滅後でも払い戻しに応じています。ゆうちょ銀行は2007年9月30日以前に預け入れて20年2ヵ月を経過している場合には、旧郵便貯金法の規定によって権利が消滅し、払い戻しはできなくなります。
 なにをもって「休眠口座」とするかは金融機関によって異なりますので注意が必要です。
 銀行によっては、2年以上権利行使がない口座を「休眠口座」として扱い、休眠口座手数料を設定している銀行もあります。

 「休眠口座」にしないためには、必要以上の「口座」は作らないようにする。普段、使用しない「口座」は解約し、必要とする「口座」へまとめることも肝要といえます。


    生命保険の失効

 生命保険の失効とは、保険料を支払わなかったことにより、保険契約の効力がなくなり保障が受けられなくなることをいいます。
 ・ 月払いの場合は、払込月の翌月初日から末日までの間が払込猶予期間となります。
 ・ 半年・年払いの場合は、払込月の翌月初日から翌々月の契約応当日までの間が払込猶予期間と
  なります。

 失効後一定期間は保険契約を元の契約どおりに戻す(復活)ことは可能です。そのためには未払になった「本来払うべき保険料」をまとめて支払う必要があります。

 保険料が支払われなかった場合、保険会社から「通知」されます。これは、保険料の払込に関するお願いと支払わなければ保険契約が失効する旨の通知です。
 払込猶予期間内に保険料が支払われなかった場合には、生命保険契約が失効した旨の「失効通知書」が届きます。

 生命保険契約が失効すると、生命保険による保証は受けられなくなります。解約返戻金がある場合には解約返戻金の範囲内で保険会社が自動的に保険料を立て替える「自動振替貸付制度」があるため、この制度を利用して保険料を立て替えてもらう方法もあります。この場合、生命保険の保障の効力はありますが、立て替え分に対する利子は発生します。

   「復活」させるか? 「解約」するか?

生命保険が「失効」してしまった場合、「復活」させるか、「解約」するか判断が必要です。

生命保険契約を「復活」させる
 生命保険契約を今後も継続したい場合は、生命保険契約を「復活」させることができます。
 ・ 失効してから通常3年以内の保険契約であること
 ・ 健康状態をチェックする告知、審査を再度受けること
 ・ 失効中の期間の保険料を支払うこと
が条件となります。
 健康状態の告知、審査は、健康状態の悪化等があった場合、厳しい条件となります。また、未払保険料の総額の一括払いも相当の負担となります。
 状況によっては、ほかの安い保険に加入するのも一考です。

生命保険契約を「解約」する
 解約返戻金がある場合には、解約すると解約返戻金を受け取ることができます。
 生命保険を必要とする場合は、解約返戻金をもとに、自分の生活状況にあった保険契約を考えることもできます。
 生活環境の変化により、生命保険契約を見直すこともお勧めします。

    保険金の未請求

 死亡保険金(医療保険金も同様)が請求されずに支払が行われないままになっている保険金のことを言います。
 亡くなった方の家族が、亡くなった方がどこの保険会社に何の保険契約をしていたか知っていれば問題は起こりませんが、知っていない場合は保険金の未請求の問題が起こります。

 通常、保険料を支払っているにも関わらず、保険金を支払わないということは、代金を支払っているにもかかわらず、商品を引き渡さないということと同じで、問題だと思いますが、保険契約は商品の売買契約と異なり、請求をしないと支払わないという契約になっています。

 生命保険文化センターの調査によると、保険契約加入世帯は90.3%になっています。これは日常生活を脅かす経済的リスクの穴埋めをする役割として必要性を感じているからです。
 折角加入している保険(経済的リスクの穴埋め)について、請求せず受け取れないということになると何の保険契約だったのか、なぜ今まで支払い続けたのか無駄となってしまいます。

 日常生活に深くかかわり、社会的公共性を持っている保険契約です。本来保険会社が日頃本人確認をし、全ての保険契約についてきちっと支払われるシステムをつくらないと保険会社の責務は果たせないと思いますが、制度的には本人請求がないと保険金は支払われません。

 家族がどんな保険に加入し、どうゆう時に支払われるのか十分に知っておくことが重要です。

    未払保険金

 明治安田生命保険が90歳以上の契約1万1千人を調べた結果、20%弱にあたる2千人はすでに死亡し、保険金の支払いがされていなかったことが判明しました。
 大半の人が保険料の払込が終了し、死亡するまで契約条件が適用される終身保険でありました。
 高齢者の保険金は300万円程度ですが、他の保険会社の分も推計すると数百億円に達します。その金額が保険契約者に支払われず未請求とされています。

 保険会社は、受取人から請求がなければ保険金を支払う義務はないのですが、積極的に未請求を防ぐよう努力してほしいし、家族の保険契約については家族同士しっかりと知っておきたいものです。

 保険金の受取人には、保険契約者は保険証券のコピーを渡して説明しておくことが重要です。