農水省は8月7日、「令和4年度食料自給率・食料自給力指標」を公表した。これを受けて農民連の機関紙「農民」(8月28日第1566号)が衝撃的な記事を載せた。
おりしも、米どころ新潟県の水田が干からび、米の実が入らないという報道が続いている最中のことである。
農水省が公表した指標
カロリーベース自給率
21年度 38.01%
22年度 37.64% 前年度から0.37ポイント低下
40%を下回るのは、14年間連続
生産額ベース自給率
21年度 63%
22年度 58% 前年度から5ポイント低下
国内生産だけで供給できるカロリー
「食料自給力指標」というが、この指標は輸入停止などの不測時に国内でどれだけの食料を供給できるかという日本の潜在生産能力を示すもの。過去最低を記録。
農水省はこの指標を、「米・小麦中心」と「イモ類中心」の2パターンで示している。
連年の推移はグラフのとおり。
日本人が体重を保つために必要な最低エネルギーは2,168カロリー。(上図の点線)
「米・小麦中心」の自給では1,720カロリーしか確保できず、なんと448カロリーも少なく、必要カロリーの80%しか食べられない。毎日、それまでの食事から2割も少ない食事しかとれないのだから、全国民が10日もすればやせ細っていくことになる。
「イモ類中心」だとしても2,368カロリーで、労働や運動は到底無理。
というのも、農水省がホームページで公表している表を見るとわかるように、ごく普通の勤労者は平均で2,700カロリーが必要。すると332カロリーが不足し、普通の勤労者も10日もすればやせ細っていく。<クリックで拡大>
どちらにしても、いまの食料国内生産力では、有事の時、10日もすれば全国民が飢餓状態に陥る。
たんぱく質が足りないよぉ~
農水省は「イザという時」の食卓像も示している。下の表は「イモ類中心」の食生活だとしているが、たんぱく質が足りないのは誰の目にも明らか。
78年前の敗戦後すぐの状態に近い背筋が寒くなる食料事態となる。
政府の政策
では、農水省はどのような政策を取ろうというのか。
今年3月、野村農相は「米国・カナダ・オーストラリアからの輸入に、日本の自給率を合わせれば80%あるから大丈夫」と発言。
「財政審議会」では、「食料増産と自給率向上に主眼を置く政策をとるな」としている。
言いたいことは明白
「日本はアメリカに何でもかんでも頼りきっていこうよ。」「そのアメリカのご機嫌を損ねないように、軍事費も基地も外交も言われたとおりに応えようよ。」ということだ。
でも、アメリカのいち州になるのでもあれば別だが、それはそれで最前線になるので超危険なことになるが、いまのような関係は単なるゴマすり男にすぎず、上司のご機嫌次第でいとも簡単にポイ捨てされてもおかしくない立場にいるということを国民は肝に銘じておくべきだ。
国民の食糧を自国で何とかしようという政策をなげうつような政府に、国民の未来を託すわけにはいかない。
農水省はとてもよい材料を提供してくれた。