弱体経済 欧米との格差拡大
1~3月期の実質国内総生産(GDP)が年率換算で前期比1.0%の減となった(内閣府の5/18発表)。 2四半期ぶりのマイナスだ。
新型コロナウィルス感染拡大の影響で内需の柱である“個人消費”の低迷に加え、雇用者報酬のマイナス(0.4%)。 さらにロシアのウクライナ侵略による世界経済の混乱(物価高騰)。 “アベノミクス”により弱体化した日本経済(社会保障の引き下げ、国民負担の増大、低金利政策などで日本経済をもろいものにした)など、日本が抱える根本的・構造的要因が挙げられる。
日銀の黒田総裁(アベノミクスを忠実に実行してきた)は5/13日、内外情勢調査会における講演で「春先以降は、ウクライナ情勢を受けた資源価格の上昇の悪影響が、企業の業況感などに見られ始める」とさらなる警戒感を示した。
日本経済の足元では、日米の金利差を主因とする円安が進行。 輸出企業では史上空前の利益を上げる一方、生活に直接影響を及ぼす輸入物価が上昇し、物価高騰に拍車をかけている。
民間信用調査会社(帝国データバンク)が上場する食品主要メーカー105社を対象に実施した調査によると、4/14日までに累計6,167品目で値上げの計画があることが判明。このうち6割強にあたる4,081品目はすでに値上げされたという。
エネルギーや食料品など輸入に依存してきた日本経済の弊害が一気に噴き出している。
低所得者に容赦なく直撃 切り詰めても支出は減らず
光熱費や食料品など生活必需品に物価上昇が直撃。 低所得者ほど影響が深刻だ。
5/14日東京都庁前で開催された「新宿ごはんプラス」による食糧支援には開始前から160人以上が列をなした。
生活保護を受給する中年男性は、食費を削るため1日1食レトルトカレーのみの生活を長く続けていると訴えた。
また、別の人は水道光熱費の負担が増し(昨年の1.3倍)、エアコンの頻度を控え、シャワーも我慢していると訴えた。
アベノミクスによって広がった貧困に物価高騰が容赦なく襲いかかっている。
光熱費や食料品などの生活必需品で物価高騰が高いため、低所得者ほど影響が深刻だ。
年収 200万円以下 負担増 4.7%増
300 3.2%
400 2.6%
500 2.1%
1500万円以上 0.7% (総務省「家計調査」をもとに赤旗紙試算)
「成長しない国」から 「成長する国」 への転換
労働法制の規制緩和で低賃金や不安定な非正規雇用を拡大した。
多くの非正規労働者がコロナ危機で職を失った。
消費税増税で低所得者ほど重い負担を押し付けられた。
日銀の「異次元の金融緩和」は株価を引き上げ、円高を加速させ、耐えがたい物価高を起こした。
物価高は今後も消費の足を引っ張ることは確実だ。
アベノミクスで損なわれた経済の土台を立て直す改革が欠かせない。
大企業はアベノミクスで法人税の減税をはじめ様々な優遇を受けて内部留保を膨張させた。(企業努力ではない)
大企業は円安の恩恵で利益を倍増させている。(企業努力ではない)
日本経済・「成長しない」現状を打開するためには大企業の内部留保を賃金などが上がるよう政治の果たす役割が重要だ。
「企業価値」を高めるということは、企業の利益のみを高めることではない。企業の「社会的価値」を高めることである。 日本の政治・経済の社会的構造を正すことが日本経済の成長に不可欠である。
企業の内部留保(利益の溜め込み)課税を実施し、資産(度を超えた)所得課税を強化し、それを社会還元する仕組みで経済の好循環を作り出すことだ。
対立軸は、国民と大資本・国民と政治の間にある。