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   菅政権の中小企業改革  改悪

 エヌピー通信社の「税理士新聞」1月号の記事から抜粋してみた。
 中小企業経営者からは恐怖の声が上がっている。

 “菅政権が中小企業基本法の見直しに向けて動き出した。税制上の優遇措置や補助金を受けられる中小企業の定義を変え、再編や経営統合を促すという。”
 “中小企業の生産性を向上させることで、賃金の引き上げにつなげたい考えだが、改革によって「淘汰」される中小企業は200万社に及ぶ可能性もあるという。”
 “日本経済の底辺を支えてきた中小企業にとっては、かつてない厳しい時代を生き抜いていかなければならなくなりそうだ。”

 菅内閣の経済政策は、生産性の弱い中小企業には退いてもらい、生産性の高い企業のみを対象に日本経済を構築するという考えだ。(経済第一主義・国民生活放棄)
 弱者を殺し、強者のみを生かし、経済を構築する政策だ。(コロナ感染防止対策でも同様)

 “中小企業の再編に向け、政府は具体的な取り組みに乗り出すという。中小企業基本法の改正で、業種ごとの資本金や従業員数を定める中小企業基本法の仕組みを改めることで中小企業の定義を変えるとしている。”<政府の方針に従わないなら、法律を変えればいい・・・毛沢東論法>
 “さらに、企業の合併・買収などを促す税制も整備し、コロナ禍で体力的に継続が難しい企業に吸収しやすい仕組みを作る。”
 “中小企業改革について菅首相に大きな影響を与えているのが、成長戦略有識者のメンバーでもある元金融アナリストのデビット・アトキンスの存在だ。”(コロナでも有識者会議・・・)
 “同氏は、「日本の大企業の生産性は海外に比べても変わらないが、全体の99.7%を占める中小企業が全体のレベルを下げている」とし、現在358万社ある中小企業を2060年までに160万社まで減らすことで企業の生産性を上げるべきだと主張する。”
 “一定以上の規模に集約することで設備投資を増やし、効率化、輸出増、有給取得率の向上、社員教育、女性の進出も見込めるという。”

 日本経済発展の長がーい歴史を担ってきた中小企業を目の敵にするデビット・アトキンスだ。

   非正規雇用者は誰が推進した ?

 非正規雇用者とは、臨時社員・派遣社員・契約社員・パートタイマー・アルバイト・・・

 2019年就業構造基本調査(総務省統計局)によると、全雇用者5,660万人のうち非正規雇用者は2,165万人・・・全雇用者の3人に1人、38.3%に達する。(男性5人に1人、女性2人に1人)
 さらに今、非正規雇用者は若年層、大企業に拡大している。

 1990年代後半以降、非正規雇用者が加速した原因は、労働者派遣法の成立とともに、大企業を中心に「人件費抑制」・「景気変動に応じた雇用量の調節」経営が拡大し、それを政府が後押しした経済政策を推し進めた結果だ。

 現時点で非正規労働者を雇用している理由は
 「賃金抑制のため」 40.8%
 「雇用の調整弁(いつでも斬れる)」31.8%

 コロナ感染防止に対する政府の政策と同様、政治は国民の側に立っていない。

   中小企業「後継者不在率」 55.6%

 東京商工リサーチの企業データベース(379万社)のうち、後継者に関する情報が蓄積されてるデータから無作為に19万521社を抽出、確認できた後継者不在企業は10万5942社(55.6%)に上る。
 注目されるのは、事業承継が緊急の課題となっている60代の不在率だ。代表者が60台以上の中小企業の不在率は40.9%と代表者がまだ引継げる企業で後継者が見つかっていないという実態が浮かび上がってる。

 「後継者不在」の10万5942社の中長期的な承継希望では、「未定・検討中」は5万8772社(55.4%)で、事業方針すら明確ではない、あるいは計画できない企業が半数を超えている。

 後継者の選定から了解を得るまでに要する期間は、相当の年数と労力がかかり、事業承継を終えるまでには時間的猶予は高齢者ほどなくなる。

 結果、「休廃業・解散」企業数は過去最多を記録し続けている。

 デビット・アトキンスの中小企業排斥論、菅内閣の中小企業淘汰論。日本の歴史的遺産を根本から否定する政策。 容認できるものではない。

   中小企業の淘汰狙う 2021年度予算案

 経済産業省関係の2021年度予算案。
 中小企業対策費として経産省、財務省、厚労省を合わせ、1,745億円を計上した。
 コロナ禍で苦しむ中小企業を支援する持続化給付金と家賃支援給付金を打ち切る一方、事業再編の後押しに力点を置いて、中小企業の再編・淘汰に踏み出した予算だ。

 M&A(合併・買収)を一層重視した事業承継に65億円、M&Aや事業承継後の設備投資・販路開拓の費用補助を新規に16.2億円を盛り込んだ。

 一方、「ものづくり補助金」は10.4億円、小規模事業者支援推進事業は10.8億円に留まった。

 2020年度補正予算案で「中小企業等事業再構築推進事業」に1兆1485億円を計上しているが、これは中小企業淘汰を狙った業態転換や事業の再編成を狙ったもので中小企業の事業再構築にはならない。