新長官の訓示
今年7月、国税庁の新長官となった江島長官は就任あいさつで「納税者サービスの再整理」を訓示した。
曰く、「書面・対面手続をオンライン手続へ促すなどの納税者サービスの再整理も進めていくことが重要であると考えています。」
まあ、いわんとしていることは、「税務署の窓口に来た納税者の求めに、職員がいちいち対応するのはやめるようにしよう。オンライン一本でやるように整理しよう。」
センター化で署の窓口縮小
というのも、国税庁は今、内部事務のセンター化をすすめていて、来年秋には全国に67の業務センターを置き、申告書の受付などの内部事務はすべてそこで処理する行政改革を進めている。
税務署は全国に524署あるが、それが67業務センターというのだから、1センターは7~8税務署分を担当することになる。
当然、税務署から職員をセンターに配置換えすることになり、現行で窓口業務を担っている管理運営部門は税務署から基本的になくなる。それを受けて、窓口業務は税務署の総務課に移管されることになる。
総務課に配置されている職員数はごく少数に限られている。
しかもセンター化で署の小規模化を進めるというのだから、窓口業務にいちいち職員が対応していたら仕事が回らない。
そこで、「あらゆる税務手続が税務署にいがずにできる社会」の実現にむけて、各種事務を包括的に見直すために「納税者サービスPT」を設置するとしている。
PTとは、プロジェクトチームのこと。
セルフレジさながらの税務署窓口
大体、PTを立ち上げたときは、大きな変化の前触れとなる。
スーパーマーケットでセルフレジが急速に普及し始めている。
そんな景色を見ていると、税務署の窓口も近い将来、モニターとタッチパネルが並ぶ姿が見えてくる。窓口に職員の姿はない。
要件をモニターでタッチ選択していくと、AI画像の職員が納税者に質問したり説明して対応する。
どうしても職員に対応してほしい場合は、アレコレの理由をクリックでクリアしながら、「呼び出し」のタグをクリックすることになろうか。
それですぐに職員が出向いてくるとも限らない。なにしろ、窓口担当の職員はいないのだから、待たされること必至。
オンラインを整備するのだから、税務署には来るな、来たらAI職員が対応するので要件を済ませろ、どうしても職員に対面を求める場合はタップリ待ってもらう、と。
こうして、納税者サービスは切捨てられることになろう。
再整理は、こういうことになると予想されるのだが、考え過ぎかな。