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  やぎさん答弁 と ごはん論法
 
 菅首相になって初めてとなる通常国会が閉会した。新型コロナウィルス対応の緊急事態宣言がつづいた今国会で浮き彫りになったのが、質問に答えようとしない首相と、都合の悪い情報を隠そうとする霞が関の姿だった。
 
 コロナ感染拡大に伴い1月以降、緊急事態宣言や重点措置の地域指定に関する衆参議運委での国会報告は15回あった。政府のコロナ対策には国民の私権を制限する内容が含まれている。私権制限は国会が法律で定めるのが筋だが、その裁量を政府に委ねるにあたり、野党は毎回、首相が国会に出席して説明するよう求めたが、首相が出席したのは2回のみだった。
 
 首相は昨秋の臨時国会で、日本学術会議員候補の任命拒否問題などで「お答えを控える」という答弁拒否を41日間で100回以上繰り返した。
 
 コロナ対策で始まった今国会では、「申し訳ない」などと謝罪する発言が78回に上った。
 あまりにも答弁が短く、中身のない答弁だ。
 議場でも「何も答えてない」とヤジが飛び、議運委員長が「簡素過ぎる」「丁寧に答弁してほしい」と異例の注意をした。
 東京五輪開催問題で「ステージ4(感染爆発)の状況でも開催するのか」の質問に直接答えず「感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく」を繰り返すのみで、科学的な知見には耳を傾けず、政策も方針のなく、責任も感じない答弁に終始した。
 まさに政治の劣化『見えない化』した政治に邁進している。
 
 衆議院選をにらみ、“五輪開催”と“ワクチン注射”成功に政治的なカケに出て、国民の安心・安全には見向きもしない権力のゴリ押しだ。
 
 こうした菅首相の答弁に、上西充子法政大教授は質問を読まずに手紙を食べる「やぎさんゆうびん」だと指摘し、「やぎさん答弁」と名付けた。
 野党の国対委員長も日光東照宮の彫刻“見ざる・言わざる・聞かざる”に準え、『出たくない・来たくない・話したくない』と皮肉った。
 
  「ごはん論法」「きな粉餅論法」・・・日常で使ったら無能
・ 安倍首相時代、政府の人が頻繁に使った「言い逃れ」論法
・ “朝ごはんを食べましたか?” の質問に “食べていない!(パンは食べたが、お米のごは
 んは・・・)” と答える。
・ パンは食べたが、お米のごはんは食べていないから、嘘をついたわけではない。と強弁する。
・ 質問に答えているように装って、実は答えていない。
・ 論点をすり替え、相手を煙に巻いて時間を稼ぎ、時間が無くなれば議論を打ち切る。
・ ごまかし、無視して、ねじ曲げる。小学校の学級委員会以下の論法である。
 
  やぎさん答弁
・ ♪しろやぎさんからおてがみついた くろやぎさんたらよまずにたべた・・・♪ から「やぎ
 さん答弁」と名づいた。
・ 「壊れたレコード」(同じ言葉のくり返し)から「やぎさん答弁」(質問を聞かないで同じ言葉
 をくり返し)。
・ 質問を変えても、質問が変わったことを無視して同じ答弁をくり返す。
 
 「やぎさん答弁」・「ごはん論法」以外「意見を番外?」として切り捨てる発言も多発している。
 
 尾身会長らの専門家提言「五輪は無観客が望ましい-入れるなら厳しい基準で」に対し、丸川五輪担当相は―『全く別の地平から見てきた言葉』―と専門家の科学的知見に基づいた提言を切り捨てる。 コロナ対策の責任者である加藤官房長官ら各大臣はそろって―『科学者の研究から出した個人的な意見書』―と全く無視する。 ―科学を無視した独善である。―
 また、天皇陛下の想いを『五輪開催でコロナ感染拡大 ご懸念されていると拝察』との宮内庁長官の説明を菅首相以下各大臣もそろって「宮内庁長官の個人的見解」と一蹴している。
 
 言葉のちからは、政治家のちからである。
 政治家の劣化は、治世の劣化 いつか国民に振り返ってくる。
 
  五輪バブルも スカ・スカ穴だらけ
 
 東京五輪・パラリンピック開催も迷走を続けている。
 緊急事態宣言や重点措置の地域指定でイベントは夜9時まで。観客は5000人を上限に収容人員の50%まで。飲食店の酒の提供は感染防止策をきちっとしている店に限り提供は夜7時までと国民にガマンを強いていながら、観客は1万人を上限、オリンピックファミリーや小学生などの学校行事参加は別枠。 お酒も販売する(中止になったが)。 地方からの人流は制限しない。 オリンピック選手はバブル(泡の中)で包みおくから感染拡大はない。 と大見えを切って開催を宣言しているが ? ・・・ 「五輪を開催したら国民の命と健康は守れるのか ?」 の質問にはまともに答えない ! やぎさん答弁のくり返しだ。
 
 政府の新型コロナウィルスコロナ感染症対策分科会の有識者らによる提言は、五輪開催に伴うリスク評価とその最小化に向けた対策を示した。 分科会代表の尾身氏は会見で「われわれの責任はリスクを評価すること。それを政府に伝えることがプロフェッショナルとしての責任。これをどう採用するかは、政府、主催者の責任」と述べているが、菅首相以下、組織委員会、IOCなどは馬の耳に念仏で何一つ聞こうとしない。
 
 時事通信の6月の世論調査でも、東京五輪・パラリンピックをどうすべきかについて、「中止する」は40.7%と最多。「再延期する」は22.2%。「開催する」は30.4%にとどまっている。
 観客受け入れに関しても「無観客」が63.9%、「観客を制限して」が27.1%、「制限せず」は4.1%にとどまっている。
 
 国民がどんなに不安視しても五輪は国民の命と健康よりも大事な行事なのか ?
 
 小学生の学校行事参加も、イベントの9時過ぎも、お酒の提供も(スポンサーの申入れで中止決定)、各自治体から異論が出ている。
 
 選手・関係者はバブルの中に居るから安心・安全と言っていたが、羽田についたウガンダ選手団に感染者が出た。 水際対策はしっかりしていると言っていたが、そのまま野放しで大阪までバス移動をさせてしまった。<濃厚接触者は地方自治体の保健所などと言い訳をしているようでは全く水際対策ではなく水漏れ対策である> さらに、大阪に到着した選手に陽性者になった。
 
 菅首相の言う「安心・安全な対策」「水際対策は万全」「バブルで包み込むから感染は広がらない」は全くの空論で、バブルもスカ(菅)スカ(菅)に破れている。
 
 トップの責任は、結果責任を取ることだが、歴代首相は誰一人責任を取っていない!