ke57.jpg

  「法人税改革」 ・・・ 実効税率、20%台に

 政府は24日、新しい成長戦略の骨子を固めた。
 法人の実効税率(現在35.64%)を2015年度から数年間で20%台に下げることをめざすと明言し、「グローバル経済を勝ち抜く強い経済をつくる」としている。農業、医療など「岩盤規制」と呼ばれる分野に切り込む姿勢も打ち出した経済財政運営改革の基本方針(骨太の方針)を決定した。
   上に伸びていくのは・・・大企業ばかり
a0002_010472.jpg

 法人実効税率
  企業の所得に対する税の負担率を表す。2014年度の税率は35.64%(東京都)。
 国税である法人税分23.71%、地方税である法人住民税と法人事業税など11.93%、その合計が35.64%となる。
 今年3月時点の国際比較では、40%を超すアメリカ、29.59%のドイツ、23%のイギリス、25%の中国、24.2%の韓国となっている。

 法人税率を1%下げれば5000億円の税収減となる。仮に、中国・韓国並みに25%以下にすると5兆3200億円の税収減となる。消費税増税(庶民増税)が法人税減税(大企業減税)ですべて消えてしまうことになる。
 減税財源は法人税の課税ベースを拡大し「恒久財源を確保する」としているが、その前にやることがある。大企業優遇税制の廃止である。日本ほど本税とは別に大企業優遇税制を際限なく設けている国はない。

 世界的に低下傾向の法人税率。グローバル化した国際経済の中で、企業が国際競争力に打ち勝つためとのことだが、消費税率と並ぶような国も出てきた。企業の国際競争力を高めるために法人税率を軽減すれば、それに代わる財源が必要となり、「法人税減税・消費税増税」という潮流はますます強まってくる。
 少子高齢化に備える財源も考えると、消費税率40%の時代が訪れるだろう。

 骨太の方針
  小泉総理大臣が聖域なき構造改革の着実な実施のために、経済財財政諮問会議に決議させた政策の基本骨格。
  総理が政治的に任用したブレーンに総論を作成させ、各論を各省庁に作らせ、経済財政諮問会議に発表させる。
  当初(小泉総理・2001年6月)「経済財政運営と経済社会の構造改革に関する基本方針」の際に通称して「骨太の方針」という言葉が使われたが、2012年12月誕生した安倍政権下でも使われている。

○ 「骨太の方針」 ツイッター、フェイスブック
 ・ 法人税減税を骨太の方針で明記したのは、消費税10%を前提にバラマキ予算が作られるのは明らか。財源はパチンコ税とかになるんじゃない。
 ・ 【アベノミクス】法人税、来年度から数年で20%台に引き下げを目指す「骨太の方針」明記。
  ⇒大企業は骨太になるかもしれないが、庶民は骨粗しょう症になってしまう。
 ・ 骨太の方針という言葉がいつもごまかし。言葉遊びにしか聞こえない。
 ・ かくも愚かな提言。審議会なり私的懇談会から出されてそれが骨太の方針とか。これは民主国家ではありません。
 ・ 「成長戦略」「骨太の方針」って美辞麗句って感じ。この言葉で覆っておけば何でも許される的な。
 ・ 骨太の方針.閣議決定。嘘がばれる前に.閣議決定。先に決めちゃえ.閣議決定。国会はいらないよ.閣議決定。国民の意見は無視.閣議決定。なんでもかんでも.閣議決定。
 ・ 「骨太の方針」目玉は法人税率35%から20%台へ下げること。これが実行されると毎年約5兆円の歳入欠陥が生じることに安倍総理は触れていない。

  「太る」 のは誰  ・・・ 「細る」 のは誰

 「日本の『稼ぐ力』を取り戻す」。政府が閣議決定した「成長戦略」(骨太の方針)の表題だ。安倍総理は「取り戻す」という言葉がよほど好きなようだ。戦後レジュームからの脱却を掲げ、武器輸出を全面禁止していた「武器輸出三原則」を閣議決定で撤廃。3ヵ月もせず国際的な武器展示会に展示され、輸出の商談が行われた。さらに、「集団的自衛権」を閣議決定で容認し、戦争ができる国へと変貌させようとしている。
 これが安倍総理の「取り戻す」。戦前の軍国国家を「取り戻す」ことなのか。

 「日本の・・・」と言っているが、「企業の『稼ぐ力』の向上」だ。「国民の『稼ぐ力』の向上」ではない。国民が出てくるのは「その果実を広く国民(家計)に均霑する」というくだりだけだ。大企業が稼げば、おこぼれが国民に分け与えられるトリクルダウン(したたり落ちる)理論だ。
 日本の労働者の賃金は、1997年をピークに、景気がよかろうと悪かろうと減り続けている。大企業は、不況の中でも内部留保を積み増し続けている。大企業はおこぼれなど出す気はない。
 稼ぐ力=収益力の名のもとにリストラは強行され、非正規労働者の比率は37%にまで達した。女性労働者の比率は56%だ。稼ぐ力=収益力優先で人件費を減らし続けた結果だ。
 法人税率を20%台まで引き下げることと同時に、働き方まで変えようとしている。「時間ではなく成果で評価(賃金)される働き方の改悪」、「残業代ゼロ」制度の導入だ。

 「成長戦略」「骨太の方針」は、大企業だけが栄え、国民がますます困窮する戦略だ。

  大企業の内部留保 23兆円 増

 大企業1000社の内部留保の増加ペース、2012年度は16兆円。13年度は23兆円と急上昇した。
 内部留保を1年間で2000億円以上増やした企業は、2012年度は16社。13年度は22社に上昇した。アベノミクスにより大企業は史上空前の利益を上げている。
 これらの大企業では1年間に増えた内部留保額の1~4%程度払い出すだけで月額1万円の賃上げが可能だ。
 大企業の貪欲な『稼ぐ力』志向は、法人税率を引き下げても内部留保で溜め込むだけ。国民にしたたり落とすことはない。国民はさらなる年貢の取り立て(消費税大増税)に喘ぐだけとなろう。