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   『権力は腐敗し』 官僚機構は機能不全 

 前川喜平(元文部科学事務次官)著「権力は腐敗する」(毎日新聞出版)
 自公政権与党の腐敗の際たるものは、権力の私物化である。安倍政権下での「森友・加計学園問題」「桜を見る会」。菅政権下での「日本学術会議会員の任命拒否」、長男が勤める「東北新社」と「総務省」の癒着・・・。 いくらでもある。
 「総理のご意向である」・「官邸の最高レベルが言っている」・・・。
 安倍首相の「私物化」は、むき出しの個別利益追求であったのに対し、菅首相の「私物化」は安保法制や特定秘密保護法など、違憲性の強い立法に批判的な研究者・科学者を排除するといった手の込んだ手法を屈指していた。 両者とも理由や説明を正面から一切言わず、開き直るという悪質にみちていた。
 そうやって憲法や立憲主義が・平和主義がどんどん掘り崩されていった。

 日本の官僚はいま、ほとんど機能しなくなっている。一番幅を聞かせているのは首相側近の「官邸官僚」たちだ。
 人事権を振り回し、進言する官僚は更迭して飛ばす。官僚たちは官邸の方ばかりを見て仕事をするようになり、「忖度」・「公文書改ざん」・「隠ぺい」が横行するようになった。

 昔の官僚は、政治家の間違いや暴走に辞表を覚悟で意見した。
 政治家の方もそれを受け入れる度量があった。
 そのようなものが失われたことが、いまの「権力の腐敗」を生み出している。・・・との内容だ。

 このまま安倍・菅隠れ政権の岸田政権が、平気でウソをつく、説明しない、強権をふるい続けると極右政党のようになり、日本を戦前のファシズムの道に進む恐れさえある。

   『金融所得課税』 旗を降ろす ・・・ 岸田首相の変節

 岸田首相は自民党総裁選で掲げた「株式配当など金融所得への課税強化」政策の旗を降ろした。
 ― 総裁選で掲げた岸田氏の政策 / 自民党の選挙公約から消え去った政策 ―

1 金融所得課税の強化
2 子育て世帯への住居・教育費支援
3 令和版所得倍増計画
4 子供庁の検討
5 総裁任期のなどの党改革  だ。

 安倍・菅政権との違いを意識して表明した政策がほとんど消え去り、安倍・菅政権による格差や貧困の拡大・権力の私物化疑惑には蓋をし、憲法改正・敵基地先制攻撃など極右的な政策を選挙公約に盛り込んだ。 これでは完全に安倍・菅カイライ政権である。 さらに何の説明もない。

 そもそも説明責任とは疑惑を抱く者に対して、立証すべき事柄に関する事実かつ客観的証拠を示すとともに、十分な理解を得ることで初めて達成される。
 その政治と金にまみれ、説明責任をせず逃れた甘利明元氏と小渕優子氏を重要ポストに据えた。

 岸田首相はもはや、安倍・菅カイライ政権となり下がった感がある。

   「一億円の壁」 岸田首相  腰砕け

 総裁選で明確に課税強化を掲げていたのは岸田首相であった。中間層への分配を手厚くすることを経済政策の根幹に据えると、政策集に「金融所得課税の見直しなど『1億円の壁』打破」と明記していた。
 日本の高額所得者は年間所得が1億円を超えて増えると、所得税負担率は下がり続ける。不公平税制の象徴として広く知られる。事業所得や給与所得は所得が増えるほど税率が上がる累進制で、最大45%まで上がる。
 株の売却益や配当に係る税率は一律20%(所得税15%)だ。このため所得に占める金融所得の割合が高い富裕層ほど、税負担が下がり、格差拡大につながっている。
 高市早苗前総務相も著書で、税率30%に引き上げる案を示していたが、その後、撤回している。
 不公平税制の象徴である「金融所得課税」は、 ▽株式配当には少額な場合を除き分離課税を廃止し、総合累進課税とする。 ▽株式譲渡所得の高額部分には欧米並みの30%の税率を適用する。

    法人税と所得税の階級別負担率
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 与党も野党もこの選挙戦、『分配』を目玉にしていたが、税制の基本理念である『応能負担』・『所得再配分』を掲げていない。
 税制を通して、“所得に応じた応分の負担”を求め、“所得に応じた応分の分配”することが社会正義であると思う。

 今こそ安倍・菅政権での新自由主義を脱却する政策は、「バラマキ合戦」(財務省・矢野康治事務次官、月刊誌「文芸春秋」寄稿)ではなく、「応分な負担」「応分な分配」をすることである。 これが「格差是正」「税収確保」の基本である。

 大企業増税と富裕層優遇の不公平税制を是正することは世界の流れである。

 経済協力開発機構も(OECD)も多国籍企業の税逃れを防ぐ新たな国際課税ルールに合意している。